107.「人称」について調べてみました。
こんにちは、加瀬優妃です。
『田舎の民宿「加瀬優妃亭」』にお越し下さり、ありがとうございます。
今回の内容は……
「人称」について調べてみました。
でございます。
さて、そもそもは小説を読む趣味すらなかった私がなぜか執筆活動をするようになって、四年経ちます。
なろうで投稿を始めたのは三年前、2017年10月10日ですが、この時点で「旅人シリーズ」は1年ほどかけてほぼ完結させていましたので。だから執筆を始めたのは2016年ですので、四年前です。
で、そんな私が2020年8月27日の活動報告で題材として取り上げたのは、『人称について』です。
お、遅い、遅い。小説を書く前にやっとけ。
それはともかく、まぁ再勉強しようと思ったのですよ。
で、これは創作にも関わりますし、割烹の方はやがて埋もれてしまうので、こちらに転載しておこうと思います。
自分の勉強ですから
「そんなことわかっとるわー」
ということも多いかと思いますが、よろしければどうぞ。
* * *
私はほぼすべての小説を「一人称」で書いています。
これは、最初にNに言われて書くことにしたとき、三人称で書いてみたら思うように進まなかったからです。
何か淡々としているというか、文章が死んでいるというか、まぁつまんない感じというか。
で、仕方なく冒頭部分だけNに見せたところ
「一人称で書けば?」
と言われたので、試しに書いてみたらすごくサクサク進んだんですよね。
それ以来ずっと、一人称で書いています。
シーンによっては三人称もありますけど。どうしても客観的に起こったことを述べたいことがあり、部分的に使用したことはありますが。
だけど本音を言えば、三人称で書けるようになりたい……。( ̄~ ̄;)
もうちょっと厳密に言うと、内容によって使い分けられるようになりたい!
しかし思い返すと、中高時代はずっと三人称で書いていたはずなんですよね。SF・ファンタジー系だったし、唯一の恋愛物は4組ぐらいのカップルを並行して扱うタイプの物語だったし。
ただ、高校時代の友人としていたリレー小説のみ一人称でした。その友人が
「話を思いついても完結させたことがない」
と嘆いていたので、
「それなら二人で書こう」
と提案したんですね。
二人ならネタに詰まっても相談できるし、複雑な設定の話じゃなくて身の回りにありそうな恋愛なら書きやすいんじゃないか、と。
でもって、恋愛ならやっぱり一人称じゃないかな、と。片想いは、相手の気持ちが分からないから片想いのモヤモヤがあるんじゃないかな、と思ったので。
で、二人で書くことになって私が作ったネタは、男子の一人称でした。
リアルJK2人が書く恋愛物なのになぜ女子目線じゃなかったんだろうな、と今でも不思議に思う。(・_・;)
まぁ、リアルじゃなくて空想を書きたかったからでしょうね。
おっと、前置きが長くなってしまった。それでは人称の話にいきましょう。
小説には「一人称」「二人称」「三人称単一視点」「三人称神視点」があるそうです。
●一人称
「僕は~」「私が~」など、主人公目線で語られる物語。
何かのエッセイで
『彼は「また会いたいな……」と独り言のように呟いた。しかしすでに背中を向けていた私の耳には、その言葉は届かなかった』
みたいな文章を見るとげんなりする、とありました。
そりゃそうだ!
