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権力とかよく分からないけど、とにかく選挙に行きましょう

 それは、朝、出勤前に朝食を取っている時の事でした。

 何かのワイドショー的なテレビ番組を観て、僕は「なるほど。これかぁ」などと思ったのです。

 それは国が主導して行っている車の自動運転実験のニュースだったのですが、僕が知っている車の自動運転とは似て非なるものでした。

 その自動運転は、道路に電磁誘導線を埋め込んであって、それを車が探知して走り、GPSの機能で補うといったようなものだったのです。今の自動運転は、そんなもんがなくてもAIの力だけで走れますから、まぁ、全然違います。どう考えても見劣りしてしまうでしょう。

 コメンテーターも困ったのか、その映像の説明を受けて、

 「最新の技術を使わなくても、古い技術を活かすことで、自動運転は実現できるのですね」

 と、そんなようなことを言っていましたが、明らかに表情は渋かったです。

 この自動運転は、交通インフラありきの技術で、はっきり言って、もし仮に日本で実現したとしても、海外で売れるような代物じゃありません。だから、ビジネスを考えるのならば力を入れるべきではないと言わざるを得ないでしょう。

 日本の将来を考えるのなら、こんな技術には見切りをつけて、さっさと世界で通用するような自動運転技術に全力を傾けるべきであるはずです!

 

 ……なーんて、さも自分の意見であるかのように書きましたが、これ、僕のオリジナルの意見ではありません。

 辛坊治郎さんって人が繰り返しエッセイで主張している事で、こんな感じで怒っているので印象に残っていたんですが、当に彼が主張している通りの内容がテレビで流れていたので「なるほど。これかぁ」と僕は思った訳なんです。

 自動運転とほぼ同じ理屈で、自動ブレーキの話もあります(と言うか、関連技術なんですけどね)が、辛坊治郎さんによれば、実は世界で一番早く自動ブレーキを開発したのは日本企業らしいです。ところが、それを国が妨害してしまったが為にビジネスチャンスを逃してしまったのだとか。

 何故、そんなことをするのか?

 因みに、辛坊治郎さん以外にもこれと似たような主張をしている人はいます。疑惑含みであの某有名なニュース番組を降板したあの某有名な方は、交通事故が起こる度に自動ブレーキの性能向上と普及を訴えていましたし、ネットを検索するとやはり国交省や警察が日本の自動運転技術の発達を邪魔しているといったような疑惑を訴えている人達が見つかります。

 薬害エイズ事件や幼保一体化の妨害などで毎度お馴染みな問題ですが、これは政治家や官僚の利権に関わる“黒い話”の一つです。

 もし仮に交通インフラとセットの自動運転技術を普及できたならば、当然ながら、その交通インフラを整備する為の団体が組織できます。すると、国交省の天下り先ができる事になります。その天下り先が欲しい…… つまり、金が欲しいので、国交省はAIのみによって実現できる自動運転技術を邪魔してきたそうなのです。

 実際、海外では公道での自動運転実験はもう随分と昔から認められていたのに、日本ではつい最近(2019年6月に書いています)になって、ようやく認められました。しかも、かなり制約があります。更に、先程述べたような交通インフラありきの自動運転を普及させようとしているような動きもあります。

 まぁ、もっとも、流石にいくら何でも時代遅れ感は否めないので、これからは是正されるのじゃないかと期待したいところですが。

 これもつい最近の話ですが、続発する高齢者ドライバーの交通事故を受けて、高齢者ドライバーに対して、安全機能付き車両限定の免許制度を検討することになったそうです。自民党は以前から自動ブレーキの普及に前向き(という発言をしています)でしたが、ようやく動き始めたのでしょうか?

 それ自体は歓迎すべきだし評価するべきだとも思うのですが、もう少し早く動いて欲しかったというのが僕の本音です。

 迅速に自動ブレーキの性能向上と、普及を行っていたのなら、どれだけの命が助かっていたか分かりません。

 高齢社会になることは、もう随分前から分かり切っていて、当然ながら、今のような交通事故多発問題が起きる事も分かっていたのですから。

 

 ――いや、まぁ、もっとも、邪推するのであれば、それができない事情があったのかもしれない、とも思うのですがね。

 

 実は自動ブレーキに関して、僕は不可解に思っている点があるのです。

 これだけ何度も何度も「自動ブレーキさえ付いていたなら防げていたのじゃ?」という交通事故が起こっているのに、テレビのニュース番組等では、自民党が先に述べた高齢者限定免許の検討を発表するまでは、滅多にそれを取り上げてこなかったんですね(と言うか、僕は先に挙げたニュース番組を降板した人以外では記憶にありません)。

 自動ブレーキの義務化は、世界的な流れでもあって、日本も前向きな姿勢を示しているんです。だから、交通事故のニュースで、自動ブレーキの話題を出すのは極めて自然な流れであると言えるはずなんです。

 では、どうして日本の大手マスコミは交通事故対策として、自動ブレーキを挙げてこなかったのでしょうか?

