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アトミック・ガールズ!  作者: EDA
17th Bout ~Intense summer Ⅰ~
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03 若獅子たちの台頭

 開会式を終えた後も、興行は粛々と進行された。

 アマチュア選手によるプレマッチは、どちらも時間切れの判定決着である。やはり、犬飼京菜や大江山すみれや愛音のようにアマチュアの時代から飛びぬけた実力を持つ選手というのは、稀であるのだ。


 そうして開始された、本選の第一試合。

 兵藤アケミがセコンドを務める香田真央こうだ まおなる選手と中堅選手による、無差別級の一戦である。

 なおかつこれは、香田選手にとってのプロ昇格をかけた査定試合だ。アマチュア選手がいきなり中堅のプロファイターとやりあうというのは、なかなかの試練であるはずだった。


「でも、いきなりこんな試合を組まれるってことは、それなりの実績を持ってるってことっすよね。アトミックのプレマッチでは見た覚えがないんすけど、香田選手は別の場所で実績を積んでたんでしょうか?」


 瓜子がそのような疑念を呈すると、立松が「そうだな」と答えてくれた。


「この選手は、アマチュア・フィストや柔術の大会に出場してたはずだ。さっき大和さんに言われて思い出したけど、去年の春先の柔術の大会では本来の階級と無差別級で二階級制覇してるんだよ。そら、お前さんがジョンに連れられて、大阪まで出向いてたときの話だ」


「ああ、たしかその大会では、犬飼さんも二階級制覇してましたよね」


「そう。犬飼の嬢ちゃんは白帯の部門、香田選手は茶帯の部門だな。あの若さで茶帯ってことは、そうとう昔から柔術をやりこんでた証拠だ」


 そんな風に語りながら、立松は四角い顎を撫でさすった。


「で、アマチュア・フィストでもそれなりの戦績を残していたらしいが……去年の全日本では、宇留間選手に秒殺されてた。宇留間選手の戦績を調べてる内に、俺もこの選手の名前を見かけてたんだよ。それがまさか、アトミックのほうに乗り込んでくるとはな」


「香田選手は、宇留間選手と対戦の経験があったんすか」


 瓜子は俄然、興味をそそられることになってしまった。

 立松も、それなり以上に真剣な眼差しでモニターに見入っている。


「宇留間選手はその試合に勝つことで、プロ昇格を勝ち取った。で、プロ昇格を逃した香田選手は、フィストからアトミックに乗り換えたってことなんだろう。同門の兵藤さんがアトミック生え抜きのファイターだったから、その辺りの事情も絡んでるんだろうな。何にせよ、財政難のパラス=アテナがわざわざアマチュア選手を関西圏から呼びつけたってことは、けっこうな期待がかけられてるってことだろうよ」


 そのように評される香田選手は、意外なほど身長が低かった。ウェイトは六十五キロという堂々たる数値であるのだが、身長はわずか百五十六センチであったのだ。

 しかしその分、体格はがっしりとしている。首も腕も足も胴体も太くて、男のようにごつごつとした筋肉が盛り上がっている。それを支える骨格も、相応のサイズであるようだった。


 体形だけを見ていると、兵藤アケミをそのままワンサイズ小さくしたような姿である。

 が、首から上だけは大きく印象が違っていた。土佐犬のように厳つい風貌をした兵藤アケミに対して、香田選手はずいぶん幼げな面立ちをしていたのだ。

 年齢も、二十歳そこそこであるという。まん丸の顔に黒目がちのつぶらな目が瞬いており、筋骨隆々の肉体とはミスマッチに感じられるほどであった。


「あんまり迫力のある面がまえではねえな。まあ、二十歳そこそこでこの身体ってのは、ずいぶんフィジカルに恵まれてるけどよ」


「そうっすね。すいぶん童顔みたいです。って、自分が言えた筋合いじゃないっすけど」


「……そういえば、お前さんはもう二十歳になったんだっけ?」


「そうっすよ。中学生みたいで申し訳ないっすね」


「べ、別にそんなことは言ってねえだろうがよ」


 と、立松が慌てた声をあげたところで、試合開始のブザーが鳴らされた。

 相手選手は百六十五センチ、六十九キロという体格だ。ただし、いくぶんゆるんだ身体つきをしており、それほど節制しているようには見えなかった。


 そんな相手選手に向かって、香田選手は勢いよく接近する。

 両腕で頭をガードして、かなり前屈の体勢だ。とにかく接近戦に持ち込もうという強い意気込みが伝わってきた。


 香田選手は柔術道場であるジャグアルの所属であるし、柔術の大会でも結果を残している。相手選手も、それぐらいの情報は収集していることだろう。よって、香田選手の接近を食い止めるべく、重そうな打撃技を繰り出した。


