「何を」より「誰が」
「ふりしきるあめのむこうのしいくいん」
上の川柳から、小学校に通う僕は何の感動も覚えなかった。ただ雨の向こうから飼育員がやって来ている様子しか浮かばない。せいぜい、動物園や水族館は大変な職場なのだな、としか思わなかった。
ところが、僕の周りの大人たちはしきりに感嘆の声を上げた。
「奇跡の一句だ」
「きっと彼は歴史に名を残すだろう」
「また作品を作るかもしれないぞ」
と、毎日このような状況だ。
猿がデタラメにキーボードを打った文字列が、そこまでの意味を持つのだろうか。