 日本は2019年度の世界報道自由度ランキングが67位と大変に低く、例を挙げれば枚挙に暇がないくらいに報道規制じゃないかって疑いのある事例がたくさんあるのですが、自動ブレーキもその一つじゃないのかと僕は考えているんです。

 これも有名な話なのですが、大手マスコミは官僚の天下り先の一つとされています(検索すると、簡単にヒットします)。つまり、国はしっかりとマスコミに対して影響力があるのですね。

 

 ただし、だからと言って、それは必ずしも現政権の…… つまり、自民党政権の権力であるとは限りません。

 

 これを書いているのは2019年度の参議院選挙前です。言うまでもなく、これはその為のエッセイです。

 異論のある人もいるでしょうが、僕の本来のスタンスは、できる限り“公平中立”のつもりでいます。だから当然、特に支持政党などもなく、政治経済関連の記事や小説はよく書いていますが、目指しているのは“判断材料を提供すること”だったりします。

 ただ、ここ数年、ちょっとばかり不安を抱いた事が原因で、“判断材料の提供”が、そのまま自民党批判になってしまっていた嫌いがありました。

 主な原因は“日本会議”という、右派系の宗教団体……、それも新興宗教の類と関係の深い政治団体の存在です。

 この日本会議には安倍首相自身はもちろん、自民党議員の多くが所属しています。いえ、自民党だけじゃなく、人数は少ないですが、他の党の議員も所属しているのですがね。

 もちろん、その事自体は問題ではありません。いえ、政教分離の原則が護られているかどうかといった点は問題ですが、それ以外は問題にするべきではありません。

 しかし、首相自身が所属しているにも拘らず、この日本会議の活動内容は不明瞭なんです。ジャーナリストが取材を申し込んでも拒否されるそうで、一体、何をやっていて、どんな思想を持った団体なのか、ほとんどの人達はよく分かっていません。

 いえ、日本会議自らがホームページなどで公開してはいますから、完全に分からないといった事はないのですが、少なくとも第三者の視点から客観的に書かれた記事や報道内容があまりないのは事実です。

 

 「宗教団体に、一国の首相が所属している」

 

 これ、例えばヨーロッパなんかでは、もっと大きな注目を集めます。

 だって、下手したら、その宗教団体のリーダーの命令に、首相が従ってしまうかもしれないじゃないですか。

 そうだったなら、実質的にその国のトップに立っているのは、その宗教団体のリーダーだって事になってしまうじゃないですか。

 ここで、仮に、その宗教団体が危険な思想を持っていたりしたら、絶対にそれを認める訳にはいきません。

 リスクが大き過ぎます。

 しかも、実際に、

 「国民主権、基本的人権、平和主義。この三つをなくさなければ、本当の自主憲法にならない」

 といった危険思想があるとしか思えない発言を、日本会議に所属している自民党の長勢甚遠さんという国会議員がしていますし、

 「国民の生活が第一なんて考えている政党はおかしい」

 という発言をやはり日本会議にどっぷり浸かっている稲田朋美さんがしています(因みに、検索をかけると簡単にヒットします)。

 

 ただし、一応断っておくと、これら発言は単なるリップサービスで、本気の発言ではない可能性もあります。

 政治家は、票を得る為に八方美人になるのが基本ですから、その場その場で出席者達が喜びそうな発言をするものなのだそうです。

 例えば森元首相が、かつて「日本は神の国」と発言して問題になった事がありますが、あれは神道関係者に向けてものであったそうです。つまり、森元首相に神道思想があるって訳じゃなさそうなのですね。その後、森元首相は小渕元総理の弔辞で「あなたは“天国”に召されていったのです」といった発言をしていますから、神道を信仰している訳じゃなさそうだと分かります。“天国”は、キリスト教の概念ですからね。

 (時折、ニュースを賑わす政治家の問題発言の一部は、こういったリップサービスの類である可能性があるので注意してください)

 

 「日本会議には実はそれほどの影響力はない」

 という主張もあります。その可能性はあると僕も認めますが、それにしては自民党が掲げる憲法改正の草案と日本会議が掲げる憲法改正の草案が非常に似通っているんです。

 しかも、その中には“緊急事態条項”という憲法を無効化できるものが含まれてあります(詳しい内容については割愛しますが、検索をかければ丁寧に説明してくれてあるサイトがヒットするので、興味のある人はやってみてください)。

 更に、「日本会議の正体 青木理 平凡社新書」という本には、日本会議の関係者が「緊急事態条項で一点突破」といった発言をしていたと書かれていますし、かつて麻生大臣が「ナチスの手口に学ぶ」という問題発言をしているのです。

 ナチスは緊急事態条項と同等の内容を持つ“緊急命令発布権”によって、ワイマール憲法の無効化に成功しているんですよ。

 因みに、その他の国でも現政権が都合良く緊急事態条項(と同等の内容のもの)を利用するケースというのはあったようです(参考文献「民主主義の死に方 スティーブン・レビツキー ダニエル・ジブラット 新潮社」)

 最近では、アメリカのトランプ大統領が「国家非常事態法」を使って、国境に壁を建設する為の費用を確保しようとしましたね…… そういや、あれ、どうなったのでしょう?

