129.「執筆の準備」が始まりました。
こんにちは、加瀬優妃です。
『田舎の民宿「加瀬優妃亭」』にお越し下さり、ありがとうございます。
今回の内容は……
「執筆の準備」が始まりました。
でございます。
さて、2019年6月29日でプロットが完成し、私がそれに合わせてリュウライ側のプロットを作るために森陰様にいろいろ確認……そうしてExcel年表が完成したのが、2019年7月3日。
いよいよ執筆に入る準備です。
『執筆について。森陰様が書かれる方を「本編」とします。リュウライ編は、
①本編の補完で、短編連作。連載形式で投稿するが、一方こちらでは、的なぶつ切り状態で、1の続きが2、という訳ではない。
本編の該当部分の後に「こちらを読むと裏側が少し詳しくわかるよ」的な感じ。本編の連載内容タイミングに合わせて投稿。当然ながら本編を読まなければ全くわからない
②本編の補完で、1本の話。ただし本編を読まなければよくわからない(施設や用語の説明がなされてない)。連載は本編の投稿内容に合わせて投稿。
③本編未読でもわかるような、1つの作品にする。
このいずれの形式でしょうか?』
そうです、共同制作ですが、私は自分がどういう風に書くかはわかってなかったんですよね。
今はもう終了してしまいましたが、私は『リサイクル活動』の一環という認識でいました。もし表に出すとしたら、『リサイクル作品』のタグづけをするつもりでしたし。
それとこの話が持ち上がったとき、私はまともに創作できる状態ではなかったので、丸々1本書けるとは思えなかった、というのもあります。もともとは、私の「話が書けない」という嘆きに森陰様が声をかけてくださる、という形で始まった企画ですし。
ですので最初は①のつもりだったんですけど、完成したプロットでは思ったよりグラハムとリュウライの別行動が多く、捜査も役割分担のような感じになったんですね。
ここまで決まっていれば1本の話で書けそうだし②かな、と思い直しました。
ですので「①か②のイメージだったんですが」というコメントをつけてお伺いしてみたところ
「②か③、特に③がいいと思います」
というお返事を頂きました。
……あ、やっぱり。
ですよね、と ( ̄▽ ̄;)←こんな顔で頷きました。
森陰様もその理由として挙げておられますが、「あっちを読まないとこの作品はわかりません」って、確かに読者は避けるんですよね。私側に最初に来た場合、
「じゃああっちから読もう」
と森陰様の方に飛んでもらい、それから……となるので、私の方まで読んでくれる人はかなり限られる。
ただ私ってド田舎の住人ですので、私側から来る人ってまずいない。割烹は当時かなり賑わっていましたがすべてエッセイ関連から私を知ってくださった方々なので、物語とはまた別です。
ですので、『私側から来る読者』という想定は全くしていなかったので、
「まぁ読まれなくても別にいい、森陰様側から来た人が何人か飛んできてくれればいいや」
という下請け感覚だったんですが、
「せっかく書くのだから、より多くの人に読まれるようにするべきでしょう」
と森陰様は仰ったのでした。
……ですよね。妥協して楽をしようとしてはいけませんね(笑)。
という訳で、リュウライ編も『単独』で読める一本を書くことになったのでした。
合わせて話題になったのは、人称問題ですね。
私は一人称でしか話を書けません。
これは今もですね。短編で何回か挑戦していますが、極端にスピードが落ちます。長編なら絶対に一人称でないと持続できません。無理です。
で、森陰様は三人称の方が得意、とのこと。
一人称でしか書けないことをお伝えし、「それぞれ好きな手法で書けばいいのでは?」と提案したのですが、
「合わせた方がきれいなので」
ということで共に一人称で執筆することになりました。
よく考えれば、森陰様の作品ですと『天の墜ちる世界で』は化学者ニコルの一人称です。彼の視点から終末の世界に生きる人々の姿が描かれています。そして最後の時を過ごすことになったアンジェリカのことも。
この作品はその終末の世界そのものではなく、彼が何を感じたかを描くのが主眼ですから、一人称がとても効果的。そもそも彼の手記を読み手は読んでいる、というスタイルですし。
ですが『詩凪と落丁した魔書』『再臨の魔女』は三人称。これは主人公一人がその中で起こった事件を解決する話ではなく、いろいろな立場の人が関わることで結末に向かいますから三人称が分かりやすい。
うーん、やっぱり書きたい内容によって人称の向き不向きはあると思いますね。
話によって人称を変えられるっていいですよねー。
『107.「人称」について調べてみました。』でも書きましたけど、一人称は感情移入しやすい反面、主人公の客観評価を入れるのが難しく、情報も入れ込みにくい。
ま、それはさておき。
この共同制作に関して言いますと、同じ事件を二人の主人公で書くので、一人称でいいんじゃないか、とは思っています。それぞれの主観で事件がどう描かれるのか、というところが個性の違いかな、と。
……自分を正当化してる、かな?
