第48話 電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP
第48話 電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP
「子安どん…なんで?」
決勝戦の相手が子安どんと「島津マンション」住民である事に驚いた俺は、
狐につままれたような顔をして、子安どんに聞いた。
子安どんは暗い海の底のような、冷えきった表情をした。
嘘みたいだ、子安どんがこんな顔をするなんて…。
「『試合には行く』とは言ったが、誰も『応援しに行く』とは言っていない。
悪いがフライド丸、今日のところは負けてくれ…そしてお前!」
子安どんは井伊どんの「ぞんび」を指差した。
「井伊直政、とりあえずお前は潰す! この変態ストーカーが!」
「俺かい? これはとんだお転婆さんだ…でも誰が負けるかい、なあお嬢さん?」
井伊どんの「ぞんび」は子安どんの挑発をあざ笑った。
くそ、井伊どん大人だ…余裕あり過ぎだろ。
「くそ、井伊直政め…!」
「変態ストーカーは島津義弘、お前だろ! よくもうちの揚弘を!
豊久とかボケと間違えんなカスが! 殺すぞデブ! ああコラ!」
島津の大きいのも島津の勘違いデブを挑発した。
「そう言う事なん、新納どん、伊集院どん?」
「らしいな」
「らしいです」
まさか痴情のもつれごときで、わざわざ決勝にまで出て来るとは…恐ろしか。
「それでは準備お願いします!」
俺たちはそれぞれの席についた。
「『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』側、
メンバーはRMフライド丸! 続いて入室順に井伊直政! 島津義弘! 島津豊久!
対する『電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP』側、
メンバーはRMにです☆さま、続いて入室順に、コルレオーネII! トレパクMASTER!
パンツにスクリーントーン!」
大画面に映し出された画面の拡大に映り込んだ手許からして、
「です☆さま」が子安どん、「ぱんつ」が島津の大きいの、
「コルレオーネII」が新納どん、「トレパクMASTER」が伊集院どんのようだった。
やっぱり島津の大きいのの「ぱんつ」が大将で、子安どんの「です☆さま」は、
捨てがまり要員として、敵の攻撃が集中しやすい部屋主にしてあるのだ。
「漫画を描いている最中、スクリーントーン貼りの作業をしている時に、
パンツを下ろすとスクリーントーンの灰色をした切れ端が、
パンツの中からひらりと出て来るのを知ってるか?
風呂に入ると湯の表面に、スクリーントーンがぷかんと浮いて来るのを知っているか?」
装備を選んでいると、島津の大きいのが集音器ごしに俺を挑発して来た。
「知らん! 貴様、 何そげんこっ知っちょっと!」
「経験だ、漫画を描く者を抱くとそうなる」
「くそ…! あん名前は嫌がらせか貴様!」
「それでは決勝戦、スタートです!」
戦の火ぶたは切られた。
体力はやはり1000固定、難易度は中、早く任務を完了した組が勝ちだ。
そして決勝戦という事で、連続した5つの任務をぶっ通しで戦うという、
新たな規定が設けられてある。
最初の任務は「下に、下に」、崖を下って行って、下にいる敵を倒す任務だ。
「留っちゃん、囮!」
島津の大きいのが子安どんに命じた。
子安どんの飛行潜入兵は敵を湧かす円形の浮上物に飛び乗り、
敵をその下に集めた。
俺たちはと言うと囮を使う事なく、全員で火力を集中させて速攻する作戦だった。
これは「電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP」の方が効率が良く、
最後は集まった敵を島津の大きいのの空爆で粉砕して、先に任務を完了させた。
続いて、「笑いの予兆」、「笑いの絶えない街」では、
井伊直政と島津義弘の天界「こんび」の活躍で、俺たちが追い上げて、
続く「燃え燃え山」で俺たちが完全に先行した。
「おおっと、『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』が最終ミッション、
『敵中突破』に突入!」
最後の任務は「敵中突破」だった。
市街地中心部に敵陣があり、そのど真ん中に敵の湧いて来る口がある。
そこを捕縛攻撃をする敵が取り囲んでおり、正面突破は危険だ。
「戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK」結成のきっかけとなった任務である。
島津の勘違いデブが歓声をあげた。
「島津家プレイキター! 烏頭坂スイサイド!