 そして、そんな危険な緊急事態条項が、ほぼ何の議論もされないまま憲法改正の草案の中に入っているのです。せめて憲法改正議論の中で充分に精査されたというのなら、まだ納得できるのですが、ほぼ無視されてしまっています…… と言うか、なんで九条以外はあまり議論されないのですかね? 僕は大いに疑問です。

 

 さて。

 これだけの不安材料を見せられて、それをスルーする訳にはいかないでしょう?

 だから僕は日本会議の存在と、安倍政権との関係、その実態をもっとオープンにするべきだと訴えたんです。それで安全である事が証明されたなら、何の文句もありません。

 ですから、自民党の存在を全否定するつもりは毛頭ありません。

 まぁ、他にも原発関連などで説明して欲しいことはあるのですが、真っ当に正々堂々と隠さずにやって欲しいと至極当然の主張しただけです。

 ですが、もし仮に危険思想を持っていたとしても(飽くまで“もし仮に”ですよ)、ここ最近で、脅威は後退したのじゃないかと僕は観ています。

 何故なら、憲法変更(価値観によっては、“改正”とは言えないので、“変更”と表現しています)に向ける動きが順調じゃないからです。

 2020年の憲法変更はもう無理じゃないかという感じですが、これを過ぎると自民党は量的緩和政策の限界に対応しなくてはならなくなるだろうと思えるので、憲法問題に注力している余力はないのじゃないか?と(多分、今、どうにか調整しようとしているのじゃないかと思いますが)。

 因みに、僕は量的緩和政策をソフトランディングさせる案の提示を求めたり、またはソフトランディングさせるべきだといった事も訴えましたが、こちらについては攻撃どころか、むしろアドバイスですらあります。

 今現在、自民党政権が倒れる心配はほぼないと言ってしまって良いでしょう。野党があまりに不甲斐ないですから。もし、その可能性があるとすれば自民党の自滅くらいですが、今現在自民党が行っている政策で最も自滅を引き起こしかねないのは、恐らくは量的緩和政策です(原発関連で何らかの大事件が起こってもアウトですがね……)。

 もし、量的緩和政策の出口で失敗してしまったなら、それで物価が極端に上昇しても、年金資金を解決に使っても、どちらにせよ自民党政権は大ダメージを受けます。

 (そう言えば、以前、野党は量的緩和政策の問題点を挙げていたのですが、最近はそんな話を聞きません。僕が知らないだけかも、ですが。穿った見方で邪推すると、自民党の自滅を願って放置しているのかもしれません)

 ですが、早いうちに手を打って、ソフトランディングを成功させたなら、それほどのダメージは受けないでしょう。精々、支持率が多少下がる程度だろうと思います。

 だから僕は、「量的緩和政策を安全に終わらせる方向で動いた方が良い」と訴えたんです。ま、自民党の為にというよりは、この社会全体の為にですがね。

 ただ、実を言うと、金融市場関係者の多くはずっと前から「既に日本銀行は量的緩和政策の出口を目指している」と考えていると言われているんです(説明し忘れていましたが、直接、量的緩和政策を実行しているのは、日本銀行なんです)。

 僕がそれでも不安を感じていたのは、量的緩和政策推進派の発言が「信念を持って挑めば道は拓ける」といったタイプのまるで宗教を連想させるような精神論的な内容だったからです(もちろん、それを知って、日本会議の存在も頭をかすめました)。

 もしかしたら、金融市場関係者達の予想に反して、このまま暴走してしまうのではないか?と。

 が、それから、安倍首相自身が「量的緩和政策の出口」について語りました。その件で僕は少し安倍首相(と言うか、自民党かな?)を見直しました。現実的な路線もちゃんと頭にあったのですね。それが成功するかどうかは別問題ですが。

 因みに、この発言を受けての市場の反応はほぼありませんでした。これは、予想通りの内容だったので、折り込み済みだったって事でしょう。

 今現在(2019年6月現在)も、日本銀行は量的緩和政策の出口を目指しているとは言ってはいませんが、国債買い取り額を大幅に減らしていて、政策自体は出口を目指しているか、少なくとも安全策を執っているように見えます。

 無事に終わると良いですね。

 

 ――と、話が逸れました。もうちょっとで主旨を忘れるところでしたが、そんなような事を僕が訴えた時に、ある人が何故かこんなようなコメントをしたんです。

 

 「安倍首相のどこが独裁政治なんですか?」

 (正確な文言は忘れました)

 

 僕はそれを読んで「は?」と、頭にクエスチョンマークが浮かびました。だって、僕は自分のエッセイで一言も安倍首相が独裁政治を行っているなんて書いてはいませんでしたから。

 それで「何の話でしょう」と返したら、勘違いだと分かってくれたようではありました。謝罪はありませんでしたけどね。

 

