74.死に隠された秘密と100年前の依頼と謎のジジイ
・・・no saving!
・・・I continue it without saving it!
「さて、ここで一戦やらかしてもいいが、どうせならもっと大舞台でのお祭りと行こうぜ」
「ふむ、それは儂等を見逃すということかの?」
その隠された正体を現したブルブレイヴは手にした秘宝の欠片を御手玉しながらニヤリと獰猛な笑みを浮かべる。
謎のジジイはすぐさまブルブレイヴの思惑を読み取りそれに乗っかるらしい。
まぁ確かにブルブレイヴが実はThe ChariotとThe Starの2つの神秘界の騎士と言うとんでも事実が判明した訳だが、その実力はまるっきり未知数だ。
おまけに三柱神の1柱でもあるわけだ。それも戦いを生業とする。
俺達は現時点でThe Devilと一戦を終えた直後なわけで、この未知数のブルブレイヴに挑むのは些か無謀ではないか。
ならばここはブルブレイヴの一計に乗っかり準備を整えてからの方がいいだろうと、謎のジジイは考えた訳だ。
「おうよ。やるならド派手に、全力で、悔いの残らない祭りにしてぇじゃんか。
舞台は日曜都市サンライトハート。キャストは日曜創造神、神秘界の騎士Judgement、俺の3人。参加者はお前ら。
そのまま互いにぶつかってもいいが、それだけじゃ詰まらねぇ。
舞台の日曜都市には俺らを倒すヒントやアイテム等のキーポイントが隠されている。それらを上手く見つけ出し俺らに挑むのもまた一興」
おおぅ、ここに来て新たな神秘界の騎士が判明したな。と言うか、残りの神秘界の騎士を考えれば自ずと判明するけど。
つーか、名前からして結構ヤバめな神秘界の騎士だな。
「ふん、お主の思惑に乗っかるのも癪じゃが、いいじゃろう。ここはお主の祭りとやらに参加させてもらおうか」
「よし、決まりだな。それじゃあ俺は日曜都市で待っているぜ」
そう言ってブルブレイヴは威風堂々とこの場から立ち去った。
明らかに敵と判明したにも拘らず、キャラクターの所為かその姿はどこか憎めないものがあった。
「どうやら色々と話し合わなければならないことが多そうね」
親父の言う通り、話し合わなければならない事は多い。
謎のジジイの事、そして謎のジジイが持つ情報――裏切りの神こと榊原源次郎の事、不老不死の秘宝の事、裏口魔法陣の事、等々。
それに加え、日曜創造神、ブルブレイヴ、Judgementの3人に、その対策。
俺達は取り敢えず落ち着いて話し合うために一度ルナムーン神殿へ戻ることにした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「・・・そうですか。弟は敵に回ったのですね。あの者は誰にも縛られることの無い自由奔放な者ですから仕方のない事かもしれません」
ブルブレイヴが日曜創造神側に付いた事をルナムーンに告げると、彼女は半ば諦めにも似た表情でそう答えた。
まぁ、確かにブルブレイヴは風来坊みたいな感じがあったからな。
俺達はルナムーン神殿に戻り、藤見月夜とThe Devilことケイジを倒したことをルナムーンに報告した。
そしてその後で共に行動していたブルブレイヴが実は日曜創造神の手先で、宣戦布告をしていったことも。
「ルナムーン様もブルブレイヴが2つの神秘界の騎士を持っているって知らなかったんですよね」
「はい。姉上が太陽を司る三柱神と言う事でThe Sunを、私が月を司ると言う事でThe Moonを、弟が戦いを司ると言う事でThe Chariotをそれぞれ授かりました。
まさかそれ以外にも神秘界の騎士を授かるとは・・・」
疑う訳じゃないが、親父は一応ルナムーンにブルブレイヴが2つの神秘界の騎士を授かっていたことを知っていたのではと聞くが、ルナムーンの答えは知らないと言う事だった。
嘘をついているようには見えないが、実はルナムーンも日曜創造神の手先の可能性も無きにしてあらずだからな。
そう考えれば日曜都市に神殿があるサンフレアは場合によっては日曜創造神側の陣営って事もあり得るか?