「届かなかった」んなら知らないはずでしょ、アンタ! \( ̄▽ ̄;)
主人公に聞こえてない台詞が明文化されてたらおかしいですよね。
主人公に見えてない景色は見えない、聞こえてない言葉は聞こえない、知らない事柄は知らない。
相手の気持ちは、相手が言葉にしない限り分からない。場合によっては言葉にされても分からない。推測するしかない。
そこはゴッチャにしてはいけない。
でもその点にさえ気を付ければ書きやすいと思うんですよね。
だって、リアルはそうですからね。
人は、自分の一人称の物語の中を生きているんだから。
話のテイストを伝えるのに便利な一人称ですが、読む側からすると主人公を好きになれないと読み進めるのがキツいですよね。
ストーリー中は完全に主人公の主観の世界ですから。好きじゃない人の話を長々と聞くのはしんどいかもしれない。
そういう欠点はあるかもな、と思います。
●二人称
「君は~」「あなたは~」と語り部が対象人物について描く物語。
二人称なんてあったんだー。知りませんでした。
一人称の派生になるんですかね。多少、語り部の心情も交えるでしょうから。
観察日記みたいな感じかなー。新川透が莉子に出会うまでの手記を書くとコレになる気がしますね。
……怖くなってきた。考えるのやめよう。(-_-;)
これは、読み手がまるで作中の「あなた」になった気分になるらしい。
書くのはすんごく難しそうですね。成立させるのが大変そう。
ググってみると、2013年芥川賞作品の『爪と目』がこの二人称小説の傑作だそうです。
●三人称単一視点(一元視点)・三人称多視点(多元視点)
「彼女は~」「彼が~」と客観的な視点から語られる物語。
ただし「単一視点」の場合はある一人のすぐ後ろから見ている形で、その人物の内面描写も可能。
複数の内面描写がある場合は「多視点」。その場にいる何人かの心情描写をする場合はこちらになる。
利点はやっぱり、話が理解しやすいところですかね。その場に誰がいてどういう立場なのかとか、いわゆる説明・データ的なもの入れるのはこちらの方がやりやすい、と思います。
主人公は知らないことだけど読者には知っておいてほしい情報、なども入れ込めますしね。
私が苦手だなーと思うのは、そういう「情報」にどう「心情」を入れ込んだらいいか分からないからですね。
あと、そもそも「説明」が苦手。情景描写自体が苦手で筆が進まない。あと、三人称を意識するあまり説明過多になりがち。文章力・構成力・語彙力がバランスよく必要だなあ、と思います。
ちょっと三人称の話からはそれるんですけど。
人物描写について言うと、読み手の意見として
A「髪の色とか瞳の色とか細かい見た目の描写はどうでもいい」
というのと
B「読んで想像する部分が多いとしんどいから絵が浮かぶようにちゃんと書いてほしい」
というの、両方を見たことがあります。
Aの意見は「髪が赤かろうが青かろうがストーリーに関係ないなら要らなくない?」ということを言ってるんですね。例えばそのキャラの容姿がその世界観の中で重要な意味を持つなら必要だろうけど、そうじゃないなら細々書かなくてもいいでしょ、と。
Bの意見は「どういう人物か絵で思い浮かべられないと感情移入できないのでストーリーも入ってこない」というような話だった気がする。
結局好みの問題なので、自分が読みやすいと思う形で書くしかないとは思っていますが。
ちなみに私が読み手の場合はというと、描写がなければないで想像するし、あったらあったでイメージするのでどっちでもいい。
自分がこうなので、書く側になるとどれぐらいが適量かわからない。
結局、身体的特徴がキャラの性格形成や話に関わるときは書いて、そうでないときはあんまり書いてないですね。ご想像にお任せします、的な。
で、背景描写はというと、「真っ白はいかんやろー」と思って最低限のセットは書くようにはしていますが、大の苦手ですね。
一人称だと主人公の目に入っていない物は書かなくていいので省けるんですが、これが三人称になるとそういう訳にもいかんよねーと、構えちゃいますね。
ただ、ファンタジーや歴史物など、それぞれの立場の人間が複雑に絡み合う物語は三人称がいいんでしょうね。一人称だと語り部を変更しないと無理なので。
そして語り部の変更は、あまり評判がよろしくないらしい。語り部が変わると語り部の価値観の違いから感じ方も変わる。ある一つの事柄に対して、それは「正しい」のか「間違ってる」のかすら分からなくなる危険性があります。
ですので、統一性がなくなるというか、目まぐるしい印象を与えるのかな、と思います。
●三人称神視点
「彼女は~」「彼が~」と客観的な視点から語られる物語。
登場人物の内面描写はほぼ入れず、上から見下ろしたような、俯瞰で見た情景を描くタイプ。
これは、先の展開もすべて知っている神様(=作者)が、作品世界のツアーガイドをするように語る物語、だそうです。
