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アトミック・ガールズ!  作者: EDA
30th Bout ~Bustling Spring~
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03 チーム編成

 ベリーニャ選手の防衛戦が終了したのちも、日々は粛々と流れ過ぎていった。

 その期間に、『トライ・アングル』はライブ映像作品をリリースして、単独ライブも敢行した。映像作品の売り上げはまた最高記録をマークして、ライブの評判も上々である。昨年夏の活動再開から八ヶ月ほどが過ぎて、『トライ・アングル』の活動も順調そのものであった。


 セカンドアルバムの発売は今年の秋口を目標にしているため、水面下ではその作業も進められている。ユーリが受け持つのは、新たに加えられる三曲の歌のレッスンである。演奏陣がまた素晴らしいアレンジを完成させるまでに、ユーリは歌詞とメロディを頭に叩き込まないといけないのだ。暗記作業というのはユーリにとってもっとも苦手な分野であるが、これも楽しいライブ活動のためという思いでもって、ユーリはけなげに頑張っていた。


 そしてもちろん、グラビア撮影の仕事も完全に消失したわけではない。選手活動と音楽活動を優先させるためにかなり数を絞っているものの、週に何件かはそういう仕事もこなさないといけないのだ。なおかつユーリはモデル活動も楽しんでいるために、そちらの依頼も嬉々として引き受けているのだった。


 そして瓜子も、まったく他人事ではなかった。瓜子も現在は全力でユーリのサポートをする時期であったため、単独のモデル活動はすべてシャットアウトしているのであるが、ユーリとのペア撮影に関しては時おり舞い込んでくるのである。「これも女子格闘技界の発展のため」という伝家の宝刀でもって、瓜子の羞恥心は八つ裂きにされているわけであった。


 それでもユーリの体調を慮って、以前よりはずいぶん副業の仕事も緩和されている。以前はほとんど週六のペースで朝から夕方まで忙殺されていたが、現在は週三ていどのペースであるのだ。最低でも、週の半分は完全にオフというスケジュールが定着しつつあった。

 しかしまた、副業の仕事がなければ、稽古に没頭するのみである。これがユーリの体調を慮った結果であるのなら本末転倒と言うしかないが、もちろん当のユーリは嬉々としてハードな稽古に取り組んでおり、瓜子もそれは同様であった。


「何せうり坊ちゃんは五月にサキたんとのタイトルマッチで、六月にブラジル遠征だものねぇ。ユーリとしては、うらやみの極致ですわん」


 天使のように微笑みながら、ユーリはそのように評していた。

 ユーリも《アトミック・ガールズ》五月大会のオファーを受けていたが、そちらは当然のようにエキシビションマッチであり、相手もいまだ未定のままであった。ユーリはすでに小笠原選手とのタイトルマッチという大一番を終えているし、六月に大きな大会が控えていれば公式試合など論外であるのだ。瓜子はその常識をかなぐり捨てて、サキとのタイトルマッチを承諾したわけであった。


「それで怪我でもしてブラジルの大会に出られなかったら、《ビギニング》との契約もパーなのかもしれないのに、よくやるよねー!」


 と、当初は瓜子の無茶な行いに不満げな顔を見せていた灰原選手も、最近では楽しげに笑いながらそんな言葉を口にするようになっていた。おそらくは、瓜子の覚悟と決意を尊重するべきであるという心情に至ったのだろう。その他の人々も、おおよそは瓜子の決断を好意的に受け止めてくれていたのだった。


 ちなみに現在も、プレスマン道場の稽古場は出稽古の女子選手で賑わっている。灰原選手、多賀崎選手、小柴選手、高橋選手、鬼沢選手の五名が、週三のペースで顔を出しているのだ。サキは姿を隠してしまったが、それらの面々のおかげで瓜子も満足のいく稽古を積むことがかなった。