その辺りは慎重に対応しないとな。ブルブレイヴの二の舞になってしまうし。
それとルナムーンはブルブレイヴが2つの神秘界の騎士を授かった事に驚いているけどよくよく考えればあり得ないわけではないんだよな。
日本神話によればブルブレイヴは素戔嗚尊にあたる神であり、荒ぶる神とも言われている。その点から行くと神秘界の騎士としてThe Chariotは妥当だと言える。
けどその上の2人、太陽と月と言う観点から行くと星――The Starと言うのもありと言えばありなんだよなぁ。太陽と月と星。見事に天体系で纏まっているし。
多分八天創造神の誰か――おそらく日曜創造神だろうけど――がそう言った2つの点からブルブレイヴを2つの神秘界の騎士にしたんだろう。
だからこれは予想してしかるべきことだったのかもしれない。
与えられた情報で思考を止めてしまっていた俺達の落ち度でもある。
「26の使徒でも4つの使徒を兼務している使徒が居たから無いわけじゃないけど・・・
ラナの場合は戦闘系の使徒じゃなかったから簡単にクリア出来たけど、ブルブレイヴの場合はどうなるのかな? その、どう見ても戦闘系じゃない、彼は。
The ChariotとThe Starの両方の神秘界の騎士の強さって、結構ヤバいんじゃない?」
トリニティも情報を担当している盗賊としてその事を見逃していたのが悔しかったのか、今度はあらゆる可能性を模索して情報を集めようとしていた。
トリニティの言う通り天と地を支える世界の26の使徒であるラナ=クエノスはYとNとQとOの使徒を兼務していたが、戦闘系じゃなかったからな。
けどThe Chariotはどう見ても戦闘系だし、The Starもある観点から最強のカードとも言える。
おまけにブルブレイヴ自身が勇猛神というもろ戦いの神だ。
これらが合わさったブルブレイヴの強さは一体どれだけのものになるのやら。
「そう心配することも無いと思うけどな」
俺達が頭を悩ませているとヴァイさんがあっけらかんと答える。
「心配ないって・・・どう見てもラスボスクラスの強さじゃないか。これの何処が心配ないっていうんだよ」
「確かにブルブレイヴは強いだろうけど、こっちにも最強の手札があるんだぜ。それも2つもな」
俺の心配を余所に、ヴァイさんは親父と謎のジジイに視線を向ける。
あー、何となくヴァイさんが言いたいことが分かった。
多分だが七王神最強の巫女神フェンリルが居れば何とかなるだろうと、楽観的な答えとして。
そしてその巫女神と双璧を為すと言われている謎のジジイ。
この2人が居ればラスボスもなんのそのって訳か。
「それでなくとも美刃もいるし、お前だって唯姫だっているだろう。戦力的には申し分ないと思うぜ」
・・・トリニティは兎も角、そこでナチュラルにアッシュを除いているのはお約束なんだろうか?
「待って待って。敵はブルブレイヴだけじゃないのよ。日曜創造神も居ればそのお付の神秘界の騎士のJudgementも居るのよ。
向こうの戦力は決して低い訳じゃないんだから。あまり楽観視しすぎていると痛い目会うわよ」
「とは言ってもなぁ。ブルブレイヴは兎も角、日曜創造神やJudgementは情報が集まらないからなぁ。後は敵さんの本拠地の日曜都市に行って調べてからじゃなきゃどうしようもないだろう」
「それでも現時点で可能な限り情報を模索するのよ。これ以上痛い目見るのはまっぴらごめんだわ!」
どうやらトリニティはここの所情報不足のまま戦闘に突入したのが不満のようで、ヴァイさんに食って掛かりながらも情報を貪ろうとする。
ヴァイさんはそんなトリニティに付き合いきれないのか、日曜創造神側の情報収集をトリニティに丸投げしていた。
・・・あんた現実世界じゃ情報をやり取りする電脳警察じゃなかったのかよ。
少なくとも天と地を支える世界で神秘界の情報や秘宝の欠片の事を調べたんだから腕が悪いと言う訳じゃないんだが・・・
どうやら敵の情報に関してはトリニティに一任して、これから今議題のメインとも言える尋問に移るようだ。
親父、美刃さん、ヴァイさん、アッシュの4人は尋問の相手――謎のジジイに詰め寄る。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「さて、詳しい話を聞かせて貰いましょうか?」
「詳しい話も何も、お主らはほとんど知っておるじゃろうて・・・」
「まぁ、大体のところはわたし達で調べたけど、貴方の口から直接聞きたいのよ。謎のジジイ――いいえ、GG」
そう言えばこの爺さんが現れた時、親父達はGGって言ってたな。
おそらくそれがAngel In時代の謎のジジイの名前なんだろう。
「はぁ、儂にとっては今更と言う気もしないでもないが・・・まぁ良いじゃろう。
お主らも知ってる通り、儂は裏切りの神――榊原源次郎の命令で動いておる。
美刃には話しておるが、榊原源次郎は八天創造神――Access社の幹部の目的を知っておった。奴らの目的を阻止するために榊原源次郎は最高責任者の立場を上手く使いAngel In Onlineのシステムを利用したのじゃ」
「・・・あ、もしかしてGGが死ぬことになった理由って」
「察しがいいの。フェンリルの言う通りじゃ。儂の死には幾つかの理由が隠されておったのじゃ。儂の死1つで2つも3つも効果をもたらすようにの」
謎のジジイの死って・・・今目の前に居るのは死人って事か?