神様なので、個々のキャラの感情の代弁はしない。どう感じてるのかは仕草などから匂わせるのみ。
うーん、超上級者向き、という感じがする。(・_・;)
人称が何となくわかったところで、ちょこっと書いてみようかな。
面倒なら読み飛ばしてください。単に自分の練習のようなものなので。
◆ ◆ ◆(ワープポイント)
●一人称
足音が聞こえた気がして、後ろを振り返る。だけどそこには、誰もいなかった。
ひょっとしたらすぐにタカシが現れるかもしれない、と思ってつい背伸びをして、道の向こうの向こうまで目を凝らしたけど、何も見えなかった。
タカシなら追いかけてきてくれると思ったのに……。もう、そこまで私に気持ちは無いのかな。
辺りに響き渡る「ミーンミンミンミン」というセミの声がやけにうるさい。自分勝手で我儘な私を責めているかのようだ。
かえって自分一人だけ取り残されたような気分になって、私はその場から逃げ出すように元来た道を駆け出した。
やっぱり、タカシの家に戻ろう。謝る気はない、だけど一人は嫌だもん。
●二人称
あなたは不意に足を止め、走ってきた元の道を振り返った。きっとタカシが追いかけてきてくれると思ったのでしょう。一生懸命背伸びをして、遠くを眺めていたわね。だけど誰もいなくて、期待に満ちた表情はみるみる曇ってしまった。
辺りに響き渡るセミの声だけがあなたを取り巻いている。いたたまれなくなったのか、あなたは弾かれたように駆け出した。歩いてきた道を引き返し、タカシの家の方向へと。
あなたのことだから、素直に謝ることなんてできないわね。だけど淋しがり屋だから、独りに耐えられなかったのでしょう。
●三人称単一視点
人気のない道を走っていたミユキが、不意に足を止めて後ろを振り返る。彼女の期待とは裏腹に、そこには誰もいなかった。ミユキはタカシの姿を確認しようと背伸びをして遠くまで見つめたが、何も見えない。ミユキの表情はみるみる曇り、顔も下を向いてしまった。
タカシなら追いかけてきてくれると思ったのに、と不満に思うミユキの耳に入ってきたのは、セミの鳴き声だけだった。道に沿って植えられた樹々からはセミの鳴き声が辺りを埋め尽くすかのように広がっている。
ミユキを責めるかのようなセミの鳴き声を振り切り、彼女は再び走り出した。謝る気はないけど、でも、と自分に言い訳をしながら、ミユキは元来た道を引き返してタカシの家へと向かった。
●三人称神視点
人気のない道を走っていたミユキは不意に足を止めて後ろを振り返ったが、そこには誰もいなかった。ミユキは目を大きく見開き、背伸びをして遠くまで眺める。しかしミユキの目はタカシの姿を捉えることができなかった。ミユキの表情はみるみる曇り、顔もだんだんと下がっていく。
道に沿って植えられた樹々からはセミの鳴き声が辺りを埋め尽くすかのように広がっている。
俯いたまましばらく立ち止まっていたミユキは、パッと顔を上げると弾かれたように走り出した。口元をキュッと引き締め大きく手を振り、元来た道を引き返している。その先にあるのは、今飛び出してきたばかりのタカシの家だった。
むっず! Σ( ̄Д ̄;)
一人称の文章を書いた時間に対して、二人称以降を書くのにかかった時間と言ったら……!
でもって、時間がかかったにも関わらずちゃんと書けた気が全くしない!
特に「二人称」については、これがはたして二人称になっているのかどうかもよくわからない。成立していない気がする。
三人称は、例えばセミの声について「うるさい」「責められているように感じる」というのはミユキの『主観』なので抜かないといけない。
でー、その代わりに客観的情景描写を入れておかないと、何のこっちゃわからん。( ̄~ ̄;)
単一視点の方は、主人公の心情描写をちょっとは入れていいらしいのでまだいいのですが、神視点となると「○○と思った」「○○と感じた」的な内容は完全NGらしく、状況と仕草だけで匂わせないといけないそうです。
いや、ムリムリ。それをやるには本当に客観的な視野が要りますし、観察力が要りますし、観察したことを文章化して読者に伝えることができるだけの力量が要りますし。
◆ ◆ ◆(ワープ着地点)
ふふ、ふふ。φ( ̄▽ ̄;)
という訳で、自らの実力不足を露呈するだけの結果になりましたが、まぁとにかく!
人称が混じると分かりにくいのでそこだけはちゃんとしとけ!
一人称は一人称のルール、三人称は三人称のルールをしっかり守れ!
……と。わかったのは、コレぐらいですかね。
まー、あとは書き慣れるしかないでしょうねー。昔のを見ると
「あー、全然足りない」
と感じたりするので、少しは成長していると思いたいです。( ̄- ̄;)
(でももう改稿はしない、しんどいから……)
2020年8月27日の活動報告では、「二人称ってこういうのだよ」とか「自分はこういう風にしているよ」など、ためになる意見を色々と頂きました。
よろしければ、そちらも見てみてくださいね。
読んでいただきありがとうございます。(^^)/