まーだかなぁ〜
黒男はまだ帰ってないのね。カレー作って待っていよう。家に帰ってカレーの匂いがしたら、黒男喜ぶだろうなぁ。早く帰ってこないかなぁ。早く、早く⋯⋯
カレー出来たよ。黒男、まだかなぁ。お友達の家にでも行ってるのかなぁ。小学生になってすぐの頃はお友達が出来るか心配だったけど、今じゃたくさんお友達いるもんね。頑張ってるもんね、黒男。
カレー冷めちゃうよ。黒男、まだかなぁ。まだかなぁ。早く、帰ってきてほしいなぁ⋯⋯
「ただいまー! あ、カレーの匂いじゃん!」
ほら、やっぱりカレー大好きだから喜んでる。可愛いなぁ。
「今日国王様に殺されかけたんだけど、分身してなんとかやり過ごしたんだ! 凄いでしょ!」
黒男はすごいね。頼もしいわ。私も守ってもらわなきゃね。
「ごめんくださーい」
国王様の声だ。なんの用事だろう。
「これ、息子さんの遺骨です。」
そうだ。黒男はこいつに殺されたんだ。私はおかしくなって黒男の幻を見てたんだ。
「あれ、奈子さん何やってるんですか? 机にカレーを2つも並べて。あ、もしかして私の分? うれしいなぁ」
国王はスプーンを手に取り、カレーの匂いを嗅いでいる。私は国王に髪を刺した。
『触るな。このカレーは黒男の分よ』
「黒男くんはもう居ないんですよ。私に粗相をしたんですから」
私は国王の脳を全て吸い上げた。国王はすぐに死に、私は国王の記憶を手に入れた。殺すだけのつもりだったのに、余計なものを手に入れてしまった。この国王の記憶のせいで、黒男が何をされたのか全て分かってしまったのだ。
これからどうすればいいんだろう。黒男がいなくなって、なにを楽しみに生きればいいの? 生きない方がいいの?
私ははげぬる王国の全ての民の脳を啜った。その結果、私はウルトラスーパーミラクルすごいすごい超頭脳を手に入れた。これさえあれば、なんでも叶うだろう。これから自分が何をすべきかも分かる。全知全能とはこのことか。
私が今すべきこと、それは、私の持ち主に会うこと。この全知全能の力のおかげで持ち主の居場所も分かった。少し遠いが、空を飛べばすぐに着くだろう。