いや待てよ。俺らは謎のジジイを天地人だと思っていたが、実際は異世界人だったわけだ。
だけどAlive In World Onlineは現実世界では2年前からの開始で、天と地を支える世界で100年生きていた謎のジジイは異世界人ではありえない。だからこそ俺らは謎のジジイを天地人と勘違いしていたわけだが。
謎のジジイの中身は異世界人で間違いないが、この身体は天地人だと言う事か?
つまり、謎のジジイの現実世界の体は既に死んでいて、魂だけがAlive In World Onlineで生きているって事か・・・?
俺の考えを裏付けるかのように、謎のジジイがこうなった経緯を語る。
Angel In Onlineではボスとして26の王が存在した。ラヴィやケイジ、Death・不死者の王やDeath・死を撒く王なんかがそうだ。
その中で1人だけプレイヤーの中から選ばれる王が居た。それがBの王、『勇気ある王・Brave』。その選出方法は8つのユニーク職の1つ勇者を選んだ者が自動的に選ばれるという。
だがデスゲームとなったAngel In Onlineは26の王を倒さなければクリアできず、クリアするには26の王となった『勇気ある王』を倒さなければならないと言う何とも不条理な設定だったのだ。
そう、そのユニーク職・勇者を選び『勇気ある王』になったのが謎のジジイことGGだったのだと言う。
「その真実を知った時、儂は行動は目に余るものじゃった」
「・・・ん、あれは仕方ない」
「あー、確かに世間的に許せない事だったけど、生きて帰れないと分かればああなってしまうのも無理はないさ」
「あれは、自棄になるなと言う方が無理があるからな。自分が同じ境遇に立ってGGみたくならないと言い切れないし」
美刃さん、ヴァイさん、アッシュの3人は当時の事を思い出したのか、謎のジジイに同情的だった。
と言うか、いったい何をやらかしたんだ?
だが親父は同情と言うよりも、非難めいた表情を向けている。
「・・・わたしは謝らないわよ。あの時ああするのが最善だったし、あれはわたしのするべきことだったから」
「分かっておる。逆にお主には礼を言いたいくらいじゃ。あの時儂を止めてくれて助かったわ。寧ろ儂を殺したことでお主には無用な責を負わせ迷惑をかけた。すまんかったのぅ」
「謝らなくてもいいわよ。言ったでしょう。あれはわたしのするべきことだったって。
それよりもGGが死ぬことに理由があったってどういうことなの?」
「榊原源次郎が狙っていたのは一石二鳥・三鳥にもなる方法じゃ。
1つはアイの為、もう1つは儂をこの後の世界――Alive In World Onlineに送り込むため、最後の1つは秘宝の欠片を隠す為じゃ」
謎のジジイによると、榊原源次郎はAIであるアイさんを『人間』にする為に人の死を理解させようとしたらしい。
生物の死、AIプログラムであるアイさんは死を漠然としか理解できずにいた。そこで榊原源次郎はAngel In Onlineのデスゲームを利用して死を教え込もうとした。
その辺りは親父も真ボスとして君臨していた榊原源次郎から聞かされていたから間違いないらしい。
1つ目のアイさんの為と言うのは、デスゲームになったとは言え奇跡的に人が死なないでクリアできる可能性もあることから、最低でも1人が死ぬようにプレイヤーを『勇気ある王』へと設定したとの事。
まぁ、そんな奇跡は起きずに大勢のプレイヤーが死んでアイさんは死を理解しプログラムでありながら『人間』になったのだと言う。
2つ目の謎のジジイをAlive In World Onlineに送り込んだというのは、Access社の幹部――現Arcadia社の幹部から生贄にされた意趣返しで奴らの計画を邪魔する為だと言う。
その為に裏から妨害するように一度死んだ人間を隠れ蓑として起用する事を思いついたらしい。そして丁度いいことに死ぬことが約束されたプレイヤーが居たと。
『勇気ある王』として倒された直後、生贄にされることを知った榊原源次郎は魂魄理論に辿り着きそれを利用して謎のジジイの魂を拾い上げ先兵と仕立て上げたとの事。
