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第24話 ハイテク釣り野伏せ

第24話 ハイテク釣り野伏せ


「貴様、味方に何を!」

「誰が味方じゃ、こんおなごんけされたショボん固まりが!」


俺は敵に背中を見せて走り出した。

島津軍は俺を追いかけて来る。

見えなくても俺は走る、山道をひた走る。


途中、みんなで仕掛けた地雷原に差し掛かる。

俺は道の端に寄って、それを避けた。

そうしてしばらく走ったところ、島津軍が地雷原に差し掛かると、

地中に埋め込んだ地雷が一斉に爆発した。

俺は背中で爆炎を感じた。


おかげで島津軍は立ち往生した。

そうしている間に東軍のやつらが追いついてしまい、

島津軍はやつらに飲み込まれてしまった。

俺は更に山道を進む。

東軍のやつらは島津軍と一緒くたになって、俺を追いかける。


そうして島津の夫婦が組み立てていた「せんとりーがん」なる、

電脳の極みを通り越し、そこから少し行った先で俺は叫んだ。


「…行っど貴様ら!」


すると山道の両脇、そして先方で待ち伏せていた住民らが、

がばりと一斉に飛び出して来て、敵を囲んだ。

俺はその固まりを抜けた先でようやく止まり、息をついた。

さすがに馬との駆けっこはきついのなんの…。


「何っ! 『釣り野伏せ』…!」

「落ち武者狩りの集団か? 東軍は勝利軍ぞ、落ちてなどおらぬ!」

「落ち武者狩りとは失敬な…」


島津の大きいのが敵の前に出た。

尻まである長い黒髪が揺れる。


「『島津マンション軍事演習@戦国時代』へようこそ。

これほどの軍が集結とは敵に不足なし、実に光栄」


島津の大きいのがそう言うと、島津軍も東軍のやつらもどよめいた。


「『島津』…! 島津殿、あれはそなたらの手先か!」

「誰がじゃ、なんであんなもん…!」

「しかし奴ら堂々と『島津』と名乗っておろう!」


島津軍と東軍のやつらが言い合いになっているところを、

島津の大きいのが短い銃で撃ち抜いた。


「『島津』だ、島津幸弘。私の所有する城だから『島津マンション』。

敵は私らだ、お前らだけで男同士いちゃいちゃ楽しむなよ。

私も混ぜなさい、戦国の衆道ってやつにだ…!」


島津の大きいのは両手に持つでかい短銃をぶっ放した。

それをきっかけに島津マンションの住民たちは戦いを始めた。

住民たちは並べられた箱の後ろに下がり、手砲を持った者がどんどん発射する。

敵軍は足元をくじかれ、次々と地面に転がっていく。

そこへ「せんとりーがん」なる電脳の極みが作動する。


「総員後退!」


島津の大きいのがみんなに命じた。

ところが住民たちは戦いながら前進を始めた。


「な…お前ら後退! 危ないぞ!」

「大丈夫だ、俺たちは電脳の精度を信じる!」


新納どんが島津の大きいのの命令を退けた。


「俺たちは電脳の申し子だ!」

「サイバーシティが、デジタルテクノロジーが俺らにはついてる!」


住民たちはなおも進軍を続けた。

俺もそこに飛び込んだ。

敵軍の兵士が早速斬り掛かってくる。

これは東軍の者か、島津軍の者か、そんなのもうどっちでもいい…!

俺はただ、子安どんに辛い目を遭わせた戦国の世を、

俺の帰るべき戦国の世をぶっ潰したいだけだ。


敵が集団を組んで俺に向かって来る。

大勢でかかって来られると、やっぱり見えないか。

俺は腕に傷を受け、開いた傷口から血がぱっと花開く。

…そんなに俺の首が欲しいか、だが貴様らに首はやらん。

俺も貴様らの首は要らん、そんなきっしょい生ごみなんぞよこされても困る。

首なんぞ置いてかれても、そんなんただの環境汚染や。


「…ごみはちゃあんと分別しっせえ、集積所に出しましょう、じゃっど!」


至近距離なのをいい事に、俺は短い銃を懐から抜いて敵の体に押し付けて発砲した。

…すごい、弾が連続で発射される。

確か弾数は6発だって、島津の大きいのが言ってたな…。

でも反動が大きい、火縄銃なんかの比ではない。

肩が持って行かれそうだ。


俺は刀に持ち替えて、目を閉じた。

半端にしか見えないのなら、いっそ閉じてしまう方がいい。

相手は人だ、化け物とは違って必ず体温がある、呼吸がある。

俺は向かって来る集団に斬り掛かった。


その時、別の刀が俺の刀に交差して重なった。


「アホかフライド丸、見えへんくせに無茶すんなや」

「…揚弘!」


でも敵は止まらず向かって来る。

俺たちは刀を交差させたまま前進した。


「通さん!」


交差した2本の刀は敵の集団を受け止め、壁のように立ちはだかりながら、

そのまま押すように敵を斬っていった。


「よっしゃ、このままミンチにしてメンチカツや!」

「何ね今ん技」

「『揚刀島津死神揚丸十字』やな…俺の刀とお前の刀で戦場の十字架や」

「なして? 俺切支丹やなかでね! てか貴様の考える技名はみいんな変じゃっどね!」

「お前こそ『フライド丸』とか変な名前のくせに!」

「なにをう! こん『フライド弘』が!」


俺と揚弘はぎゃあぎゃあ言いながら、見苦しい固まりになった。

見苦しい固まりは敵中を斬って暴れながら、ごろごろと進撃した。


「ぎゃあ来たあ!」

「こっち来んな!」


敵兵は悲鳴をあげて、見苦しい固まりから逃げ惑った。

見苦しい固まりは、そのまま進撃を続け、交差する手砲と長い銃に進路を阻まれて、

そうしてやっと止まった。


「敵陣を穿孔した。グッジョブ、島津の小さいのにフライド丸」


子安どんと新納どんだった。

子安どんの両手には長い狙撃銃があった。

その肩からほら貝の入った鞄をななめがけに提げている。


「あ…子安どんも参戦なんや」

「当然だ、軍事演習だからな」


子安どんはそう言うと、銃を構えて俺たちの来た方へ敵中を逆走した。

敵兵はたちどころに子安どんを取り囲む。

子安どんは銃を交互に撃ちながら、敵をどんどん倒していく。

…全く撃ち漏らしがない、しかも全弾が急所に命中している。

そして弾の補填も実に計画的で、隙がない。


「嘘やん、子安どん…」


なんであんな戦えるのだ。

ただの漫画家がなぜあんなに銃を扱えるのだ。


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