3歳
3歳になりました。
やはり前世の記憶があるということは有利ですね。
おしゃべりが得意です。滑舌は悪いですが・・・。
お隣さんへは1週間に一度通っています。
他の日はなんちゃら塾に通っているんだとか。
3歳前からいったい何を習っているんだろうと気になりますが、お金持ちはそれ専用の教育施設があるんでしょう。
最近亮くんがうざいので、あまり行きたくないのですが、3歳の子供に拒否権なんてものはありません。
今日も今日とて、連れられてやってきました、お隣の一条家。
「さらちゃん、いらっしゃい」
「りょーくん、こんにちは」
内心どう思っていようと、挨拶はきちんとしますよ。
「さらちゃん、お外で遊ぼう」
「うん」
ふつう男の子はしゃべり始めるのも遅いはずなんですが、亮くんはしっかりしゃべります。
きっと頭がいいのかな。
きりっとした眉に、通った鼻筋、涼やかな目元といった美形要素満点だし、服もブランド物だけあってセンスがいい。
運動神経もよさそうだし、これからチートな成長をしていくんでしょうね。
かわいいのぅ。
しかし、しかしですよ。
「ねえ、さらちゃん、大きくなったらけっこんしてね」
「やだ」
キラキラに目を輝かせた美少年が目の前にいたりします。
えぇ、しかし、私ってばノーと言える女性なのです。
明らかに庶民とお金持ちの結婚なんて苦労ばっかりです。
そして、前世の記憶の影響もあってか、わたしってばかなりのおじ様好みなんです。
同い年の男の子なんてぺっぺです。
「僕とけっこんしたら、おかねもちだよ?」
「へー」
そんな打算的なプロポーズ嫌すぎます。
「僕とけっこんしたら、まいにち、かなやの美味しいプリン食べれるよ」
「ぷりん・・・・」
いや、ダメだろう私。
「おだやのオレンジジュースも飲めるよ」
「う・・・」
「・・・・」
「う、うしろむきにけんとうさせていただきます」
だぁぁああああ、っと逃げました。
はぁはぁ、亮くん恐ろしい子。
食欲の前に、綺麗に理性が消されそうになりました。
 