「GGはそれで良かったのかよ? 少なくともその時はまだ戻ることが出来たんだろ?」
「あんなことをしておいて何事も無かったかのように戻るなんて厚顔無恥な事は出来ないよ。儂がこうして榊原源次郎の依頼を受けているのも罪滅ぼしの意味もあるのじゃ」
生きて帰れるのにそれを蹴ってまで電脳世界に残るって事は、かなり自分の行いに後悔しているって事か・・・
質問したヴァイさんはまだどこか納得していない顔をしていたが、本人がこうして決めて天と地を支える世界を生きて来たからこれ以上は何も言えないでいた。
3つ目の秘宝の欠片を隠す為、これはここまでくれば大体予想がつく。
親父達に隠された不老不死の秘宝。榊原源次郎がアイさんのデータから発見してしまった不老不死の秘宝を7つに分けて七王神の魂に隠した。と思っていたんだが、実際は7つではなくユニーク職の中に隠されていたのだ。
そう、つまり謎のジジイを含めた8人にだ。
謎のジジイがユニーク職の勇者になり、『勇気ある王』として倒されて世間の目――八天創造神の目から隠したのだ。
それにより八天創造神は秘宝の欠片は7つに分けられたと勘違いした訳だ。
「つまり秘宝の欠片を全て揃えるには儂の中の欠片も必要と言う事じゃ」
「なるほどね・・・確かにまさか死んだ者の中に隠されているとは思わないわね。おまけに死んだと思っていた人物が生きていて自分たちの懐の中に紛れているとは思いもしなかったでしょうね」
確かに親父の言う通りまさか自分たちの求めていた物が自分たちの懐にあるとは思いもしなかっただろう。
おまけにヴァイさんの策が良い隠れ蓑になり、謎のジジイの中の欠片は殆んどばれることは無かっただろな。
だが――
「日曜創造神にはバレたんじゃないかな? ほらブルブレイヴが報告すれば7つ揃っても不老不死の秘宝にはならなかったんだし」
トリニティの言う通り日曜創造神にはバレたっぽいんだよな。
ただ・・・ブルブレイヴの口調から積極的に集めているというより、全部集まらないように邪魔をしたって感じだ。
それは親父や謎のジジイも感じたらしく、秘宝の欠片については心配する事は無いだろうと言う。
「しかし、日曜創造神・日輪陽菜もまた不老不死を狙っている輩じゃ。秘宝の欠片以外で不老不死を探っているに違いない」
「火曜創造神みたいに人体実験をしているかもしれないって事・・・?」
そう言いながら唯姫はあの時の烈火城にあった実験室の様子を思い出したのか少し青ざめた顔をしていた。
「日曜都市が魔都と呼ばれることからあり得ない話じゃないの。その辺はお主らも警戒しておく必要がある。よいな?」
謎のジジイの言葉に俺達は神妙に頷く。
「まぁ少し話が逸れたが、当時儂が死んだのはそう言った理由からじゃ。出来るだけ接触しなかったのも欠片の事が漏れるの防ぐためと、お主らを巻き込みたくないと言う思惑もあったのじゃが・・・」
「まぁ、きっちりしっかり巻き込まれちゃってるわよね」
「・・・ん、もとより首を突っ込んだのはこっちから」
「だよなぁ。裏の事情を知ろうと探ってたんだ。巻き込まれて当然。と言うか望むところだったしな」
「・・・俺はまるっきり関係なかったから本当に巻き込まれただけ損をしているからな」
親父はしょうがないと言いつつもヴァイさんと一緒にArcadia社に探りを入れていたから問題は無いし、どうやら美刃さんも薄々察知してAIWOnにダイブしていた。
本当にただ巻き込まれて貧乏くじを引いたのはアッシュだけだったという事だな。
「これからはGG――いえ、謎のジジイも一緒にArcadia社の思惑を潰すために一緒に戦ってくれるんでしょ?」
「もとよりそのつもりじゃ。なんせ榊原源次郎の依頼でもあるからのぅ」
Arcadia社の思惑って言っても、残りは日輪陽菜ただ1人だからそう難しい事でもないだろう。親父達だけでなく、謎のジジイも加われば百人力だからな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ねぇ、そう言えばお姉ちゃんに頼んだ用件って何なの?」