島津ウィズドローアルウォーフェア! のき☆ぐち!」
「『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』島津義弘、やる気の雄叫びです!
さすが戦国武将、歴史通り!」
俺は飛行動力の回復をしながら、司会者に文句をつけた。
「全員やる気じゃボケ! おいたちは全員島津ん退き口ん経験者ぞ!
島津の勘違いデブは敵陣迂回のきっさねデブ! おなごんけっされ!
井伊どんの『ぞんび』は島津の『変態すとーかー』! うんこ送りつけ!
揚…いや島津豊久は捨てがま…体張ったお笑い『らいぶ』@『烏頭坂るみね』決行!」
「フライド丸、お前も経験者なんだろが!」
観客から声が上がった。
「おいは…おいは人生最大の失敗ばした歩く死人! 『うぉーきんぐでっど』ぞ!」
「てめえが一番ショボいんじゃねえか!」
そうこうしているうちに、「電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP」が追い上げて来た。
彼らは子安どんの「です☆さま」を先行させて、敵陣の背後に回り、
敵の湧き出す口を封じたいらしい。
俺らはまず井伊どんの空爆から始める事にした。
「揚…豊久さあ、狙撃!」
「了解」
揚弘は任務開始地点から後方に下がり、横に曲がった道路沿いの建物の、
上層階へ移動しており、そこから敵陣を狙っていた。
この場所は捕縛攻撃を仕掛けて来る敵を一望出来、そのほとんどを狙撃できる。
この狙撃地点はたぶん、俺たちだけが知っている。
井伊どんの「ぞんび」の空爆と、揚弘の狙撃で、
捕縛攻撃を仕掛ける敵は少なくなった。
俺は待機していた敵陣斜め後方の建物の上から飛び立った。
「電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP」はもう敵の湧き口を潰して、
あとは捕縛する敵と雑魚を片付けるだけだ。
「フライド!」
俺は敵陣のど真ん中に突っ込んだ。
「井伊どん、空爆もういっちょ! おい目標で!」
「空爆囮かよ! バカかフライド丸は! 死ぬ気か!」
「一斉爆破! こん戦突破すっど貴様ら!」
俺を目標にという言葉で、観客たちが一斉にどよめいた。
「釣り野伏せかフライド丸、悪いがそれは私も十八番だぞ!」
子安どんの「です☆さま」が集音器越しに吠えた。
よく見ると、「です☆さま」の体にはびっしりと爆弾が付けられてある。
「最近の流行りは釣り野伏せかつ捨てがまり、これだね」
「くそ…自爆攻撃か」
「おおっと、両者捨て身の攻撃を行うようです! これは熱い!
飛行潜入兵サクリファイス対決だあ!」
子安どんの「です☆さま」は飛び立った。
「行くぞフライド丸!」
「おおっと、井伊直政が攻撃支援、砲兵『グラン榴弾砲』を要請!」
『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』側では、井伊どんの「ぞんび」が、
広範囲を爆撃する空爆を誘導した。
俺は空爆予定地点のど真ん中へ飛び立ち、飛行動力を節約しながら滞空した。
『電脳城島津組×ガンギマリ@DEEP』側でも子安どんが敵を集めている。
「戦国ん華ば見しちゃる…『戦国アサシネ組@NS_CYBERPUNK』!
貴様ら島津に徹し! 今こそ島津ん戦ば見せっ時!
おいたちは『あささん』!敵は『あさしね』!
今こそ戦場に全て置き捨てる時ぞ! 我ら島津の名にかけて!」
俺の真下に敵が集まる。
そして砲撃が始まった。