 ただ一名、鬼沢選手だけは出稽古の曜日をずらしている。

 それは、六月に開催される天覇館の全国大会に、高橋選手ともども出場するためである。それで鬼沢選手は、他の女子選手とご一緒できる曜日を高橋選手に譲ったわけであった。


「あいつが優勝したのは、あたしが欠場した年だったからね。アトミックだけじゃなく、天覇の舞台でもしっかり番付をつけてやるさ」


 そのように語る高橋選手も、大いに意欲を燃えさからせていた。天覇館の大会では道着ありと無しの部門が存在するため、プレスマン道場では道着無しの技術を磨いているわけである。


「だから鬼沢は、またゴールデンウイークの合宿稽古にも参加できないんだよね。あたしばっかりいい目を見て、申し訳ない気分だけど……こればっかりは、譲る気になれないからさ」


 高橋選手は、そんな風にも言っていた。鬼沢選手は昨年のこれぐらいの時期に上京して、出稽古や合宿稽古にも意欲的であったが、高橋選手や小笠原選手が参戦するバンタム級王座決定トーナメントにエントリーされたため、五月大会が終わるまでは自粛することになったのだ。


 瓜子としては、あれからもう一年が経ってしまうのかという感慨にとらわれるばかりである。

 昨年のこの時期、ユーリはまだ山科医院に入院していた。ただし、リューク氏やビビアナを相手にリハビリのトレーニングを開始しており、復調の兆しを見せていたのだ。瓜子も期待に胸を弾ませながら、毎日二時間のお見舞いを継続していたのだった。


 もちろん本年は、ユーリも思うさま合宿稽古に参加することができる。

 サキや鬼沢選手が参加できないのは残念な限りであるし、メイのことを思い出すと胸が痛くなってならないが、関西勢もスケジュールが合えば参加したいと名乗りをあげていたし――それにやっぱり瓜子としては、ユーリの存在が何よりの救いになっていた。


 そんな感じに慌ただしく日々が過ぎ去って、あっという間にゴールデンウイークを目前に控えた四月の第四月曜日である。

 その日は瓜子たちも一日オフであったため、午前の十時からプレスマン道場に向かった。またその日には、来たるべきブラジル遠征に関してミーティングをしたいという申し出も受けていた。

 そうして瓜子たちがガラスの扉をくぐって道場に足を踏み入れると、そこにはまたもや鞠山選手が待ち受けていた。このたびも、鞠山選手は海外遠征のチームメイトに名乗りをあげていたのである。


「おう、来たか。稽古をつける前に、あれこれ話を片付けておこう」


 鞠山選手とともに待ち受けていたのは、立松だ。この早い時間には、まだ男子選手の何名かが自由稽古の準備を進めているばかりであった。


「ジョンは昼からの出勤なんで、俺が仕切らせてもらうぞ。まあ、ジョンと意見は統一できてるから、そのつもりで聞いてくれ」


「押忍。よろしくお願いします」


 奥側の稽古場の片隅に陣取って、瓜子、ユーリ、立松、鞠山選手の四名が輪を作った。

 何も深刻な議題ではないはずだが、鞠山選手は妙に気合の入った顔をしている。そちらをいくぶん気にかけながら、まずは立松の言葉を聞くことにした。


「まず、ブラジル遠征の日程についてだが……今回は時差の大きい場所なんで、《ビギニング》のほうから合計九日分の滞在費が支給される。試合の当日と翌日をさっぴいたら、一週間前に前乗りできるってこったな。だが、時差が大きいならコンディションを整えるのに手間と時間がかかるから、こっちもそのつもりで挑むべきだろう。シンガポールのときは二週間だったが、最低でも三週間前には現地に乗り込むべきだと思う。……その件に関しては、どうだ?」


 それは前々から聞かされていた話であったので、本日は瓜子とユーリが答えを示すのみである。ユーリは瓜子に判断をゆだねきっているため、瓜子が二人分の意思表示として「押忍」と応じた。


