5
ハミルトン領から王都までは馬車で3日程かかる。
兄・ウォルフと馬車に乗っての旅となった。
しかし、御者はいないのでウォルフがそこに座る。
リアリスはウォルフの横に座り風を感じていた。
「ねぇ、お兄様。こんな馬車どうしたの?どこで借りて来たのよ。」
「ん?まぁな。」
貧乏男爵家に馬車は1台しかない。
しかし今乗っている馬車は我が家のものより数段良い物だ。
兄が帰って来た時からこの馬車に疑問を持っていた。
「まさか!」
「まさか?」
「お兄様、盗んで…」
「そんな訳あるか!」
そう言ってウォルフは手綱を引いて馬車を止めた。
「リア、お前ねぇ…いくら何でもそんな事する訳ないだろ?」
ウォルフは、呆れ顔で続けた。
「騎士団で仲良くしてるやつが貸してくれたんだよ。」
「貸してくれた?その人の実家は貸し馬車屋か何かなの?」
「いや、違うよ。」
そう言いながらウォルフは再び馬車を走らせた。
爽やかな風が吹く野原の一本道を走りながら
ウォルフはその友人について話してくれた。
「そいつの実家は、裕福な貴族だ。まぁ、騎士団の奴らはみんなどこかの貴族だからな。そんで、おれが実家に帰るって言ったら使ってない馬車貸してやるって言うからさ。」
そんなに簡単に馬車を貸してくれるのだろうか?
リアリスは何か裏があるのでは?と思ってしまう。
「まぁ、行きは乗り合い馬車で良いとしても帰りはもしかしたらリアも一緒かもしれないしなぁって思ったから。有り難く借りたって訳だよ。」
「ふーん、そうなんだ…」
「おっ!信じてないのか?」
「いや、別にお兄様を疑ってる訳ではないのよ?ただ、世の中にそんなに良い方がいるんだなぁと思って。」
そう言うとウォルフはニカっと笑った。
「そうなんだよ!あいつ本当にいい奴でさ!すげー金持ちの貴族の坊ちゃんなのに!俺、あいつと友達になってよかった!わはははははは!」
本当に脳筋だわ…。
まぁ、兄のこう言う所は嫌いではない。
貧乏だった我が家は皆んな前向きな性格なのだ。
だからこそ、貧乏でも悪の道に進まず真っ直ぐ大人になれたのかだと思う。
「貸してくれる対価はないのか?って聞いたら、要らないってさ!タダで貸してくれるって。」
「タダで?」
私の昔から好きな言葉だ。
「ああ。あ!でも、あいつ妹を連れて来たら紹介しろって言ってた。」
「何で私を?」
「知らん。でも、妹はお前に似てるのか?って聞いて来たな。何でか知らんけど(笑)だから、子供の頃から双子か?って言われるぐらい似てるよーって言っといた。」
そうなのだ。
私達兄弟は、それはよく似ている。
金色の髪、薄いブルーの目顔立ちもかなり似ている。
兄は私が言うのも何だか、結構イケてると思う。
おそらく騎士団の中でもイケてる方なんじゃないか?と。
このメイドの話があるまでは、兄がどこぞの金持ち令嬢に気に入られてごっそりお金を持って来てくれないかなと思ってた。
「私も男に生まれてたらな…」
おそらくこの顔は男であるならイケてるのだ。
この16年間、私には見合いの話もなかったし
誰かにアプローチされるという事もなかった。
ぼそっと私が呟いた声はウォルフには聞こえていなかった。
「貧乏男爵令嬢は従女になりたい」をお読みいただきありがとうございます♪
作者のぎゆりです ٩( 'ω' )و
最近、肩が異常に痛くてですね…。
こりゃ、40肩かな?と思ったりもしてたんですが
ただの酷い肩こりと判明しました(笑)
運動不足ですね(汗)
さて、リアリスの兄・ウォルフがいる騎士団ですが
だいたい騎士団って言うと
キラキラなイケメン男子が上半身裸で訓練しているイメージですよねぇ。
はい、私もそうしようと思ってます!
やはり、程よい筋肉男子の筋肉美は外せませんね。
作者はムキムキ過ぎるのは苦手なんですが
程よい筋肉は大好きですԅ(¯﹃¯ԅ)❤︎
ウォルフはどちらかと言うとムキムキに近いかなー?
そんなイメージです。