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32.変貌


「オルドさん、さぞかし辛かっただろうねえ……」

「賢者さん、応援してるよ!」

「オルド、あんたこそ英雄だ!」

「アレクなんかよりオルドの銅像を建てるべきだったな!」

「……」


 俺はいつもの広場に到着したわけだが、そこにいた民から驚くほど好意的に迎えられた。


 それまでの俺は哀れな追放者として人々の記憶から消えていたか、あるいは侮蔑の対象でしかなかったはずなのにな。どうやらあの貼り紙が相当に効いてるらしい。ほぼ半壊したアレクの銅像の前ということもあって気分はとてもよかったが、棘のある視線も未だに感じるからあまり調子に乗らないほうがよさそうだ。


「グルルァ……オルドよ、人気者であるな」

「ウミュァア……オルド様、大人気ですね」

「あぁ、おかげさんでな。それより、決まったぞ。フェリルとクオンも勇者パーティー入りだ」

「おおっ……まさか我が勇者パーティーに入ることになろうとはな……」

「クオンも嬉しいです」

「ま、肝心の勇者アレクが壊れてるから名ばかりの勇者パーティーだけどな」

「ププッ……銅像もこの有様だし、あの男らしい結末であるな」

「無残ですね」

「ああ……っていうか、二人ともまさか首輪をずっとつけてたのか?」

「む? ペットには必須の装備なのでは?」

「クオンもそう聞きました」

「……」


 あ、そうか。まだ鋭い視線を向けられていると思ったら、それに対してだったのか。明らかに窮屈そうだからすぐ外すだろうと高を括ってたが……。


「その首輪はペットの正装みたいなもんでな。基本的には俺たちしかいない場所で身に着けるものだから、今はつけなくていいんだ」

「ふむ……」

「ウミュウゥ……」


 二人とも、少し不思議そうではあったが納得したのか外してくれた。勇者パーティーに加わるってことでまた鑑定士とシスターの格好になってもらってるわけで、首輪はペットや奴隷につけるものだからどうしても目立ってしまうんだ。


「まだあいつらとの待ち合わせの時間まで暇があるから、適当にその辺を練り歩くか」

「グルルゥ、それはいい。我もちょうど腹を空かしていた頃だ」

「ウミュア、クオンもですー」

「よし、それじゃ俺が以前よく行ってた飯屋に行こう」


 名誉の次は腹を満たすべく、俺たちは意気揚々と目的の場所へと向かった。




 ◇ ◇ ◇




「バンブゥ……」

「あらまぁ、アレク様ったらこんなにお顔が腫れちゃって……どうしたんでちゅかね~?」


 すっかり生気を失ったアレクの頭を嬉しそうに撫でるロクリア。


「「……」」


 そんな変わり果てた二人を呆然と見やるエスティルとマゼッタ。


「こんなはずではなかった……」

「ですぅ……」


 彼女たちの広場へ向かう足取りは重く、溜息の回数も増えるばかりであった。


「これからどうするか……アレク様とロクリアの心が壊れ、オルドは魔法力を半分にされた。このままでは、復活してさらに強くなった魔王を倒せるかどうかすら未知数だ……」

「でも、オルドが仲間を二人連れて来るそうですし……それに賭けるしかありませんねぇ」

「……だな。しかし、自分たちの立場は依然として厳しい。あの男にしてきたことを考えれば、魔王討伐以前にストレスに耐えられるかどうか……」

「エスティルったら、怖いこと言わないでほしいですぅ……」

「……だ、だが、希望がないわけでもない」

「希望とはなんですぅ……?」

「アレク様が、一時的にではあったが元に戻った。オルドに遭遇したことによる影響としか思えないのだ、自分は……」

「ショック療法ってやつですねぇ……あっ!」


 口に手を当ててはっとした顔になるマゼッタに対し、エスティルがうなずく。


「マゼッタもわかったようだな。これから不本意ながらオルドと行動を共にするわけで、いずれアレク様もロクリアも正気に返る可能性がある」

「なるほどですぅ……」

「そして、そうなったらそのときこそ自分たちが逆襲する番だ」

「えぇ……?」

「耳を貸せ、マゼッタ」


 エスティルが耳打ちで伝えた言葉に対し、最初は当惑気味だったマゼッタの顔には、薄らと笑みすら浮かぶようになっていた……。

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