「コーチのご意見に、異存はありません。前回以上のお手間をかけてしまいますが、もし道場の運営に問題がなければそのスケジュールでお願いします」


「こっちは仕事だから、いいんだよ。しかし、セコンドの分まで滞在費を支払うのは、お前さんがただからな。決定権は、お前さんがたにある」


「押忍。滞在費を惜しむより、自分たちはベストコンディションで試合に臨みたいと思います」


「そうか」と、立松は引き締まった面持ちのまま目もとを和ませた。


「お前さんがたが目先の小銭にとらわれない人間で、嬉しく思ってるよ。まあ、八人分の滞在費ってのは小銭で収まる額じゃねえが……《ビギニング》との正式契約がかかった試合で数十万円の出費を惜しむのは、やっぱり本末転倒だからな」


「押忍。少なくとも、ファイトマネーを上回るぐらいの出費じゃなければ、ためらう理由はないと思ってます」


 今回も、瓜子とユーリのファイトマネーは三万ドルである。それだけの報酬をいただけるならば、こちらも経費を惜しまずに最善を尽くさなければならないはずであった。


「今回、《ビギニング》から斡旋されたホテルは、ひとり頭ざっくり一日七千円だったからな。二週間分を自腹を切るなら、八名分で八十万円弱。そいつを二人で折半してもらう格好だ。それに食費なんかも上乗せされるし、俺とジョンを除くメンバーには個別にギャランティも発生するわけだが、問題ないか?」


「押忍。問題ありません。ただ……邑崎さんの代わりの雑用係に関しては、どうなったんでしょう?」


「雑用係じゃないだわよ!」と、鞠山選手が眉を吊り上げる。

 それを苦笑しながらたしなめつつ、立松は言葉を重ねた。


「次は、そいつについてだな。邑崎が参加できない分は、野郎の門下生にヘルプを頼もうかと考えてたんだが……この鞠山さんから、ありがたい申し出があってな」


「恐れ多くも、わたいのお師匠様が名乗りをあげてくださったんだわよ!」


 と、鞠山選手は平たい鼻の穴を大きく広げながら、ふんぞりかえった。

「お師匠様?」と反問しつつ、瓜子は記憶の棚をひっくり返す。鞠山選手の柔術の師匠というのは、たしか日本で長らく活動を続けたのちに故郷のブラジルに帰ったのだという話であったのだった。


「ああ、鞠山選手のお師匠さんは、ブラジルにお住まいなんでしたっけ……そのお人が、自分たちのセコンドを引き受けてくださるんすか?」


「そうだわよ。それも、サキやわたいと同じ額のギャランティで引き受けてくれるんだわよ。こんなありがたい申し出はないんだわよ。……まさか、断る選択肢はないだわね?」


 鞠山選手の気迫に気圧されつつ、瓜子は「えーと」と思案した。


「それはもちろん、ありがたい申し出なんでしょうけど……すいません。立松コーチのご意見をお聞かせ願えますか?」


「ああ。正直に言って、野郎の門下生って案は取り消そうかと思いなおしてたとこなんだ。ちょいと話を振ってみたら、どいつもこいつも及び腰だったんでな」


「そうっすか。まあ自分もユーリさんも、男子門下生のみなさんとはそんなに親睦を深めてませんもんね」


「いや、そういう話じゃなくて……ええい、言っちまうか。あのな、野郎連中はどいつもこいつも、理性が保てるか自信がないなんて言いやがるんだよ。お前さんがたと三週間も同じ場所で寝起きしてたら、どうしたっておかしな感情がわいちまうんじゃないかってな」


「ええ? それはまあ……ユーリさんが相手だったら、誰でも理性を保つのは大変なのかもしれませんけど……」


「立松コーチは、お前さんがたと明言してるんだわよ。そっち方面に関してディフェンス能力の高いピンク頭より、無防備なうり坊のほうが殿方を悩殺する恐れは高いかもしれないだわね」


