8
リアリスは鏡に映る自分の姿をじっと見た。
ウォルフと同じ明るい金色の髪、お祖母様から伝授された毎日のお手入れで肌もそれなりに美しい。
お金をかけず手間をかけた結果がそこにあった。
「もう少し鼻が高かったらなぁ…」
そう言いながら人差し指で鼻をぐいっと上げた所で、ガチャっと部屋の扉が開く音がした。
「何やってんだ?」
ウォルフである。
「ちょっと!部屋に入る時はノックしてって昔から言ってるでしょ!」
兄のウォルフは昔からこういう所がある。
いつも頭よりすぐ行動するタイプ。
「私が着替え中だったらどうするの?」
リアリスはもう!と怒るとウォルフはマヌケ顔で言った。
「いや、別に。妹の裸見てもな…どうもしないぞ。」
もうこの人救いようがないわ。
この脳筋がお父様の跡を継いだらうちの領地はどうなっちゃうんだろ。
やっぱり私が頑張らなきゃ。
リアリスは今日初めて訪れる王宮でのし上がろう!という気持ちに改めて気合いを入れた。
お世話になったポートマン侯爵家を出る時、数日間だけの滞在にも関わらず沢山の使用人が見送りに来てくれた。
みんな寂しそうに手を振っている。
滞在中、貧乏男爵家で培った「厨房の残り物料理」の技を披露したのがきっかけで料理番の皆さんと仲良くなった。
それからメイド達には手間をかけずに簡単に汚れを落とす方法や次のお手入れがしやすい掃除方法も伝授した。
みんな始めは貴族令嬢がこんな事を?!と遠巻きに見ていたが
リアリスの技を見てあっという間に仲良くなったのだ。
執事長が深々と挨拶をする。
「リアリス様、またお会いできる事を使用人一同心よりお待ち申し上げております。」
「ありがとうございました。またお邪魔させて頂きますね!」
リアリスは馬車の中からみんなが見えなくなるまで手を振った。
屋敷を出たリアリスは、馬車に一緒に乗っているマイクスとウォルフに言った。
「もし、王宮のメイドに採用されなかったらマイクス様のお屋敷で雇ってくださいね!」
「リアリス嬢が採用されないなんて事はないと思いますけど、もしそんな事があったら我が家は大歓迎ですよ。あ、でもメイドは沢山いるので私のお嫁さんでならいいですよ?」
マイクスは笑いながら言った。
「もう!マイクス様ったら!」
マイクスはとても好感度の高い男性だ。
洗練されているし、女性の扱いも上手い。
会話も上手で今の様に軽くジョークも入れて来る。
普通の令嬢ならイチコロだろう。
マイクスと笑い合っていると、ふとウォルフの顔が目に入った。
なにやらマイクスを睨んでいる。
「ちょっ、ちょっとお兄様?」
「おい、マイクス!今のは本気か?冗談か?うちのリアリスを嫁に欲しいならおれを倒してからだぞ!」
ああ、脳筋…。
考えたら分かるでしょうに。
マイクス様が本気な訳がないじゃ…?
と思ってマイクスの方を見たリアリス。
????なんで?
マイクス様、なんでそんな真剣な顔で考えこんでるの?
マイクスは顎に拳を当てて、何やら真剣に考えている。
「よし、その時はウォルフ、対決を申し込むよ。」
「おお!分かった!」
「「はははははははは」」
よく分からないが何だか2人で肩を組んで分かり合えたみたいなので、深くは聞かない様にしようとリアリスは思う。
笑い合っている2人から視線を外して窓の外を見た。
「貧乏男爵令嬢は従女になりたい」をお読みいただき
ありがとうございます♪
作者のぎゆりです(*´∀`)♪
リアリスとウォルフの兄妹は金髪という設定でざいます。
しかもちょっと薄めの金髪と申しましょうか…
私なりに綺麗な金髪がこれでした(笑)
まぁ、こう言った物語には
色んな髪色の人間が登場する訳ですが
他には黒はもちろん、茶色、栗色、銀色はいますよね。
他にはピンクとか紫とか水色とか緑とか(笑)
カラーリング大変そう…じゃなく地毛です!!
普通はいないですけどね。
でも普通じゃないのが物語ですからね★
あっ!余談ですが
うちの旦那様は銀色です(笑)