 あ、ちょっと話を逸らします。思想的に偏っている人達は、何故か書いてもいない内容で批判して来る事がよくあります。

 そういう人達の名誉の為に断っておくと、僕が「そんな事は書いていません」と指摘すると、ちゃんと謝罪してくれる人も多くいました。

 ところが、中には、繰り返し何度も何度も僕が書いてない内容で批判して来た上に「あなたの書き方が悪いから、勘違いをした」と信じられないような失礼なことを書いてくる人もいたのです。

 明確にタイトルに書いてある場合もあったのに、「なんでやねん?」って感じです。

 ただ、多少は分からなくもありません。

 “読む”って実は意外に難しいもので、自分の中で無意識のうちに勝手に内容を改ざんして記憶してしまったりするものなんです。

 僕自身も同じ本を二度目に読む時、記憶していた内容と違うなんて事がよくあるので、「気を付けなくちゃいけないな」と思っているのですが、思想的に偏っている人達の場合、それが特に顕著なのかもしれません。

 と、言うよりですね。

 観察したものを自分の中で勝手に改ざんしてしまうからこそ、どんどん思想が偏ってしまうのじゃないか?と、僕は少し疑っています。

 心当たりのある人は、反省してみると良いかもしれません。

 

 話を元に戻します。

 アンチ自民党の方達の中には、「安倍首相が独裁政治を行っている」と主張している人もいるので、恐らく、そういった人達と僕を混同して、その人は「安倍首相のどこが独裁政治なんですか?」なんてコメントをして来たのだと思います。

 まぁ、多くの政治家が独裁を夢見ているとは思いますから、安倍首相にだってそんな一面があるのは否定できませんが、それでもまだ今の段階では独裁政治は言い過ぎでしょう。

 それに、ですね、世の中にはそれとまったく逆の主張をしている人達もいるんですよ。小さな書店にはないかもしれないので、大きめの書店の政治コーナーを歩いてみてください。

 「官僚に操られている安倍政権」

 的なタイトルの本がきっと見つかります。

 つまり、安倍首相が独裁政治を行っているのではなく、逆に安倍首相が官僚の支配下にあるというのですね。僕は内容までは読んでいないのですが、少なくともそう主張できるだけの何らかの事実があるのじゃないかと判断しています。

 もっとも、恐らくは、これに納得いかない人もいるでしょう。

 有名な森加計問題もありましたし、2019年の初めに厚生労働省による勤労統計のデータ改ざん問題が発覚したばかりですからね。

 厚生労働省が安倍政権に忖度したか、或いは直接に指示を受けて、雇用の改善を粉飾したのじゃないか?って疑いがあるんです。

 更にこの件で、GDPについての粉飾疑惑も話題になりました。一部の人達は、以前から安倍政権が統計方法を変えて、GDPが上がっているかのように見せかけていると訴えていたのですが、このデータ改ざんの発覚によって真実味を帯びたといったところでしょうか?

 僕はかなり前からこの話を知っていたのですが、主張している人達が明らかに自民党に敵意を持っているようにしか思えなかったので、自分のエッセイなんかでは取り上げてはきませんでした。

 ただ、雇用改善粉飾問題を契機に、分かり易く説明してくれてある内容が簡単に検索でヒットするようになり、それでいくつか読んでみたところ、それなりに説得力があるように思えたので、今回は紹介してみました。

 あ、「GDP 統計 不正」で検索をかけるとその内容について詳しく説明しくれてある記事がたくさん出て来るので読んでみてください。

 これについて反論をしている人達ももちろんいますが、少なくともGDPの統計方法が変わった点だけは確実で、ならば民主党政権時代との比較もできないはずです。

 連続性が失われているって事ですからね。

 だから「安倍政権になってから、民主党政権時代に比べてGDPは上がっている」といった主張をしている人達は、知識が足らないか、或いは意図的に騙そうとしているかのどちらかという事になります。

 因みに「金融政策の「誤解」 早川英男 慶應義塾大学出版会」って本では、経済成長は大差なしとされていました(政治的に中立な本ですが、統計方法の差を考慮してあるのかどうかは分かりません)。

 さて。

 こういった話がある以上、安倍政権に協力している官僚がいるのはほぼ確実なのではないかと思われます。ですが、その反対に安倍政権を攻撃しているようにしか思えない、官僚側からではないかという疑いのある、いわゆる「リーク記事」が存在しているのも事実です。

 もし仮に独裁と呼べるほどの状態に至っているとしたら、そんな行動は執れないのじゃないでしょうか?

 まぁ、これは“官僚が必死に抵抗している”と取れなくもないのですがね。

 ただ、その他にも安倍政権が官僚を支配できていないと思えるだけの証拠はあるんです(充分かどうかは分かりませんが)。キーワードは、「いつまで経っても、不完全なままのアベノミクス」です。

 

 ちょっと経済の話をしましょう。

 日本は戦後、信じられないほどの経済成長に成功しました。これほど経済成長は世界でも稀で、日本が優秀な国であると証明しているかのように思えます。

 ところが、ある程度経済が成熟してしまうと、日本経済は停滞しました。しかも、他の先進国の多くが、いち早く情報産業やAIといった先進的な分野の発達に舵を切り、それに成功して来た中で、日本はいつの間にか取り残されてしまったのです。

 いえ、それどころか、そういった先進的な分野では、中国や韓国といった日本が発展途上だと思っていた国々にすら抜かれてしまっているという懸念があります。

 では、何故、日本はそんな状態に陥ってしまったのでしょう?