「まあ、そういうことだ。大一番を迎えるお前さんがたにいらぬ迷惑はかけたくないっていう言い分だから、黙って呑み込んでくれ」


「はあ……ちょっと釈然としない部分もありますけど、とりあえず承知しました」


「で、そうなると、余所のジムからヘルプを頼むってのも難しい。懇意にしてる女子選手のみなさんは翌月のアトミックがどうなるかわからんし、野郎連中はあてにならんし、信用できるコーチ陣は自分たちの選手の世話で手一杯だろうからな。土台、よそ様の人間を三週間ばかりも拘束させていただくなんてのは、なかなかにハードルが高いんだよ」


 そう言って、立松は逞しい腕を胸もとに組んだ。


「だから、こうなったらビビアナさんあたりをレムさんからお借りしようかとも考えたんだが――」


「ええ? でも、ビビアナさんはメイさんの専属トレーナーでもあるんでしょう? 自分のことで、メイさんに迷惑はかけたくありません」


「俺がレムさんに一報を入れる前に、鞠山さんがありがたい提案をしてくれたんだよ。何せ鞠山さんの師匠だったら柔術の力量も申し分ないし、ブラジルの情勢にも通じてるだろうからな」


「もちのろんだわよ。うり坊とピンク頭が対戦する選手についても、お師匠様は若干以上の情報を携えてるんだわよ」


 また鞠山選手が自慢そうに胸を張ると、ユーリがのほほんとした顔で初めて発言した。


「鞠山選手のお師匠様なんて、どれだけ柔術の匠なのかと期待をかきたてられてしまいますねぇ。……でもでもブラジルにお住まいなのでしたら、その御方の滞在費は必要なくなるのでしょうかぁ?」


「たわけたことを抜かすんじゃないだわよ。お師匠様の道場は、サンパウロにあるんだわよ? あんたたちが滞在するリオデジャネイロまでは、車で六時間の距離なんだわよ。あんたたちがホテルを準備して、過不足なくおもてなしするんだわよ」


「あ、鞠山選手のお師匠さんもご自分の道場をお持ちなんでしたっけ。それなのに、三週間もこちらのセコンド業を手伝ってくださるんすか?」


「そうだわよ。こんなにありがたい話はないんだわよ」


 鞠山選手の気合は、高まるいっぽうである。

 それで瓜子が立松のほうを見ると、そちらは苦笑を浮かべていた。


「まあ、まったく見知らぬお人にセコンドを頼むってのは、ちょいとばっかり不安になるかもしれねえが……そのお人が立派なお人だってことは、リサーチ済みだ。あれこれ伝手を辿ってみたら、日本のあちこちにそのお人の風聞が残されてたんでな」


「押忍。風聞っすか?」


「ああ。そのお人は十年近くも日本で暮らしてたそうだが、けっこうあちこちのジムや道場に出没してたらしくってな。誰も彼もが、そのお人の強さと人柄に感心してたんだよ」


「ふふん! それは正当きわまりない評価だわね!」


「ああ。正直に言って、コーチングに関しては俺とジョンが責任を持つから、強さのほうはどうでもよかった。ただそれ以上に、人柄の評判がよかったんだよ。プロを目指す野郎連中にもキッズコースの子供たちにも分け隔てなく好かれるような、そんなお人だったらしい。それなら、問題はないかと思ってな」


 そう言って、立松は居住まいを正した。


「ただ、重要なのは選手本人のメンタルだからな。異存があるなら、こっちも考えなおす。……桃園さんは、どうだい?」


「ほえ? ……ああ、そうかぁ。これはムラサキちゃんの代役なので、その御方にはユーリなんぞのセコンドをお頼みすることになるのですねぇ」


「ああ。蝉川を桃園さんのほうに移すって手もあるが……そうすると、猪狩のセコンドが俺と鞠山さんとそのお師匠って顔ぶれになっちまうからな。それじゃあさすがに偏りすぎだし、かといって鞠山さんを桃園さんのほうに移すのは宝の持ち腐れだ。猪狩に必要なのは鞠山さん、桃園さんに必要なのはサキだろう」