 オープンフィンガーグローブに包まれた左右の拳が、頭部をガードした香田選手の両腕に叩きつけられる。

 しかし香田選手は怯んだ様子もなく、前進し続けた。

 相手選手は後退しながら、さらに拳を振るい続ける。ゆるんだ身体つきでも、このウェイトであれば相応の破壊力であろう。モニター越しにも、なかなか迫力のある攻撃であるように感じられた。


 が、香田選手の前進は止まらない。

 そして、相手の攻撃の間隙をついて、香田選手も右拳を繰り出した。

 ショートレンジの、右フックである。

 相手選手も前腕でブロックしたが、その一撃だけで身体が揺らいでいた。


 その攻撃を皮切りに、今度は香田選手が攻勢に出る。

 左右のフックの連打だ。

 相手選手はガードを固めつつ、何とか横合いに逃げようとする。

 しかし香田選手は手を出しながら前進し続けているために、両者の間合いは一定に保たれたままだ。


 相手選手は明らかに嫌そうな顔つきで、おもむろにアッパーカットを繰り出した。

 すると、香田選手はふっとバックステップを踏み、その攻撃をすかしてみせる。そこで立松が初めて、「お?」と興味深げな声をあげた。


 香田選手はすぐさま距離を詰め直し、また左右のフックを振るい始める。

 相手選手もフックを返したが、それはダッキングでかわされた。


 いつしか香田選手の攻撃だけが、相手の身に届いている。

 相手選手もクリーンヒットは許していなかったが、ガード越しでもその衝撃は彼女を脅かしているように見えた。


 相手選手は、おもいきり右膝を振り上げる。

 香田選手は再びのバックステップでそれをかわして、またすぐに距離を詰めた。

 相手選手は、香田選手の頭を抱え込もうとする。

 香田選手はいっそう身を低くしてその腕から逃げ、がら空きのボディにフックを叩き込んだ。

 相手選手は顔をしかめながら、とにかく距離を取ろうと両腕を突っ張る。

 その腕を払いのけて、香田選手は右フックを顔面に当てた。


 気づけば、一方的な展開である。

 相手選手はどれだけ足を使っても香田選手の間合いから逃げることができず、一定の距離で攻撃をくらってしまっている。その姿は、アリジゴクにはまった獲物を連想させてやまなかった。


 香田選手は細かく打撃を振るっているので、まだ致命的なダメージは与えられていない。しかし相手はほんの一分半ほどの時間で、すでに足をもつらせていた。

 このままでは、クリーンヒットをもらうのも時間の問題であろう。

 相手選手は完全に追い詰められた形相で、香田選手に覆いかぶさろうとした。体格差の利を活かして、強引に香田選手を押し倒そうとしたのだ。


 すると香田選手はぐっと身を屈めて、相手の胴体に組みついた。

 そうして少しだけサイドに回り込み、突進の勢いを背後に逃がしつつ、相手の足を蹴り払う。それで相手選手は、前のめりに突っ伏すことになった。


 相手選手が倒れたならば、香田選手は意外なほど機敏な動作で、相手の上にのしかかる。相手選手は慌てて上を向いたが、その頃にはもうマウントポジションを取られてしまっていた。


 香田選手は立っていたときと変わらぬ小刻みなモーションで、左右のパウンドを振るい始める。

 相手選手は頭を抱え込みながら、弱々しく横向きになってしまった。

 それでも香田選手はテンポをゆるめずに、ひたすら拳を落とし続ける。うっかり相手の後頭部を殴ってしまわないように抑制された、きわめて理性的な攻撃だ。


 それほど長い時間をかけることなく、レフェリーは両者の間に割って入った。

 結果は一ラウンド二分六秒、パウンドによるTKOである。ひたすら攻撃を続けていた香田選手は全身が汗だくであったが、その丸っこい顔には昂揚も気負いも感じられなかった。


「ふん。どっちが格下だかわかんねーな。猛牛女も、ずいぶんな隠し玉を持ってるじゃねーか」


 黙々とウォームアップに励んでいたサキがそのように言い捨てると、小笠原選手も「そうだね」と笑顔で同意した。


「まだまだ未完成な感じはするけど、基礎の部分はしっかりしてるし、恐ろしいほど冷静みたいだね。それでいて、ここぞというときの爆発力は大したもんだし……《西の猛牛》の血は、しっかり受け継がれてると思うよ」