 その主な原因の一つが、規制だと言われています。

 では、その“規制”とは何なのか?

 まぁ、文字通り、規制ですね(ヲイ)。

 これじゃ、何の説明にもなってないので、例を挙げて説明しますが、

 その昔、コンビニエンスストアではお酒を買えなかったのを知っていますか? これは規制によって酒屋さんにしか酒類の販売が許されていなかったからです。

 そのお陰で酒屋さんは、ぬるい経営でも生き残る事ができていました。ライバルが少ないからです。コンビニエンスストアが酒を販売できるようになっちゃったら、それだけライバルが増えるので経営が難しくなるのですね。

 ただ、これ、消費者側にとってみればあまり良い話とは言えません。

 「コンビニでお酒を買えた方が便利じゃないか!」

 ってな話でもありますが、競争原理が働かないので、サービスの質が向上し難いのです。

 ライバルが増えれば、それだけ切磋琢磨しなくちゃならないので、それで商品の質が向上するんです。

 いや、ま、僕はあまりお酒を飲まないので、それで本当に酒類の商品の質が良くなかったかどうかまでは知らないのですがね。

 これに類する話は、医療や郵便などの様々な分野であるのですが、その規制によって官僚は天下り先を確保できたり、政治家は組織票を確保できたりと、様々な日本社会の黒い側面と結びついています。

 官僚達は規制をバックにしてある許認可権を振りかざして、「商売させて欲しかったら、なんか見返りよこせ」で甘い汁を吸い、政治家達は「規制緩和しないから、票をよこせ」と業界団体に迫ったりなんかする訳ですね。もちろん、族議員とかもいるんでこれだけじゃないですが。

 規制は官僚や政治家達の様々な利益に結びついているので、彼らは中々緩和をしたがらないのです。色々と言い訳をして、規制緩和に反対をしています。中には説得力があるものもあるようですが、規制緩和のメリットの方が大きいものの方が多いのじゃないでしょうか?

 そして日本はこの規制によって、産業の誕生発達が抑制されてしまっているとも言われているんです。

 例えばドローン。

 トラックで荷物を中継地点(コンビニなんかが適していそう)まで運び、そこからはドローンで荷物を一般家庭などの目的地にまで届ける、なんていう宅配システムがもし仮に実現できたとしたなら、かなりコスト削減になり、物流業界の人手不足が一気に解消するかもしれません。

 そうなったなら、商品は安くなるし、労働負担は軽減するしでメリットがたくさんあります。

 が、今はこのシステムは実現できません。

 規制で縛られちゃっているからですね。

 まぁ、もっとも、安全上の問題があるので、これに関しては致し方ない理由があるような気もしますが、仮に技術力が上がって、充分に安全が証明されたとしても、恐らくは認めたがらないでしょう。

 因みに、ドローンの資格って取るのに20万円もかかります。高過ぎませんか? これも規制の一環なんじゃ?とつい疑っちゃいますね。

 もし仮に、ドローンの規制が緩和され、上記の宅配システムが実現可能になったなら、投資先が出来るようになります。すると、今現在、アベノミクスの量的緩和政策でふんだんに市場に注いでいる資金の活用先が生まれます。

 すると、当然、経済は好転します。

 実を言うと、こんな流れを起こす事こそがアベノミクスの本来の姿なんです。

 あ、一応断っておきますが、ドローンだけに限りませんよ? AIでも、太陽光発電などの新エネルギーでも、自動運転でも、似たような感じです。

 そしてだからこそ、アベノミクスの三本の矢のうちの一つに“規制緩和”があったんです。声高に安倍首相自身が訴えてきましたがね。

 僕はこの“規制緩和”が目玉のアベノミクスについては大いに認めています。評価は△でしたが、それは規制緩和だけでは充分な効果を得られないのじゃないかと考えたのと、どれほどの規制緩和ができるのか疑っていたからです。

 が、それから何年経っても規制緩和がほとんど進まないんですよ。

 つまり、「いつまで経っても、不完全なままのアベノミクス」です。

 それほど期待していなかったとはいえ、予想以上でした。

 

 さて。

 もし仮に安倍政権が独裁政治と呼んでもいいくらいの権力を持っているのなら、規制緩和は進むとは思いませんか? 安倍首相自身が「ドリルの刃となって岩盤規制を打ち破っていく」とか、そんな事まで言っていたのですよ?

