表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

営業マン平井さん

 平井さんは営業成績トップだった。

 平井さんの目標は、社内の女性全員に手をつけることだった。

 そのためなら何だってできた。

 成果のためなら手段を選ばない、自分磨きに余念がない。

 結果として、平井さんはこの上なく魅力的な人になった。

 次々と女性社員が彼のことを受容した。


 しかし、最後の一人が堅牢だった。

 お局の和子さんは、定年間近で独り身だった。

 彼女が退社してしまう前になんとか落としたかったが、和子さんは営業成績がちょっとやそっと良かったり、容姿が整っていたり、話が面白かったりするくらいでは、まったくなびかなかった。

 平井さんは焦っていた。


 平井さんの営業成績は、もう頭打ちかと思われてから、さらに二倍にも三倍にも膨れ上がった。

 まるで魔法のようであった。

 社長も会長も、平井さんには頭が上がらなかった。

 ところが平井さんは、そんなことよりも和子さんのことで頭がいっぱいであった。


 社長賞を貰ったその足で、会社の屋上へ駆け上った。

 焼きそばパンを齧る和子さんのところまで行くと、叫んだ。

 それは、まさしく愛の言葉だった。

 都会の空に、聞いているこっちが熱くなるような台詞が飛び交った。


 二人は晴れて結ばれた。

 揃いの指輪がそれぞれの左手に輝いていた。

 いくらしたんだと噂されるほど巨大な石だった。

 和子さんは満面の笑みで、なんと寿退社することとなった。

 退社するときは平井和子という名前になっていた。


 しばらくして、平井さん自身も、自分で会社を起こすと言って退社した。

 誰にも止められなかった。

 営業のエースと、事務のお局が去った会社は、もはや抜け殻となり、みるみる業績を落としていった。


 会社は奇しくも、平井さんがお父さんになった日に、ついに倒産してしまったという。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