 そんな風に言ってから、立松は瓜子にも向きなおってきた。


「ただこれは、ブラジル遠征に取り組むチーム編成だからな。もちろん猪狩も、無関係じゃない。異存があるなら、篠江会長やレムさんにヘルプをお願いする。ビビアナさんを避けるなら、そっちも見知らぬ誰かってことになるだろう。それならいっそ、鞠山さんとゆかりの深いお人にお願いしたほうが和を保ちやすいんじゃないかと考えたんだが……どうだ?」


「……押忍。ユーリさんに異存がなければ、自分はコーチの判断におまかせします」


「ユーリもオッケーですよぉ。そんなにお強いお人に稽古をつけていただけたら、ワクワクドキドキですからねぇ」


 ということで、ようやく話はまとまったようであった。


「それにしても、鞠山選手のお師匠さんにまでご協力を願えるとは思いませんでした。鞠山選手、ありがとうございます」


 瓜子がそのように告げると、鞠山選手は「ふん」とそっぽを向いた。


「わたいが礼を言われる筋合いはないだわよ。現地に着いたら、お師匠様に三つ指をついて礼を尽くすんだわよ」


「でも、鞠山選手が話を通してくれたんでしょう?」


「違うだわよ。あくまで、お師匠様ご自身の判断だわよ」


 その返答に瓜子が小首を傾げると、立松が説明してくれた。


「鞠山さんは今でも頻繁にお師匠さんと連絡を取り合ってて、世間話の流れで今回の一件をお伝えしたんだとさ。そうしたら、向こうから助力を願い出てくれたってことだな」


「あ、そうだったんすか。でも、それじゃあ……そのお人は鞠山選手が関わってるっていうだけで、見も知らぬ人間のセコンドに名乗りをあげてくれたってことっすか?」


「いやいや。アトミックの試合映像なんかは、毎回欠かさず送りつけてるらしいぞ。それで前々から、お前さんにも桃園さんにも目を引かれてたんだとさ」


 瓜子は、その言葉にこそ驚かされることになった。


「鞠山選手のお師匠さんがブラジルに帰ったのは、もう何年も昔の話なんでしょう? それからずっと、アトミックのDVDを送り続けてたんすか?」


「ふん。わたいの勇姿を見届けていただくには、それしか手段がなかったんだわよ。年に六回ていどなら、大した手間でもないんだわよ」


 それでも相手は、ブラジルに住まっているのだ。ブラジルへの輸送料がいかほどのものであるかは想像もつかなかったが、まったく大した手間でないことはないはずであった。


「鞠山選手はそのお師匠さんと、そんなに深い絆で結ばれてたんすね。……だったら、それを最初に聞かせてくださいよ。そうしたら、何も悩むことはなかったんすから」


「だー! やかましいだわよ! いつまでのんびりくっちゃべってるんだわよ? あんたがブラジルでしょっぱい姿を見せたら、わたいの恥になるんだわよ!」


「そうだな。おおよそ話はまとまったから、稽古を始めることにするか。猪狩はただでさえ、とんでもないスケジュールを組んでるんだからな」


「まったくだわよ。ブラジル遠征のひと月前にサキとやりあうなんて、正気の沙汰じゃないんだわよ。どんなにサキの攻略で手こずっても、ブラジル大会で手抜きはさせないんだわよ」


「押忍。もちろんです。どっちの試合も、勝ってみせますよ」


 かくして、ブラジル遠征のチーム編成は完了し――瓜子とユーリは、また楽しい稽古に励むことに相成ったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 鞠山さんの師匠さん、興味深い人ですね。人柄はもちろん、そこまで鞠山さんと仲が良いの微笑ましいと思いながら少し想像しつらいかもしれないです。今までの鞠山さんは年長者で先輩や同僚という一面しか…
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