「うむ。儂の代わりに七曜都市周辺に魔法陣を描いて回ってもらっておる」
「魔法陣?」
「フェンリル達を見て分かる通り、奴らは異世界から異世界人を強制的に呼び寄せる術を持っておる。
それを阻害する為の魔法陣じゃな。今回は七王神に用があったからこれだけで済んだが、その気になればもっと大勢の異世界人を呼び寄せることが可能じゃからな」
・・・あ、言われてみればそうだよ。親父達が強制的に呼べるんだったら他の異世界人も呼べるじゃんか。
七王神だけが特別だと思っていたが、その可能性だってあったんだ。
「今回の強制召喚はAngel In時の観測データを元にフェンリル達を呼び寄せたが、解析した魂魄データにより他の異世界人を呼ぶことも可能じゃろう。
尤も残る八天創造神は日輪陽菜だけじゃから無用に強制召喚する事も無いじゃろうがな」
いや、でも気が変わって実験とか労働力とか世界の支配とか言って強制召喚される可能性はゼロじゃない。
しかもよくよく考えれば神秘界からは現実世界に観賞可能で、電霊子として独立してしまった神秘界は現実世界から干渉は受け付けないと来ている。
・・・マジで神の所業じゃんか!
強制召喚を封じた謎のジジイ、グッジョブ!
「残りの封印魔法陣は1つをデュオに任せ、作業が終わり次第水曜都市で落ち合う予定じゃったが・・・お主らが既に月曜都市の攻略に赴いて居ったので儂もこっちに来たからのぅ。
まぁデュオの事じゃ。儂等の月曜都市の攻略を想定して日曜都市に向かっているかもしれん」
「そうだな。もしかしたら先について日曜創造神を倒しているかもしれないぞ?」
「・・・デュオならあり得そうで怖いわね」
謎のジジイの言う通り、デュオなら俺達が月曜都市の攻略を確信して日曜都市に向かっているだろうな。
が、流石に既に攻略は無いだろうよ。リュナウディアよ、それは言い過ぎだぞ?
そしてアイリスよ、お前はデュオをどんな目で見てんだよ。寧ろそっちの発想が怖いわ。
「ならわたし達も日曜都市に向かいましょう。ぐずぐずしてるとデュオに遅い!って文句言われそう」
「だね。お姉ちゃんに後れを取るわけにはいかないわ」
うーん、確かにデュオなら既に日曜都市に来ていて俺達を待ってそうだなぁ。
まぁ流石にそのまま日曜創造神に突撃ってことは無いだろうが。
俺は直ぐに日曜都市に向かうつもりだったが、秘宝の欠片を抜かれた影響が完全に抜けてないのと、日曜都市では最終決戦になるであろう事からこれまでの戦いの疲労を抜く意味で今日明日はルナムーン神殿に滞在し体調を万全にする事にした。
そして3日後の朝、俺達は準備をし、ルナムーン神殿を後にする。
「弟の事をよろしく頼みます」
立ち去り際にルナムーンはブルブレイヴを頼むと言ってきた。
ブルブレイヴを止めてくれと言っているのか、それとも日曜創造神の魔の手から救ってくれと言っているのか。
ルナムーンの真意は分からないが、どうあってもブルブレイヴと戦って勝つ以外に道は無いんだ。後の事は勝ってから決める。
日曜都市に向かう移動手段は金と銀の2頭の騎竜による移動なのでそれ程問題にもならなかった。
黄金騎竜のガジェットには謎のジジイ、ヴァイさん、アッシュ、リュナウディア、アイリスが。
白銀騎竜のスノウには俺、唯姫、トリニティ、親父、美刃さが。
因みにラヴィは今回は月曜都市で留守番だ。ちょっとケイジの事で色々と溜まっていたことが祟ったみたいだった。唯姫の治療も今はある程度いい傾向にあるみたいだからと。
半日ほど時間をかけて着いた日曜都市に俺達は侵入したのだが、そこで目の当たりにした光景に俺は混乱した。
あり得ない事が俺の目の前で起こったのだ。
全くの無警戒と言う訳ではなかったが、先ほどまで普通に会話をしていた唯姫が突然こんなことを言い始めたのだ。
「あの・・・貴方誰ですか? 気安く話しかけないでもらえます?」
次回更新は3/5になります。