 辛坊治郎さんは「壊されつつあるこの国の未来 光文社」ってエッセイ本の中で、もし官僚に逆らったら安倍政権は潰されるとか、そんな事を述べています。

 根拠は書かれていないし、辛坊治郎さんは安倍政権を支持しているっぽいので、それをそのまま素直に全て信じる訳にはいきません。庇っているのかもしれませんからね。

 ただ、それ以外にも根拠はあるんです。

 アベノミクスで農業だけは規制緩和が進んだのですが、その時に物凄い反発があったんです。

 僕は別に安倍政権を支持してはいませんが、流石にこの時は「理不尽だなぁ…… 可哀想に」と思いましたよ。

 農業には、長らく規制をし続けて来た結果、若い世代が入って来なくて、農業従事者の平均年齢がなんと67歳にまでなってしまっていた、という問題があるんです。だから、是が非でも新規参入者を呼び込まなくてはならないのですね。

 これを放置していたら、日本農業は滅びてしまいますよ。働き手がみーんな、寿命で死んでしまいますからね。

 だから、農業の規制緩和は必然だったんです(ただし、新規参入を認める以外にも色々やっていて、まぁ、賛否両論あります。だから実はそっちへの反発だったのかも……)。

 

 こういった点を踏まえるのならば、安倍政権が独裁ができるまでの権力を持っているとは思えません。もちろん、前述した通り、官僚達が安倍政権に協力している事実も発覚しているので、双方鑑みれば、「安倍政権と官僚は何らかの取引をしている」って辺りの予想が妥当なのじゃないでしょうか?

 

 安倍政権の最大の目的は(彼らにとっての)憲法改正だろうと僕は考えています。本来ならば、アベノミクスで安倍首相自身が明言した通り、規制緩和を行って衰退し続ける日本経済を復活させなくてはならないはずですが、憲法改正がしたいが為に官僚と喧嘩するのを避けようと、規制緩和を諦めてしまったのかもしれません。

 ですが、はっきり言って今はそんな悠長な事を言ってられる状態ではありません。

 頭に“超”がつくほどの高齢社会で、この日本という社会を無事に維持しようと思ったのなら、大胆な改革が必要です。

 少し前に「95歳くらいまで生活を維持しようと思ったのなら、貯金が2000万円必要だ」という試算を金融庁が発表し、問題になりました。

 ですが、年金の世代間格差は軽く3000万円を超えているんです。はっきり言って、こっちの方が遥かに問題で、解決しなくちゃならない点であるはずです。

 高収入の高齢者の年金を一部カットしたり、定年制を廃止して、何らかの理由で働けない状態になった高齢者に対してのみ年金支給を開始するなどして、若い世代の負担を少しでも減らすように動くべきでしょう。

 断っておきますが、若い世代への負担の押し付けは、年金以外にも数多くあります。

 今の財政問題も将来世代への負担の押し付けですし、原発だって同じです。

 原子力発電所の廃炉費用、核廃棄物処理などを負担をするのは将来世代…… つまり、今の高齢者からすれば子供や孫やひ孫やひひ孫などのもっともっと先の子孫達が負担するんです。

 (僕は原発の廃炉を引き延ばしているのは、この為なのじゃないかと考えているのですがね)

 その子孫達は電力も何も産み出さない、究極の猛毒とも言える核廃棄物をなんとかする為の費用を負担しなくちゃならないんですよ? お爺ちゃん達の過去の電力の為に。

 ただただ、この日本社会に生まれたというだけで。

 「こんな酷い話ってない!」とは思いませんか?

 因みに、逆に再生可能エネルギーは、製造時にコストはかかりますが、維持費はあまりかからないのものの方が多いので、今のうちに造っておけば、将来世代へのプレゼントになります。

 太陽光発電は再利用効率も良いらしいですしね。

 そもそもエネルギー資源は枯渇してしまうので、絶対に再生可能エネルギーへのシフトは不可避です。

 普及のさせ方が下手って指摘なら分かりますが、全否定しているような内容は何らかの悪意があると疑った方が良いのじゃないかと僕は考えていたりします。

 

 さて。

 政治家達は票を得る為に、国民に対して“いい顔”をしようとします。だから、票をくれるだろう人達が得をするような政策を実行し、逆に票をくれない人達には負担を押し付けようとします。

 これが、まぁ、利権団体が生まれる理由にもなっているのですが、同じ理由で将来世代への負担押し付けも発生しているんです。

 将来の子孫達は、そもそも生まれてすらいませんからね。負担を押し付けても何も文句を言われない。これは政治倫理を問われる大問題なんです。

 嘘だと思うのなら、国の予算で高齢者向けに使われるものと将来世代向けに使われるものを比べてみてください。一目瞭然で高齢者向けの方が圧倒的に多いですから。

 実際、若い世代の貧困問題は既に深刻なレベルにまで達してしまっているんです。

 更にここに“一票の格差”問題が絡んできます。

 今の有力政治家の多くが地方出身なのですが、それは地方の方が一票の価値が重いからだと言われています。そして、地方は高齢者が多い。これにより、高齢者の投票権が単純な人口比よりも更に強くなってしまっているんです。

