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39.極秘会談


「よく来てくれた、フェリルどの、クオンどの」

「よくぞいらっしゃいましたですぅー」


 エイゼニルの町の旅亭にて、豪華な食事がふんだんに並べられたテーブルを、エスティルとマゼッタ、それにフェリルとクオンが挟む形で極秘会談が執り行われようとしていた。


「う、旨そうだ……でも、こんなにいいのであるか?」

「美味しそうですが……いいのですか?」

「ここに放置してあったものだし、どうせ腐るだけだから構わないと自分は判断した。どうやら、モンスターどもは人間の肉にしか興味がなかったようで……」

「ですですぅ……」


 二人が言い終わる頃には、既にフェリルとクオンが食事に手をつけていた。


「グルルゥ……美味い、これは結構なお点前……」

「ウミュゥ……美味しいです」

「「……」」


 一心不乱に食べる二人を前に、エスティルとマゼッタが顔を見合わせてニヤリと笑う。


「――モシャモシャ……ごっくん。しかし、今更かもしれぬが何故オルドやほかの面子をここに呼ばなかったのだ?」

「ムシャムシャ……ごくんっ。どうして呼ばないのです?」


 ほどなくして食べ終わったフェリルとクオンの質問に、エスティルとマゼッタは一転して神妙な顔つきになった。


「ロクリアとアレク様は場を荒らしてしまうし、オルドどのもわけあって呼ぶわけにはいかなかった」

「そうなのですぅ」

「グルルルァ……何故だ? 二人ともあれほどオルドに心服していたではないか」

「ウミュァアッ……どうしてです?」

「これは……あなた方のためでもある!」


 突如、ドンと勢いよくテーブルを叩いて立ち上がるエスティル。その目には涙が浮かんでいた。


「……我々のため?」

「どういうことですか?」

「くっ……いかん、動揺のせいか……声が上手く、出せない……はぁ、はぁ……マゼッタ、あとは頼む……」

「……はい。ぐすっ……よく言えたです、頑張ったです、エスティル……。あとはわたくしに任せて休んでくださいねぇ」


 マゼッタが涙を拭うと、強い表情でフェリルとクオンを見やった。


「お二人とも、よく聞いてください。オルドは大悪人なのですぅ……」

「「大悪人?」」

「……はい。ロクリアとアレク様は好き同士でしたが、そこに強引に割り込んだのがオルドなのですぅ。ロクリアは俺のものだ、この決定に従わないなら勇者パーティーを抜けると脅してきたのですぅ……」

「……くっ……か、可哀想なアレク様とロクリア……」

「エスティル、わたくしが話しますから休んでてくださいぃ……」

「いや……マゼッタにばかり重荷は任せられないし、大分落ち着いてきた……。だからこれからは自分が話す。オルドどのに大きな力があるのは認めるが……それに物を言わせて二人の絆も壊すとは……」

「うぅ……この国を守るためにと、ロクリアとアレク様は自分の心を犠牲にしたのですぅ……」

「「……」」


 ぽかんとした顔を見合わせるフェリルとクオン。まもなく怒った表情をエスティルとマゼッタに向けた。


「グルルァ……それで証拠はあるのであろうな……?」

「あるのですよね? ウミュァアッ……」

「もちろんだとも」

「ですぅ」


 二人の怒気が籠もった声に対し、エスティルとマゼッタは待ってましたと言わんばかりの会心の笑みで返してみせた。


「な、何……?」

「そんなはずないです」

「ではこれを見てほしい」

「見てくださいですぅ」


 二人がフェリルたちに見せたのは、それぞれ一枚の手紙だった。


「自分が持っているのが、オルドがアレク様にあてた手紙のうちの一枚だ」

「わたくしのものは、オルドがロクリアにあてた非道な手紙ですぅ」

「「……」」


 フェリルとクオンの視線が二枚の手紙のうち、特にマゼッタが持っている手紙のほうに注がれる。そこにはこう書かれていた。


『拝啓、愛しのロクリア。俺とお前は幼い頃から見知った仲だ。ゆえにお前と一緒になれない未来など到底考えられない。お前は俺の妻になって同じ墓に入る運命なのだ。なのにアレクなどというどうしようもないザコを選ぶのであれば勇者パーティーから抜けさせてもらう。この国を救いたければ俺と一緒になるほかないということだ。要求に応じない場合、お前たちは滅びゆく国の中で無力感に苛まれながら惨めにくたばることになる』


「……ば、バカな……」

「……そんな……」

「そういうことだ」

「ですぅ」

「「……」」


 フェリルとクオンが呆然となって言葉に窮するのも無理はなく、二枚の手紙はどう見ても同一人物――賢者オルド――の筆跡であった……。

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