第65話 グッジョブじめさあ
第65話 グッジョブじめさあ
開始早々、おやかたさあが持参したくじを持ち出し、
「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」の面々はくじをひいた。
「電脳シーマンズいきなりくじ引きかよ!」
「あれで戦の吉凶を占ってるんだよ! ガチ島津だな!」
くじの結果を見ると、くそな方の家久さあが鐘を持ち出してそれを鳴らした。
「おめでとうございまあす! 歳久兄さん大当たり〜! 1等賞です!
歳久兄さんには鹿児島旅行無期限と西日本プレゼントでえす! おめでとう〜!」
「やったぜ!」
「あ、俺2等賞! やったぜ、つけ揚げセット一生分と沖縄の砂糖だ!」
「おおっと忠恒も当たりだ、おめでとう! 俺も3等賞、領地の安堵当たった!」
忠恒さあ…のちに悪い方の家久さあも、くそな方の家久さあもくじに当たっていた。
「俺はポケットティッシュと借金だったよ…」
おやかたさあははずれだった。
「でもみんなに当たりが出たならそれでいいや、この戦は勝つ。
行くぞお前ら、島津の名にかけて!」
「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」の面々はようやく動き出した。
「アホかあいつら、こん戦は時間勝負ぞ…!」
今回の大会で戦う任務は、有料の別売り任務からの出題だった。
最初の任務は「稼ぎの交錯」、市街地に敵の湧く出口が多数あり、
そのうちの大半が1カ所に固まっている。
飛行潜入兵の俺と勘違いデブの四刀重装兵が先行し、飛行動力を節約しながら、
砲撃で敵を散らしつつ二人で手分けして出口を先に潰して行き、
残った敵を集めて捨てがまり、井伊どんの空爆で一気に倒して、
俺たちが次の任務へと駒を進めた。
「フライド丸捨てがまり戦法キター!」
「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」の奴らも、
最初に噛みつき攻撃をしてくる敵の出口を潰して、
残りの巣を楽々潰し、残りの敵はおやかたさあの飛行潜入兵が誘導して、
三方向から挟み撃ちにして任務を完了させた。
おやかたさあは空爆の発生時間をうまく読んでおり、
それに合わせて通過するので、体力を失わない。
…もしかしたら俺より上手いかも。
次の任務は「絶対守護陣」、地下での任務である。
地下に別売り任務ならではの固い敵が多数おり、
途中の広間のこれまた固い中将を倒さないと次に進めず、
その進んだ突き当たりの広間には超絶固い大将が待ち構えている。
通常、地下での任務には爆撃が有効なのだが、ここの敵はあまりにも固すぎる。
狭い通路に敵を集めて、飛行潜入兵の雷撃、歩兵の機関銃、
四刀重装兵の連打、俺たちは敵の攻撃を出させない作戦で行く事にした。
そして大事なのは空爆支援兵の防御壁と武力向上支援である。
この支援で少しでも攻撃を避け、敵を柔らかくしようという狙いだ。
遅れて「絶対守護陣」に進んだ、「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」は、
大将戦を考慮した火力重視の作戦で、遅れを取り返し先行した。
続いての「カメラ目線ツーショット」では、お家芸である「釣り野伏せ」を駆使し、
俺たち「戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK」に差をつけた。
そして4番目の「膨れるMk-II」で勝利を確実なものにした。
「よし、歳久、家久、忠恒よくやったぞ、『ぐっじょぶ』!」
「空爆間違えなくてよかったあ」
「義久兄さんがフロッティ持って来てくれたおかげだよ」
「あいつら潰せ! 特に手紙で俺をあれ呼ばわりした義弘、
そして家督をなすり付けやがった豊久!」
「『電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL』誘導! 挟撃!」
「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」は完全に勢いづいていた。
「やばいで、あと1戦やん」
「まずいな…あいつら思ったより強い、島津のくせに。
ヒキオタニート島津義久が前線であんな戦えるとは…」
「くそ、まだ恨んでやがるのか忠恒め…! さすが性格最悪!」
「戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK」は顔を寄せた。
「あいつらの穴は歳久、あいつの手はろくに動かん。失敗する確率が高い。
それから忠恒は知恵が回るがとにかく性格最悪、
基本怠惰だから後ろでだらだらしているだけだ、あれは放置プレイでいい」
島津の勘違いデブは「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」の、
個々の弱点をぼそぼそ小声でささやき始めた。
「…家久は武力最高じゃっどが、生まれと教養の無さば気にしちょる。
教養攻めや、貴様らで雅ば見せつけて、心ん傷ば開きい。
そいから義久、おやかたさあ…ここじゃ良う働くけんど、
ちいと気いが弱かところと、縁起ば気にすっところがあっと。
不吉さちらつかしてびびらしたら良か」
俺はその続きを取って、デブの代わりにささやいた。
「さすが豊久、島津の内情にも良く通じておる」
「誰が豊久さあじゃ、おいはフライド丸じゃボケが。そいからな貴様ら…」
俺は次の任務の作戦を話した。
次の任務は「愚連」、最後の任務だ。
「ふはははは! 敵が亀寿に見えるぞ! ぶさいくだな!」
最終任務に入っている「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」側では、
忠恒…のちの悪い家久の高笑いが聞こえた。
「なんだと! 私の娘を愚弄するつもりか!」
「だめだよ義久兄さん、今は忠恒なんか相手にしちゃだめ!」
「歳久は下がってて!」
「あうう、ひどいよう」
忠恒…のちの悪い家久の発した「亀寿」という言葉を発端に、
「電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL」は、内部分裂の兆しを見せ始めた。
「亀寿」とは、おやかたさあの3番目の娘で、忠恒の嫁であるが、
そこは性格最悪の忠恒、亀寿さあを粗略に扱って島津家家中で問題となった。
俺も彼女を避難させるための相談に駆り出された事がある。
ぐっじょぶぞ、亀寿さあ!
「おおっと! 『電脳シーマンズMADE IN HEAVEN♯DIGITAL』、
ここに来て内部分裂の模様! 『亀寿』とは一体何者か?」
「亀寿はうちの娘だ! 貴様も娘を愚弄するか!」
諍いは司会者をも飲み込もうとしていた。
今だ。
「…行っど貴様ら、今こそ敵ばうっ殺す時!
『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』、殺! 害!」
「殺! 害!」
俺たち「戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK」は作戦を実行に移した。
「はあ〜、喉渇いたなあ。誰かこの後飲みに付き合ってくんないかなあ〜?」
井伊どんの「ぞんび」が敵側に聞こえるような大声でぼやいた。
「島津歳久、あんた確か相当にいける口らしいじゃねえか、
付き合えよ、好きな酒好きなだけおごってやるからよう」
よいよいの歳久さあは、よいよいなだけあって「酒」という単語にぴくと反応した。
そしてそれが引き金となり、禁断症状が現れだした。
手も震え、空爆や乗り物の要請を間違え、その後しばらくの要請が出来なくなってしまった。
井伊どんの「ぞんび」の策に俺たちも続いた。




