116.「ゲーム世界に転生」に引っ掛かりました。
こんにちは、加瀬優妃です。
『田舎の民宿「加瀬優妃亭」』にお越し下さり、ありがとうございます。
今回の内容は……
「ゲーム世界に転生」に引っ掛かりました。
でございます。
本日、2022年3月23日でもって、『収監令嬢は◯×♥◇したいっ!』の本編が完結いたしました。
読んでくださった方々、ありがとうございました。
さて、あとがきがてら創作日記の続きです。
『112.「異世界恋愛」に挑戦しました。』では普通の貴族令嬢恋愛モノは無理と判断して乙女ゲーへとシフトしたこと、そして『113.「乙女ゲー」について考えてみました。』では「乙女ゲーって何なん?」というところから調べたり話を聞いたりして自分なりに解釈したことを書きました。
そして、主人公のストーリーの前にゲームのストーリーに取り掛かることにした、と書いたのですが。
そう『取り掛かることにした』……話はここでは終わらない。
また一つ、引っ掛かってしまいました。
「ゲーム世界に転生ってどういうこと?」
わかります? このオカシさ。伝わるかなあ……。
異世界はわかりますよ。昔からあるジャンルですし。
現実世界とは別の管轄の神様が作った世界で、その世界の外側から来た人間じゃないと救えない、とか、どうとでも理由はつけられる。
だけど、この『ゲーム世界に転生』の話に出てくるゲームは「巷で流行っている、自分が気に入ってプレイしていたゲーム」なんです。
巷に流通しているということは、そのゲームを作ったのは間違いなく日本の会社、その世界観が構築されたのは複数の日本人の頭の中です。
つまり、神様でもなければ特別な能力がある訳でもない、現実世界を普通に生きている人達の創作、ということです。
じゃあ、いったい誰が何のためにその世界を3D化したの?
それに、ゲームってめちゃくちゃいっぱいあるよ。有名ゲームでも知らない人は知らない。
どうして都合よく自分の知っているゲーム世界に行けるの?
いやいや、そこ重要じゃないやろ、ということは理解しています。
「さあ、ゲーム世界に来ちゃいました。どうする?」がスタートで全然構わないんです。それに、作中はいかにフラグを折って主人公が幸せになるかですから、よく知っているゲームじゃないと攻略できないですよね。
もう一度言います。
そんな「なぜ?」は要らん。スルーでOK。物語中に書く必要は絶対にない。
それはわかってるんですけど、どうしても引っ掛かってしまって。
何作か読んだんですけど、当然ながらそこには触れられてはいない。(当たり前だ、要らないんだもん)
いや、でも、ゲーム世界って仮想世界よ? 現実世界に対してどういう位置づけになってるの? なぜ現実世界じゃなくてそっちに行っちゃったの? そもそも転生ってナニ?"(-""-;)"
……となり、
「じゃあどうせなら独自で転生システムを考えてみるか」
となったときに、ちょうどカクヨムで『同題異話SR』2月のお題が来ました。2020年2月1日ですね。
それで試しに一つ作ってみたのが、『きみの嘘、僕の恋心』です。なろうでは『死神バイトは今日も元気にゲンコツを食らっている☆彡』のタイトルで投稿してあります。
まぁこれはあくまで転生システムの試作で、『収監令嬢』では用いていませんが。だいたい、マユは転生してないし。
そうなんです、なろうで『異世界転生』『異世界転移』の両方のタグを入れてあるのは、マユが自分はどっちか解ってないからなんですね。「まぁどっちかです」ぐらいのニュアンスで入れてありました。
……で、こちらまでわざわざ読んでくださった方のためにちょっとネタばらしすると、『異世界転生』ではありません。
すなわち、マユと11歳までのマリアンセイユは別人です。(どどーん!)