そして次に取り掛かったのは『物語の舞台』です。
5月7日にその部屋が出来、遺跡についての基本設定はありましたが、実際に主人公たちが駆け巡る場所、そのものですね。
『最終的に決めたいのは
・舞台の気候、作中の季節(せめて開始時期)
・文明レベル
・都市の名前
・都市構造(何の地区がどこにあるのか、一般的な交通は、一般的な建物の造りは)
・都市周囲の環境
といったところです。』
という森陰様の提案から、本格的な舞台づくりが始まりました。
これも、自分一人なら「こんな感じ」というのさえ決まってしまえば後は足していくだけで済みますが、何しろ今回は別の人間が同じ舞台を書く訳ですから、その「こんな感じ」をなるべく文章化しなければならない。
私はというと、思いついたイメージをとにかく文字数を使って書いたり、思い描いたイメージに近い画像やゲームの動画のURLを貼ったりしました。
基本、聞かれたことに感じたことを何でもいいから書き散らして、森陰様が設定案を作るときの参考になればいいな、という感じですかね。まとめることは……できない……。
そして、その3日後の7月10日、森陰様から物語の舞台『シャルトルト』の設定案が提示されました。
何と「都市の歴史」「都市構造」そして手書きの「地図」!
「わー、グラハムやリュウライが住んでいるところはこんな場所なのかー」
ととてもワクワクしました。
図に関しては、だてに普段から割烹でいろいろやっていません。ここは私の出番でしょう!
シャルトルト36年の歴史から町ができる様子を推測し、プロット内のイベントが起こる場所の確認をしつつ、絵を描きました。
後はプロット作成と同じですね。意見交換しつつ地図に描き込んで行き、認識がズレている部分は修正し……。
いやはや、別の人間の頭の中に同一の舞台設定を作るって大変ですよ、なかなか。これも一人なら後でどうとでもできることですが、二人だから最初にやっておかないといけない。
でも、すごく楽しかったです。「作っている感」がすごくありましたね。
本当にトンカチと釘を手にしているような。何もない原っぱに木の枠組みができあがっていくような、そんなワクワク感がありました。
実際にすべてが確定したのは下書きをしながらの11月中旬のことですが、作中のイベント場所を書き入れていっただけなので、この時点で地形は確定していました。
広さも決まっていまして、シンガポール島ぐらい。
広さを決めておかないと、車や列車移動でどれぐらい時間がかかるのか、などのイメージができない。
何しろ捜査のためにシャルトルトをあちこち行き来しているので、この時間感覚というのが重要なんですよね。
それに『グラハムがこうしている一方でリュウライはこんなことをしている』という擦り合わせをちゃんとしないといけないですし。
そして、この舞台を作ったことで
「ここの奥はどうなっているか」
とか
「市長と企業の関係」
とか、プロットに関わってくる部分の設定なども詰められていきましたね。
実際に書く、となると……というより書いてみようとなると、その舞台にキャラクターを立たせるわけですから、急にいろいろなことが気になりだすんですよね。
そうして7月12日、物語の舞台『シャルトルト』がほぼできあがりました。
いよいよ……執筆です!
~共同制作の軌跡~
・2019年7月1日~7月4日
グラハム編のプロットの完成を受け、リュウライ側のプロットの確認をする。
また、プロットの完成により登場人物案を更新。
その他、細かい背景を確認する。
・2019年7月5日~7月7日
投稿形式、および舞台設定の議論が始まる。
・2019年7月8日
森陰様から『シャルトルト』の基本設定が提示される。
・2019年7月10日
森陰様から『シャルトルト』の歴史と区画が提示される。
シャルトルトの歴史や都市設定の議論が始まる。
・2019年7月12日
シャルトルトの規模や成り立ちがほぼ確定する。
読んでいただきありがとうございます。(^^)/