グループホーム考
ついにやってきた入社初日、伴太くんはグループホームきさらぎ配属。1ユニット9人の2ユニット制18人満床である。月額利用料は食費や備品込みで15万から20万円ほどだ。毎度思うけど高い。自分は今年35歳になるが40年後毎月これだけの生活費を出費できるほど金を貯めれない気がする。年金も出るか分からんし、ぶっちゃけ貯金も現在50万円しかない。しかし高度経済成長期を支えた人間は凄かった。マジで所得が倍増した時代である。夢あったよなぁ。努力したリターンが戻ってきたいい時代だった。年金も割ともらっており、貯金も多い。最低で一本、多いと5千万近く持っているじ様ば様も多いのだ。こればっかりは運もあるが、なんやかんやで俺たち戦後世代はそういった年寄りが作った国のお陰でのほほんと過ごせており、割り切るしかないと個人的には思っている。戦後世代は給料は上がらないが、そのかわりスタート地点は割と楽だし。
グループホームは認知症の高齢者が助け合って毎日を過ごす場である。しかし介護需要は年々高まり、簡単に特養に入れる時代から、保育園並みに待機高齢者が多い現状だ。保育園はしょせん都会の話だが、待機高齢者は都会も田舎もすべての地方でのしかかる。最初は要介護1ぐらいだった入居者も年が経てついに要介護5になりそれでも引き取る特養が3年待ちなのだ。必然的に職員数が少ない、なのに有料並みの忙しさである。そんでもって利益率もそういいわけじゃないから、人手が年がら年中足りない状況である。あんまり介護って利益は出せないのよね。不況でも収益がそんなに変わらないってのが最大の魅力だけど。
ということで伴太くんが配属されるグループホームきさらぎA組の平均要介護度は3を超えている。特養状態である。伴太くんは知らない。というか軽く考えている。本当の地獄はこれから始まるのだと。