 つまり、高齢者優遇政策は、地方優遇政策でもあるって事になるんですがね。

 これに少しでも抵抗しようと思ったのなら、若い世代がもっと積極的に選挙投票に行く必要があります。

 ところがどっこい、今の若い世代の投票率はとても低い……

 ただでさえ、高齢者の人口割合が多く、一票の格差で投票権が強くなってしまっているのに、これでは益々状況は悪化するばかりです。

 因みに、貧困問題に苦しむ若い世代がいる一方で、高齢者が貰った年金を使い切れず、死んだ後に何千万円ってなタンス預金が、遺族も知らないままゴミ捨て場に捨てられ、それが発見されて大騒ぎになるという事件が近年になってよく起こっています。

 そういった高齢者の“使わないお金”を、貧困問題に苦しむ若い世代へ回せたなら、どれだけ有意義でしょう。

 

 普通、社会が発展する為には、将来世代への投資を行います。充分な教育を行い、社会インフラ等の資産を残し、子供達がより良く暮らせるように、他社会との競争に勝てるように、そして協調できるようにしてやる。

 実際、今まで日本社会はそうやって発展して来たんです。世界有数の経済大国になれたのは故なくしてではありません。次世代の為に尽力するというのは、日本の誇るべき伝統であるとも言えるでしょう。

 が、今の日本社会はこれとは逆の事を行ってしまっているんです。

 日本の情報技術に関する教育は、他の先進国に比べて著しく遅れているという話を知っていますか?

 他の教育ではむしろレベルが高いくらいですが、まったく安心できません。何故なら、情報技術が劣っているだけで、全てをひっくり返されかねないからです。それくらいの大問題なんです。

 AIのレベルは既に人間では太刀打ちできない領域にまで達しています。が、実は“マシン+人間”の組み合わせなら、そのAIにだって勝てる事が知られています。

 (或いは“今は”という注釈をつけるべきかもしれませんがね)

 つまり、マシンを使いこなす為に必要な情報技術は、とても重要だって事です。マシンを使いこなす労働者に、使いこなせない労働者はまったく太刀打ちできないでしょう。情報技術に関する教育の遅れが、日本の致命的な欠陥にすらなりかねません。

 「人間+マシン AI時代の8つの融合スキル 東洋経済」って本には、AIの導入に成功したなら、日本のはGVA成長率は0.8%から、2.7%にまで上がるという予測が書かれてあります。が、現状は0.8%の方で進んでしまっているみたいです。

 これは、将来世代へ負担を回すだけじゃなく、教育を軽視する事で、その負担を乗り越えられるだけの力を身に付けさせる機会をも、今の日本の政治は奪ってしまっているって事でもあります。

 まるで、この日本社会の衰退を狙っているようにすら思えませんか?

 いえ、もちろん、悪い偶然が重なってしまっただけでしょうがね。

 

 今まで、自民党に将来世代へ投資を行う姿勢はあまり観られませんでした。まぁ、ほとんどずっと自民党が政権与党で、今のような状態に日本は陥ってしまっているのですから、当たり前と言ってしまえば当たり前なのですがね。

 が、ここ最近で、それが少しずつ変わってきています。

 あまり報道されませんでしたが、1000万円以上の年金収入がある高齢者への控除が2018年度に減りました。

 平たく言ってしまえば、これは高齢者富裕層への年金支給額を減らしたってことです。若い世代の負担を増やしはしなかったのですね。

 まだまだ充分ではないと思いますが、これ以上、現役世代への負担を増やしたなら、日本社会全体が沈んでしまう事を、自民党だって分かっているからでしょう。

 更に、こちらの方が有名だと思いますが、最近になって教育にも力を入れる姿勢を出しています。

 後は、前述しましたが、自動ブレーキの普及にも前向きで、遅すぎる嫌いはあるにせよ「高齢者ドライバーに対して、安全機能付き車両限定の免許制度を検討する」と発表をしました。これ以降、ようやくテレビでも交通事故の後に「自動運転技術で防ぐ事ができる」というコメントを耳にするようになっています。

 或いは、国交省に対抗しているのかもしれません。

 いえ、交通インフラありきの自動運転なんて流石に時代遅れ過ぎることを、国交省も認めただけかもしれませんがね。

 そして、最も大きいのは消費税の増税を決めた事です。

 知っていますか?

 不思議なことに、この日本では消費税の増税は大騒ぎするのに、何故か現役世代だけの負担を増やす、所得税の増税や年金保険料アップの場合はそれほど話題にならないのですよ。

 だから、政党にとっては、財政問題解決の為には、所得税や年金保険料でやってしまった方が良いのです。少なくとも高齢者達からの反発は少ないでしょう。

 ところが、自民党は消費税の増税を決めました。

 知っての通り、消費税は高齢者も負担をします。

 つまり、今回自民党は、それがベストな手段かどうかは別問題にして、現役世代だけに負担を押し付ける手段を執らなかったんです。

 2016年の参議院選挙の際に、高齢者達だけにお金をばら撒いたこと(年金生活者等支援臨時福祉給付金)を考えるのなら、雲泥の差でしょう。

 しかも、憲法変更にいよいよ本格的に着手しようかというこの時期に。

 いや、まぁ、2019年度に決めたのは、消費税の増税による景気の落ち込みを、2020年のオリンピックで相殺しようって腹なのかもしれませんが、それでもこれは評価のポイントだと思います。

