第1話:出会い
僕の名は・・・そう僕には名前がない、家族もいない自分にも何者なのかも分からないのだ。
唯一分かることはなにも分からないということだけ。
これは記憶喪失だというべきなのか、いや、そうなのだろう。
孤児な俺はもちろん金も食べ物もなくいつもと変わらず露店の物を盗む毎日。 今日もいつもと変わらず食糧調達の為にダイン村に向かった。 この日が僕にとっての人生を大きく変える日だとも知らずに――――
ダイン村の商店街は相変わらず人通りが激しく盗むには絶好のスポットだ。
俺は店主が買い物客と話している間にボロボロな長袖のTシャツの裾にりんごなどの果物を流し込んだ。
その後も何度かタイミングを見計らい盗み続けた、これで止めようと野菜に手をかけた時。
「おぃ!、そこのガキー!」・・・・見つかってしまった。
三人の店主が鬼の形相でこっちにむかって走りだしてきた。
俺は直ぐさま逃げようと走ったが果物や野菜やらを抱えてうまく逃げれるわけもなく、いくつか落としながら路地裏に隠れ込んだ。
「あのガキは何処に隠れやがった!?」
「二手に別れて探すぞ!」
店主たちが息を荒げ話している。
向こうは大人三人、見つかるのは時間の問題だと思い一気に全力で町の外まで走ろうと心みたとき・・・。
既に手遅れだった、
一人の店主に俺は首を掴まれ地面に押さえ込まれてしまった。
「うぐっ・・・、くそっ、離せよ!」
俺は必死でもがいたが相手は大人簡単に押さえ込まれてしまう。
「この糞ガキが!もう二度とこういう悪事を出来なくしてやるよ!」
そう言い、俺の腕を踏みつけようとした。多分腕が折れてしまうだろうと覚悟したが、いつまで経っても店主の足が降ってこない。
「ぐあっ」
店主の悲鳴と壁にぶつかる音がした。
俺はすぐに立ち上がり回りを見渡したそこには、壁にぶつかり気絶した店主とマントに身を包んだ者がいた。