選手交代
ナコはまだ親のスネを齧る生活を送っていた。憤怒の権化のような顔は変わらず、この顔では仕事も見つけられない。あのUFOさえいなければこんなことにはならなかったのだ。
「あーつまんねぇ。髪が戻ってきたら社会復帰出来るのになぁ」
バァン!
玄関が勢いよく開いた。
「誰だ! 泥棒か! 殺すぞ!」
大声で威嚇しながらナコは玄関に向かった。するとそこには黒い塊があった。髪の毛だ。
「間違いない、このツヤツヤの黒髪、この匂い。私の髪だ! 帰ってきてくれたんだね! おかえり!」
そう言ってナコは髪を頭に乗せた。カツラのような違和感があるが、本人は気にしていないようだ。
プスリ
ナコの頭になにか刺さったと同時に、ナコは倒れた。2時間後帰ってきた母親が救急車を呼び、病院へ運ばれたが手遅れだった。なんでも、脳が無く、頭が空っぽになっていたという。
ナコは死んでしまった。
「ナコ! どうしてなのぉ! なんでそんな超変な死に方するのよ! 超変な子よあなたはぁ! うわあああん!」
プスリ
ナコ母の頭に何かが刺さる音がした。なんと、髪の毛が刺さっているのだ。
「あら奈子、生きてたのね。髪も立派に生えてるじゃない。良かった、帰りましょう」
そう言うと母親は奈子の手を引いて家に帰って行きましたとさ、めでたしめでたし。
まあ、手なんて無いんですけどね。
ナコの髪である奈子は街のみんなを洗脳してナコに成り代わるそうです。なので、次は『ナコの街 髪の毛編』ですね。
最後までお読みいただきありがとうございますした。感想いただけたら嬉しいです。どんな感想を書けばいいか分からないと思いますが、私も分かりません。
次回作でまたお会いしましょう!