 もっとも、低年金の高齢者に対し、自民党は年金の増額を約束しています。

 ただし、年金政策については各党、聞こえの良い言葉ばかりを並べています(維新の会以外)し、低年金の高齢者の生活は本当に悲惨なので、消費税が上がるのなら致し方ない気もします。

 

 憲法改正をしたいがために、高齢者世代への優遇を強化し、若い世代へ負担を回す。日本が衰退の道を進んでも構わない。そしてその先には日本の軍事力増強がある。

 僕の目には、自民党の政治姿勢はそのようなものに見えていました。少なくとも、そんな傾向がある、と。

 そしてそれは、日本会議という偏った思想を持つ新興宗教と色濃い関係にある政治団体と結びついているからなのかもしれない、とも疑っていました。

 現在でもその疑いは完全には晴れていないし、危険が残っているとも思っています。

 ただ、一方で、もし「将来の為の政治」を行ってくれるのであれば、野党よりも自民党の方が優秀だろう点も認めていました。

 そしてここ最近で、その「将来の為の政治」を行ってくれそうな兆候を自民党は見せてくれています。

 (彼らにとっての)“憲法改正”に自民党が飽くまで執着すると観るのなら、自民党への投票は避けた方が良いかもしれません。権力の分散という意味でも、野党に投票した方が良いでしょう。

 が、“憲法改正”を諦めていて、「将来の為の政治」を行ってくれるつもりがあると観るのなら、自民党に投票するべきなのかもしれません。

 

 ――と、そのように、僕は考えています。

 飽くまで僕の判断ですが。

 

 自民党がかつて(今も、なんでしょうか?)公言していた規制緩和もやって欲しいですよね。

 規制緩和をやらないと機械による自動化が進まず、超高齢社会を乗り切れないかもしれませんし。

 いえ、規制緩和に限らず、利権団体と戦って欲しい……

 因みに、原発利権を握っているのは経産省だそうです。

 

 もし自民党に「将来の為の政治」を行う意志があったとしても、若い世代が投票しなくてはそれは恐らく無理でしょう。

 先にも述べましたが、政治家は票をくれる人達の為に政策を実行するんです。若い世代の票がなくては、「将来の為の政治」を行う事はできません。

 もちろん、これは自民党以外も同じです。

 仮に野党が政権を執ったとしても、若い世代の票がなくては「将来の為の政治」は行えません。

 だから、絶対に若い世代が投票へ行く必要があるんです。

 

 「行っても行かなくても結果は変わらない」

 

 そんな事を言う人もいますが、それは間違っています。どの党が勝っても、勝ち方によってこれからの政治は変わって来るからです。例えあなたが投票した党が勝たなくても、若い世代が投票を行ったという事実だけで、これからの政治が変わる力になるんです。

 

 最後に、マシンによる自動化の話をします。

 

 これからAIなどの新技術によって社会機能のマシン化が進み、人間は職を失うと言われています。

 これについて、「日本は労働力不足に陥るから都合が良い」といった主張があります。それは事実かもしれません(ただ、先にも述べましたが、規制緩和が進まないと、絶対にそれは遅れますけどね)。

 が、それはそんなに簡単にはいきません。

 まず、その為には労働流動性を上げなくてはなりません。職を失った人達が、他の職に就けるよう促してやる必要があるのですね。更に、今の年金制度を維持しようと思ったのなら、保険料の徴収方法を変えなくてはならなくなる可能性もあります。

 分野によっては、“従業員一人で、後は全てAIが業務を行ってくれる”なんて会社が現れるかもしれませんが、その場合、今まで通りの徴収方法では絶対に保険料は不足してしまうからです。

 法人を直接ターゲットにしないと。

 だとするのなら、これを企業に納得させなくちゃなりませんから、意外に難しいのじゃないでしょうか?

 早いうちから、考えておいた方が良いのじゃないかと、僕は忠告をしておきます(誰に対して忠告しているのかは分からないけど)。

 

 もっと極端な話をすると、まったく人間が働く必要がなくなったのなら、国民が普通に暮らせるだけの税金の徴収を企業に納得させることができなかった場合(つまり、ベーシックインカムが実現できなかった場合)、間違いなくその社会はディストピアになります。

 ほとんどの人が、充分な収入を得られず、貧困問題に陥ってしまう。

 

 まぁ、流石にこれは遠い将来の話になるでしょうけどね。

 ……いえ、そう思いたい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近ずっとログインできずにいて、ひさびさなろうに入ったのですが、百さんがいつものように投票を呼び掛けてらっしゃるのを見て、遊戯王の作者さんがインスタに投票を呼び掛ける絵をあげただけで謝罪に…
[良い点] 論点や視点が良いと思います。最後にもう一度「選挙に行きましょう」と入れておくと良かったと思います。
[一言] かといって、知識のない人間が流されて投票というのも困ります。 扇動された結果の悲劇は既に実例がありますしね。 一票の格差、この言葉はなんとなく入れた人と、普段から情報をインプットして、しっか…
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