さて、話を元に戻しまして。
これだけweb小説で出回っている、みんながフツーに受け入れている『ゲーム世界に転生』という設定。
その“そもそものところ”に引っ掛かりを感じるなんて、やっぱり私が変なんだろうか。
知識が足りなくて、何か大きな思い違いをしているのかもしれない。
そういう不安もありまして、書き手の方二人に上記の疑問をぶつけてみました。
書く方も読む方もされているし、web小説の変遷とかそういうのにもお詳しいので。
で、頂いたお返事がこちら。
●プレイヤーがゲーム世界に送られる物語がSF的なジャンルで過去にあり、これに流行った異世界転生を混ぜたのが『ゲーム世界に転生』。
その後そういう作品が増えたことで作中でその説明をされることは殆ど無くなった。そういうシチュエーションに慣れている人が殆どなので疑問を感じないことが多く、現在はその“慣れた人のための物語”となっている。
なので、慣れてない人にその疑問はあって当然で、おかしくはない。
例えばFFに詳しくない人は「ドラゴンに乗ってないのになぜ竜騎士?」と疑問を持つけど、ファンはそんなことは考えない。
●作中でその「なぜ」に言及されている作品は少ない。覚えている中では「乙女ゲー世界の住人が現実世界に転生して、自分の物語を乙女ゲーとして出した、そしてそれをプレイすることになる」というループ要素を含んだ作品があった。
なるほどなー、と思いました。
一つ目のFFの例えはわかりやすかったですね。確かに!と思いました。
(※ちなみに『竜騎士』は初出はFF2でちゃんと竜に関係あるジョブでしたが、FF3以降はジャンプして頭上から槍でぶっ刺すスキル持つジョブ、という感じです。もう竜関係ない……)
そして二つ目の「設定が公開されている例」。これはそこの部分がそもそも作品のキモ、ストーリーのど真ん中ですから、当然ですよね。
多くの話でそこのところが説明されてないのは、やっぱり要らないからなんですよね。
ゲーム世界に来ちゃった主人公がその世界でどう振舞うのか、どうなっていくのかが興味を持つところです。そもそものところが本編中の展開に影響を与えるのなら必要ですが、大抵は要らないですから書きませんよね。
うーむ、やはり引っ掛かる私がちょっと変なんだなと思いました。
慣れてない、つまり研究不足ということですからね。
物語を書くとしたら、そこにこだわった話は「めんどくさい」印象になりかねない。
上記の例のような「そこがキモ」でない限りは表に出さなくていい部分に該当する訳です。
しかし、自分が引っ掛かったままでは話なんて作れない。
少なくとも私はちゃんと納得しておくべき。
となると、その辺の理由付けからまずは始めるか……。
「ゲーム世界の3D化とは」
「なぜ自分の知っているゲームに転生するのか」
というところを。
ついでに「ループ系」の説明もつくようにするか。
……という訳で、通常だと簡単なストーリーとキャラを作ってから肉付けしていくのですが、『この世界の成り立ち』という、非常に大枠といいますか、一番外側から作ったのが本作になります。
キャラ重視の私としてはかなり珍しい作り方をしました。普段はむしろあちこちに設定の余白を作りながら話を作るので。
だけど今回は駄目。自分がしっくりきていない世界の中で、話を転がせる訳が無い。
だから逆に、そこさえ決まれば話も決まるんじゃないかな、と思いました。主人公がなぜそのゲーム世界に来たのか、という理由付けを考えることができますから。
それで大枠を作って、キャラ作って、ゲーム作って、プロット作って……となり、実際に下書きを書き始めたのは多分、2020年の2月中旬頃じゃないかな。
4月と5月はFF7リメイクをやるのに忙しくて、丸々二か月書いてません(←オイ)。
で、第6章を書き終えたのが2020年8月中旬。実質四か月ぐらいですか。第6章までが『辺境編』ですね。
この『辺境編』はプロットなしだったので暴走に暴走を重ねまして、最初に作っておいた『学院編』のプロットが全く使えなくなりました(笑)。
プロットを作り直しつつ、第7章を書き始め(8/25開始)、書き終えたのが9/20ですね。
