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大切だった人【改造版】

作者: 龍花雪斗

龍花雪斗です。

これは以前投稿した〈大切だった人〉の【改造版】です。凄く長くなってます。


 朝、起きると涙が出ていた。夢の中で起きたことで泣いているのだ。いや、実際には昔あった事を思い出して涙が止まらないのだ。泣いても戻らない、戻せない出来事だ。

 突然だが君は大切な人はいるだろうか。僕は居た。もう随分と昔の話だ。

僕が十歳の頃、好きな子が居た。だった好きがどういう気持ちなのかがよく分かっていなかった事を覚えている。

 祖母に彼女を見ていると心臓が破裂しそうで苦しいと言ってみたところ、その苦しみは“好き”という感情つまり“恋”だと言う事を言われた。本当に、どういうことか。わからない、分かりたくもないと言った顔をしていたら祖母が、


「リュウにはまだ分からないかな。けどもう少ししたら分かる時が来るから。」

と言われた。

 それでも分かろうとするのが嫌だった。怖かったと思う。愛情のない家族を憎んでいる自分が人を好きになる筈がないと思っていたからだ。

そんな時に彼女は真っ直ぐに好きと言ってきた。

それに、その気持ちにどう応えるべきかが分からなかった。だから僕は夕暮れの公園で


「分からない。何が分からないのかも分からないなんで僕を好きになるかも分からない。」

 と答える僕に彼女は

「そうだよね。分からないよね。けど、」

 そこで言葉が止まった。言おうか迷っていたんだと思う。無意識に僕は

「ちゃんと答えを出すから。見つけるから、その時までに君が他の人を好きにならなかったら。僕の答えを聞いてください。」

 そんな僕の言葉を聞いて彼女が

「ふふ、ずっと待ってるよ。それまで誰かを好きになったりなんてしないよ。」

 そういうと彼女はニシシと言いながら笑う。

夕暮れと彼女の笑う顔がとても似合っていた、見惚れるほどに。顔が熱くなってるが分かったが、気のせいだと思う事にして誤魔化した。今振り返ってみると前からずっと、彼女が好きだったと思う。ただ僕では釣り合わないそう逃げていた気がする。それに友達以上恋人未満の関係も心地良いと感じていた。だからこそ、壊したら怖い無くしたく無かった。

その日は夕暮れの時にあった告白の事をずっと考えながら両親に殴られ、兄弟にオモチャにされていてもそのことが頭から離れない。“恋”ってなんだろう。“好き”とはいったい。そう考えながら寝た。


 朝、目が覚め彼女がいつも待つ公園へ走って行った。答えはすでに出ていたんだと思う。だから柄にもなく走ったんだ。公園に着くとすでに彼女がいる。僕が着いたと同時に彼女が

「おはよう、リュウ。」

 と笑顔で挨拶をする。それを僕も

「おはよう。」

 と言って返す。恥ずかしくてなかなか名前が言えずに居た。そんな僕を彼女は

「無理しないでいいからね。リュウのペースでいいから。」

 と言ってくれる。彼女の言葉にはいつも助かっている。だから、関係を進展も壊れるのも怖かったけど、

「あのさ、昨日のことなんだけど。」

「あぁ、アレね。気にせずにゆっくり答えを出してね。いつまでも待ってるから。」

「うん。僕は君が凄く大好きだ。」

 それを聞いた彼女はびっくりしながら顔を赤面させ、爆発した。彼女の脳内の容量がオーバーしたんだと思う。それを見て僕は、可愛いなと思いながらアタフタしている彼女をしばらく見ていた。

彼女が落ち着いて、

「いいの?本当に私なんかで。」

「うん、凄くいいよ。」

 本当に嬉しそうに喜んでくれていた。僕も嬉しかった。その日は凄く遊んで帰ろうとしていた。家が近い為、帰り道は一緒に帰っていた。いつも先に僕が家に着いて彼女を見送る。それだけで幸せに感じていた。だがもうすぐ、僕が悔やむことになる。

−−−ドッン−−−

と鈍い音が聞こえた。僕は聞こえた方向に恐る恐る目を向けると彼女が車に()かれていた。

慌てて駆け寄った。その時はまだ暖かった、だから出血している腹部を押さえた。轢いた人は顔を青ざめさせながら救急車は呼んでいるみたいだった。僕は、

「死なないで、まだ言ってないことがあるから。

サエリ、好きだから。会った時からずっと。」

 僕は我慢出来ずに泣き始めた。だんだんと彼女の体温が下がっていったのが分かったから涙が出始めた。押さえていた腹部からは血が止まらないけど、諦めたくなかった。その時、救急車が近くまで来ていた。

「サエリ、もうすぐ助かるから。」

 それを聴いた彼女は朦朧(もうろう)とした目でこちらを見て

「うん……リュ…ウ…愛……してる…から…ね。幸……せに…なって。」

 と涙を流しながら笑顔で言った後に救急員が来て、サエリを運んで行った。その後の僕は呆然としながら運ばれて行く彼女を見送っていた。病院に運ばれた後にサエリは亡くなった。


数日後、サエリの両親から告げられた事は二つ、一つ目は轢いた人は居眠り運転をしていたのこと

二つ目はサエリは病気だったことが判明し、手術しても治る可能性は低く、酷く絶望していたようだ。

 もしも、手術が成功しなかって好きな人に好きと言えず死ぬのは嫌だと言う事でだから数日前に告白をしたと言われた。泣きそうになった。

そのあとに、手紙を渡された。なんでも失敗して亡くなった時に渡して欲しいって言うものだった。お礼を言って帰った。

その夜に手紙を読んだ。読み始めると涙が止まらなくなった。


  リュウへ

ごめんねこの手紙を読んでいるって事は私は死んでいる事でしょう。だけど、リュウは元気で生きてください。私はリュウと一緒の時間を生きれなかったけど、私はリュウを愛しています。

これは死んでも分からないかな。

私はリュウの事を忘れるかもしれないけどリュウは私の事を忘れないで心にしまってください。

今までありがとう。大好きな人。

              サエリより


号泣した。泣いていた僕から取ってそれを読んだ家族は変わった。今では仲がいい。それに関してはサエリに頭が上がらない。

「今日はサエリの命日だから昔の事を思い出していたのか。」

 僕は大切な人を失った。ただ失っただけじゃない弱さも知った。大切さを知ることができた。

だけど、サエリの分まで生きて幸せになって行くと決めた。




–––僕は守れなかった事を後悔しながら今日も生きてゆく–––





最後まで読んでくださり、ありがとうございます。


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