アクアリウムは終わらない
基礎実験に勤しむ学生を監督する傍ら、学術雑誌に目を通していると、学生から声が掛かる。
「教授、ここはどういう事でしょうか?」
「アンタ、馬鹿なの? タコでももう少しマシな質問するわよ」
「どうしてタコなのですか?」
学生の頭を叩いて黙れせる。
「アンタ1番と2番間違えてるわよ。最初からやり直しね」
悲鳴を上げる学生を尻目に雑誌を広げる。
あれから20年経った。私は知りたい事を粗方知り尽くしたので、最前線から退き、後進の育成に力を入れている。
結婚はしていない。アイツが死んでから10年間私は最前線に立ち続けた。気付けば婚期を逃し、地位も名誉も金も十分に有ったのだ。
昔は子どもが欲しいと思っていたが、アイツと会った所為か血の繋がりが重要な事でないと感じた為、養子を一人育てて満足している。
「結局アイツが一番謎なんだよね」
アレは神の御業か、執念の為せる業なのか、はたまた天文学的偶然が重なった結果なのかは分からない。しかし解明される日が来るのだろう。
――道は続いているのだから。
完結致しました。感想頂ければ幸いです。
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