小学校3
さて、小学校ですが、なんと2クラスのうち、うちのクラスは幼稚園からの持ち上がりそのままでした。
もう一つのクラスには小学校から入ってきた人たちを詰め込んでいるようです。
なんでも、この学園のことや、今までのカリキュラムにズレがあるので、この一年で合わせるように教育していくとのこと。
たすかったーーー。
正直ほっとしています。
いきなり怖い子にいじめられたらどうしようと考えていただけに、今までの環境がとりあえずクラスだけだったとしても、保たれるのはありがたい話です。
茜ちゃんのお兄ちゃんに悪口を吹き込んだ人間がいることを考えても、ある程度の妬みは現在買っているようですので、そのあたりも考えながら学園生活を満喫しなくてはいけません。
とりあえず、作ったクッキーを一枚ずつクラスのお友達に配っています。
胃袋をつかんでしまおう作戦です。地道な努力が敵意を減らすに違いありません。
まぁ、純粋に喜んでもらいたい気持ちもありますが。
「沙良、もう一枚ほしいな」
甘えた声をだしてくるのは亮君です。
きらめく瞳に思わずうんと言ってしまいそうになりますが、心を鬼にして、拒否します。
「だめ。一人一枚なの」
特別扱いは嫉妬を生みやすいのです。やってることの意味が逆効果になってしまいます。
亮君は悲しそうな顔をして、そっかと呟きました。
「じゃあ、今日遊びにきてよ。その時にクッキーもってきて」
「うん、それならいいよ」
嬉しそうな顔になったのでほっとします。
「あ、いいな。僕も遊びにいっていい?」
ユリウス君も楽しそうな顔で聞いてくるのを亮君がちぇっと言いながらも受け入れています。ユリウス君は甘え上手ですよね。
最近は亮君の家でユリウス君も含めて遊ぶことが多いです。
私は亮君ママの真美さんとお茶して、2人が庭を駆け巡っていたりもしますが。
たまにご一緒する亮君パパから経済の話を聞くのがひそかな楽しみです。
 




