121.「ネタ提案」が訪れました。
こんにちは、加瀬優妃です。
『田舎の民宿「加瀬優妃亭」』にお越し下さり、ありがとうございます。
今回の内容は……
「ネタ提案」が訪れました。
でございます。
さて、はっきりと「やります!」という返事をしたあと。
翌日の3月5日にはお互いの共通項であるゲーム(FF等)の例えで「やりたいこと」「作品構成」「苦手な展開」などの説明をしました。
いや、ゲームの存在は大きかったですね。何しろ私はあまり説明が上手ではなく、この『田舎~』のエッセイもそうですけど、例え話をすることが多いのです。
あれも一つ一つに世界観がありますし、文明レベルとかキャラ同士の関係とかエンディングとか、言葉で言うのは難しいけどこういう感じ、というのを伝えるのに非常に役立ちました。
……そして、3月8日。
森陰様からメッセージが届きました。
『来週に、と言いましたが、5案くらいでたところで、アイデアがマンネリ化しました。』
いやいや、ちょっと待って! まだ3日しか経ってない! なのに5案って!
驚いたの何のって……。心の中で盛大にツッコみました。
勿論、尊敬の意味でですよ! 当然です!
そんなことが可能なのか、という感じですね。
そしてこの5案がですね、だいたいどういう話かということと、イメージしやすいように「既存の作品のこういう感じ」という補足説明。
それと「作るならこういう立場とこういう立場で」といったところまで。
まぁとにかく、分かりやすかったです。
あと、ジャンルですね。「ハイファンタジー」「ドラマ・アクション・SF」「恋愛・ヒューマンドラマ」「サスペンスドラマ」「ヒューマンドラマ」とバラバラでした。
うひょー……全部ラベルから違う話だ、と驚きました。
さて、ここで私の数少ない利点・2つ目が発動。
脳ミソを刺激されると、意外にクルクル回転するんですよ。もともと前提としてある知識ではなく、あくまで書かれた文章から物語を理解するので、熟考することは苦にならない。苦手なことを考え続けるのは無理ですけど。(我儘~)
で、相対比較はわりと得意なんです。
『AとBだとAにはこういうメリットとデメリット、そしてBにはこういうメリットとデメリットがある。
だから○○ならAの方がよく、△△ならBの方がいい。』
こういう決断は、比較的早くできますね。
元々、あまり悩まない……感覚で答えは出てるので、自分はなぜそう感じたのかを考えれば理由付けもできるといいますか。
結局、載せてくださったゲームなども調べてからちゃんと答えた方がいいのかな、と思いつつも、ここ一番では自分の直感を大事にするタチなので、読んでから速攻で返事をしました。
何しろせっかちだから……。あと、ワクワク感が止まらなかったんですよ!
さて、私が感覚で選んだのは「恋愛・ヒューマンドラマ」と「ドラマ・アクション・SF」でした。
「恋愛・ヒューマンドラマ」の方は、二人の主人公が行く先々で出会い関係性を築いていく、というような物語。二人の立場は複雑で相反するところもあり、その辺の葛藤がある、といった感じ。
そして「ドラマ・アクション・SF」の方は、立場もタイプも全く違う親友同士の二人の主人公が、それぞれ事件に遭遇し、それぞれの方法で捜査をしつつ協力して解決に導く、というお話です。
この二つは、キャラクターに愛着が持てたんですね。話を書くときに、作中人物の応援をしながら書いているようなところがあるので……その人の言動が理解できないと話が作れないんです。
で、「恋愛・ヒューマンドラマ」の方は、舞台も世界観も全く違いますが、雰囲気的に「旅人シリーズ」に近かったですね。シリアスな舞台、シリアスな状況に「感情」はどう絡むのか、という感じ。
「ドラマ・アクション・SF」の方は、内容からいくと恋愛要素ゼロで、私からすると未知の領域だったのですが、主人公二人の設定にかなり好感が持てました。事件はシリアスながらも、関係性は楽しそうというか。もう少し詳しく聞きたいな、と思えた感じですね。
そしてこの二つを選んだもう一つの理由は、「共作ならでは」という部分を出せそうだ、と思ったからです。
書き手が違うと推したい部分は違うので……。
……そうか。今気づきましたが、この二作品だと「それぞれの主人公はこういう人」というのを主軸に話が作れそうだったから、だから一人称で話を書いている私でも書けそうだ、と思ったのかもしれないですね。
さて、上記のように返事をし、この二つの案に対しもう少し詳しい説明を聞いた訳ですが。
それを受けて次に私が考えたのは、
「共同制作するならば二人の世界観の認識を完全に一致させなければならない」
という点ですね。
森陰様の方の話の主軸と私の方の話の主軸がズレるのは駄目。味付けは変えてもいいけど。
「恋愛・ヒューマンドラマ」の場合、話を動かすのは「人」で、その展開は主人公二人の性格が肝になります。
つまり自分の主人公だけでなく、相手側の主人公についても完全に理解しなければならない。
でも、文章で
「この人はこういう人なんです」
と完璧に説明するのって、難しくないですか?