「へん。何をニタニタ笑ってやがる。猛牛女を二代にわたって叩き潰してやろうって算段か?」


「だってアタシは、舞さんとアケミさんの関係を羨ましく思ってたからね。同世代のライバルだったら、大歓迎だよ」


「五歳やそこらも下の人間をつかまえて、同世代よばわりかよ。隣のチビタコも、ババアが無理すんなって言いたそうなツラをしてんぞ」


「ちょ、ちょっと! そんなこと、これっぽっちも考えてませんからね!」


 瓜子が慌てて声をあげると、小笠原選手は「わかってるって」と肩を小突いてきた。

 ともあれ、兵藤アケミの後輩にあたる選手が、《アトミック・ガールズ》の舞台に乗り込んできたのだ。瓜子としても、その躍進を願うばかりであった。


 そうしてここからは、アトム級の四連戦である。

 立松は気合の入った顔で、「よし」と身を起こした。


「サキ、廊下に移動するぞ。メイさんは、こっちの二人をよろしくな。何かあったら、すぐに声をかけてくれ」


「了解した」と、メイも真剣な眼差しでうなずく。次は愛音の出番であり、ジョンと柳原とサイトーはそちらに同行しているため、残るセコンド陣は立松とメイのみであったのだった。


(やっぱり五人のセコンドで四人の面倒を見るってのは、大変なことだよな)


 しかしこの場に新たな男子選手やキックの女子選手などを招集しても、一緒にモニターを眺めているばかりであろう。ユーリもプレスマン道場の正式な所属選手となってからはずいぶん周囲との軋轢が少なくなっていたものの、やはり固定のメンバーとしか交流は深まっていないため、余計な気苦労が生じる可能性は否めなかった。


(普段はその適度な距離感が心地いいわけだしな。ユーリさんだけじゃなく、あたしも少人数で結束を固めるほうが性に合ってるってことなんだろう)


 そんな思いを抱えながら、瓜子はユーリやメイや小笠原選手とともにモニターを見守った。

 青コーナー陣営の選手に続いて、愛音が堂々と入場してくる。同門の選手を固めるために、これがプロデビュー戦となる愛音も赤コーナー陣営に配置されたのだ。しかし、ユーリがらみの撮影で名を馳せた愛音は、相手選手と比較にならないぐらいの歓声を浴びていた。


『恵比寿AHEAD』はもともとロックバンドを対象にしたライブハウスであったため、照明の器材も充実している。さまざまな色合いをしたスポットライトに照らされながら、愛音はこれ以上もなく奮起しているようだった。


 ウェアを脱いでボディチェックを受けた愛音は、いよいよ気合の入った肉食ウサギの形相でケージに足を踏み入れる。

 試合衣装はユーリと同一で、白とピンクのハーフトップにショートスパッツだ。ヘアースタイルは相変わらずサイドテールで、髪が邪魔になるグラウンド戦につきあう気はないという意気込みを暗に示していた。


 相手選手はこれがプロ四戦目となる若手選手で、戦績は三勝一敗。柔術をベースにしたグラップラーだが立ち技も決して苦手ではないという触れ込みであった。

 身長は百六十センチの愛音よりも二センチ低いだけだが、体格はなかなかがっしりとしている。以前よりもアトム級の試合に注目するようになった瓜子は、自分がいかに特殊な体形をしているかいっそう痛感させられていた。


(アトム級でもあたしより細く見えるのは、邑崎さんみたいに若くて骨格が未発達な選手か、それよりもっと背が高いサキさんや雅選手ぐらいなんだよな)


 まあ、瓜子は骨が細い上に、人並み外れて重い。それで実際よりも四キロ以上は軽く見えるようだと、卯月選手にお墨付きをいただいた身であるのだ。四キロといえばちょうどアトム級とストロー級の体重差であるので、瓜子がアトム級の選手よりも細く小さくなってしまうのが当然の帰結というわけであった。


(で、そんなあたしが一階級上の選手とやり合うことになれば、そりゃあセコンド陣も心配になっちゃうよな)


 瓜子がそんな想念にひたっている間に、選手紹介が終了していた。

 その際にコールされた愛音の名は、『アイネ・ローズ=ブロッサム』という珍妙なものである。プロ選手としてデビューするにあたって、愛音はリングネームをこしらえたのだ。むろん、派手派手しいリングネームを持つユーリにあやかってのことであろうが――それを自慢げに語る愛音を容赦なく冷やかしたのは、とりあえずプレスマン道場においてサキただひとりであった。


「それで気合が入るんなら、好きな名前を名乗りぁあいいさ。仰々しいリングネームをつけてしょっぱい試合を見せたら、恥をかくのは自分なんだからな」


 立松などは、そのように評していた。

 そして――その日の愛音は、仰々しいリングネームに恥じない試合を見せてくれたのだった。


 サウスポーでアウトファイトというスタイルを持つ愛音は、この日もその特性を存分に発揮していた。アトム級としては長身で、なおかつそれ以上に恵まれたリーチとコンパスを持つ愛音は相手選手の接近を許さず、遠距離から翻弄し、ここぞという場面では鋭いカウンターを決め――わずか三分で、KO勝利を収めてみせたのだった。