カクヨム、ダウンロードすると作成日時が残ってるので、それで判明しました。(第6章まではなろうで作ってて転載した形なので残ってない)
以下、作成日程は次の通りです。
第8章:9/21~9/29(9日間)
第9章:9/30~10/8(9日間)
第10章:10/11~10/26(16日間)
第11章:10/26~11/5(11日間)
第12章:11/7~11/13(7日間)
最終章:11/13・11/14(2日間) ※すべて2020年
この第9章の後半から第10章がほんとーに詰まりまして。
「こんだけ書いちゃってるけど、読む人は本当にいるんだろうか」
と滅入ってしまったんですよね。
この時点ですでに30万字超え。『ミネルヴァ』と違って章ごとにアウトプットできないのが本当に辛かった。
それで、『完結させてから投稿』という自分ルールを破りまして、前倒し投稿しました。
カクヨムで『収監令嬢』の連載を始めたのは、2020年10月15日です。第10章どんづまり中(笑)。
更新のたびに読んでくれる人が、数人でいいからいて欲しい。
もともとはNというたった1人の読者がいてくれたおかげで、100万字超えの『旅人シリーズ』を完結させた私です。ちょっとでいいから読者がつけば、十分に燃料になるはずだ!……と、考えました。
名付けて、『元気玉作戦』。
「オラに力を分けてくれ!」\( ̄O ̄;)/
実際には二桁以上の方が読んでくださいまして、とてつもないエネルギーになりました。
交流がある方のコメントは嬉しいし、見知らぬ誰かが読んだことで加算されたPVも励みになります。
その辺は、上記の下書き日程にも現れてますよね。第11章以降の加速がすごい。
こんな感じで、この『収監令嬢』という作品はできあがりました。
フラグを『折る』話ではなく、フラグを『知らない』という話。
これは、
「自分の知らないゲーム世界に来た場合、話は作れるんだろうか?」
とふと思い立ち、新たに自分に課題として出したものです。
結論としては、
「作れないことはないけどすんごく大変」
「やっぱり知っている人間がいないと無理」
「テンプレは偉大」
でした(笑)。
当初の目標はあくまで『異世界恋愛』ですし、現在も自分ではそのジャンルだと思ってはいますが、上記のようなこともあってかなりファンタジー色が強くなりましたね。マユが恋愛不感症気味でしたからね。
これは『異世界恋愛』じゃないだろー、というお叱りも受けそうですが……でも、この物語の根底にあるのは間違いなく『恋愛感情』なので、こちらに置かせて頂きたいです。(土下座)
主人公のマユの頑張りをずっと追った物語でしたが、以上のようなこともあり、
「考えてあるけど書かない」
とした部分がいろいろとあります。
話がブレますし、マユが知りようのない情報なので。
ですが、せっかく考えましたし、「忘れてしまいたくない」という思いがありましたので、本編完結後に『後日談』『外伝』を書きました。
しばらくしたら、なろうにも投稿していこうかな、と思います。
しかしこんなんばっかりですね、私は……。『ミネルヴァ』といい、『旅人シリーズ』といい……。
いや、本編には不要だからさあ。背景とか脇役のこととか。
でも……でもでもね!
魔獣とかね! サルサとかね! シャルルのその後とかね!
あと、千年前の魔王と聖女シュルヴィアフェスとかね!
色々あるんですよー。……完全に自分ウケですけど!
気が向いたら覗いていただけると嬉しいです。
さて、とんでもなく長くなりましたが、これにて『あとがきとゆーより創作日記』はおしまいです。
改めて。
『収監令嬢』を読んでくださった方々。
そしてこの長いあとがきまでお付き合いしてくださった方々。
本当にありがとうございました。
この『収監令嬢』がどこかで誰かの暇つぶしになっていたらいいな、と祈りつつ、筆を置きます。
という訳で、長い長いあとがきでした。
カクヨムでの連載から約一年後になろうへの転載を始めた訳ですが、意外に誤字やら濁点ミスやらが見つかって焦りました。
毎回ちゃんとチェックしているつもりなんですけどね……。誤字って無くなりませんよね。何でだろう?
読んでいただきありがとうございます。(^^)/