例えば、「几帳面な人」という説明があったとします。
この「几帳面」はいつも身の回りを綺麗に整頓している、という程度の几帳面なのか、それとも自分のスケジュールも分刻みで決めるような「融通が利かない」というニュアンスを含む几帳面なのか。
そういう細かい差異が分からない。
だけど、
「彼女と二人で遊園地に初デートに来ました。彼はまず何をする?」
というような、具体的なシーンで動かす質問をすれば
「まずマップを広げて、回る順番から彼女に質問しそう」
とか
「事前にすでに計画済で、彼女を連れ回しそう」
とか、具体的な答えが出せるんですよ。
逆に言えば、こういう具体的なところを聞かないと、その人となりを理解するのは難しい。
そういう意味で、擦り合わせがかなり大変そう。
それからいくと、この「恋愛・ヒューマンドラマ」はかなり面白そうではあったものの、まず私が森陰様の方の話をある程度読まないとキャラを理解できないだろうな、と思いました。
要するに「難易度が高い」と感じたのです。
それからいくと、「ドラマ・アクション・SF」の方は何らかの事件やイベントを経てゴールに向かうので、この「事象」というものは絶対にブレない。
それらの事象に対しどう感じるかはキャラ次第ですが、それはお互いの味付け部分であってあまり問題にならない。
ストーリー展開の肝は「事件」と「捜査」ですから、これは絶対に確定事項のはず。ブレない確かなものがあるので意識の擦り合わせがしやすい、と考えたんですね。誤差を埋める感じで進められるのではないか、と。
ということで、上記の理由から「初挑戦するならBかな」とお返事したところ
「なるほど、Bで行きましょう!」
とすんなり決まりました。
森陰様も、かなり決断が早い。もともと「どちらでもいいですよ」とは言っておられたのですが。
そして、その後の段取りも凄かった……。
それについては、また次回ということで。
私が書いた『旅人シリーズ』はファンタジー×恋愛。ファンタジー部分は「事象」ですから「事象」の積み重ねで物語は進められます。
だけど、ファンタジー部分であまり進展のない『まくあいのこと。』は書くのにかなり苦労したんですね。どうしてもシィナが動いてくれなくて(笑)。
この時点では『トイレのミネルヴァは何も知らない』は影も形もないんですけど、このとき「恋愛・ヒューマンドラマ」について考察したことは『ミネルヴァ』を書く上でかなり役立ちました。
やはり言葉をやりとりするというのは、創作する上でいい刺激になります。
そういう意味でも、共同制作を持ちかけてくださった森陰様には感謝です。
~共同制作の軌跡~
・2019年3月8日
森陰様からネタの提案を頂く。
・2019年3月9日
物語のネタが決まる。
読んでいただきありがとうございます。(^^)/