 キャリアでまさる相手を一ラウンドでKOしてみせたのだから、プロデビューとしては十分以上の結果であろう。なおかつ愛音は相手の攻撃をほとんどくらっておらず、ノーダメージだ。観客席の人々も、愛音の勝利を惜しみなく祝福してくれていた。


「ムラサキちゃん、おっめでとー! 今日も華麗なステップワークだったねぇ」


 愛音が控え室に戻った際、真っ先にそんな声をかけたのはユーリである。

 試合の余韻でまだ肉食ウサギの形相であった愛音は、それであえなく感涙にむせぶことに相成ったわけであった。


 続いて、アトム級暫定王者決定戦の査定試合の二試合目は、大江山すみれの登場だ。

 アマチュア時代に立派な戦績を築いていた愛音が唯一敗北したのが、この大江山すみれである。彼女は三月大会で愛音を下してプロ昇格を勝ち取ったわけであるが、五月大会は欠場し、同時期に行われた《レッド・キング》ではまた男子選手を相手に非公式マッチに臨んでいたため、やはりこれがプロデビュー戦であった。


 愛音とそっくりの体格で、茶色い頭をツインテールにした大江山すみれは、本日も柔和な面持ちでケージに登場した。

 セコンドには父親である大江山軍造と道場主の赤星弥生子、そして人相を隠した六丸が控えている。大江山すみれは六丸を根とする古武術スタイルの使い手であるため、彼もセコンドとして招集されることになったのだろう。


 ただし――これは内密の話であるが、六丸自身は赤星弥生子にしか自分の技を伝授していないのだという。大江山すみれは、六丸から許しを得た赤星弥生子によって、間接的に伝授されたのだという話であった。


「もともと六丸の技というのは、人を殺めるための武術であるんだ。それをスポーツとしての格闘技にアレンジしたのは私だから、他者に伝えるには私を通すしかないんだよ」


 いつだったか、赤星弥生子は瓜子にだけそんな裏事情を教えてくれたのだった。

 そして、瓜子が古武術スタイルについて話を聞いたのは、その一度きりである。そもそも六丸の体得した武術は門外不出であるため、赤星弥生子にその一部が伝えられたことも絶対の秘密であったのだった。


(六丸さんは、たった一人で道場と《レッド・キング》を引っ張っていこうとする弥生子さんのために、秘密の技を伝授することになったんだもんな)


 そして六丸自身は覆面と全身タイツで正体を隠し、赤星道場を捨てた卯月選手を《JUF》の舞台で打ち負かしている。六丸がどれだけ赤星弥生子のために身を削っているか、その事実を痛感するたびに、瓜子は胸が詰まるような思いを抱かされていたのだった。


 きっとこの大江山すみれというのは、そんな赤星弥生子と六丸に感化された選手であるのだろう。いつも内心の知れない微笑をたたえている不可思議な少女であるが、彼女もまた赤星道場と《レッド・キング》のために尽力しているはずであるのだ。


 そんな彼女もまた、これまでの試合で一敗しか喫していない。

 その相手は、犬飼京菜である。

 今回の相手は若手なれども、犬飼京菜より長いプロキャリアを持つ選手であったが――やはり、大江山すみれの敵ではなかった。相手選手も大江山すみれの古武術スタイルを研究して慎重に試合を進めていたものの、間合いに踏み込むなり下顎に前蹴りをくらって、失神KOである。


 かくして、愛音と大江山すみれは査定試合を勝利で飾ることがかなった。

 大江山すみれにしか負けていない愛音と、犬飼京菜にしか負けていない大江山すみれが、アトム級暫定王者決定戦にエントリーされることになったのだ。きっと犬飼京菜を含むこの三名は、それぞれが台風の目となって歴戦のトップファイターたちを脅かすことになるのだろうと思われた。


 そういえば――瓜子が大江山すみれと初めて出会ったのは昨年の二月、《G・フォース》の試合会場である。サイトーのセコンドとして同行した瓜子は、同じくセコンドとして参じていた大江山すみれをレオポン選手から紹介されることになったのだ。

 なおかつその場には愛音も同行しており、全員で犬飼京菜の王座戴冠と即時の返上、およびMMAへの転向表明という大騒ぎを見届けることになった。そうしてそんな騒ぎの中、愛音と大江山すみれと犬飼京菜はこの階級のアマチュア部門を大いに賑わすのだろうな――と、瓜子はそんな感慨にとらわれたのだった。


(アマチュア部門どころか、その三人はプロに昇格して、全員が王座を目指せる立場になったってわけだ)


 あれから一年と五ヶ月で、そこまで騒ぎは大きく広げられたわけである。

 そして現在では、瓜子が敬愛するサキまでもがその騒ぎの渦中に巻き込まれている。

 あらためて、瓜子は激甚なる時の流れを痛感させられたわけであった。

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