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3分では終わりそうにないクッキング

感想ありがとうございます。励みになります。

ということで、早速茜ちゃんへのクッキーを焼きなおすことにしました。


「茜ちゃん、楽しみにしててね」


「にい様と沙良ちゃんの手作りなんて楽しみだな」


可愛くはにかむ茜ちゃんのために最高のものをお届けしなくてはなりますまい。


「うし、茜ちゃんのお兄ちゃん、はじめるよ!」


「あぁ・・・」


「まず、小麦粉を計ってね」


一生懸命こぼれないように計っていきます。意外と君細かいのね。ちゃんとちょっとづつ入れて綺麗にメモリぴったりになりました。


「次は卵を割ってねー」


ぐしゃっと潰してまず一個無駄にします。


「こらああああ、捨てるんじゃない。もったいないでしょう!」


「いくらでもあるし、買えばいいだろう?」


「鶏小屋のお手伝いに変更したいわけ?」


ギラッと睨み付けるとへの字眉になっています。


「はい、もう一回。見本を見せるからね。こうやってトントンてやってパカッって割るんだからね」


今度は気をつけて割ったようです。卵殻の欠片がいっぱい入っていますが。


「欠片は全部すくってとってね」


苦心してとっています。中身が減った気もします。もう一個追加しなきゃね。


「はーい、後2個割ってね」


イヤーな顔をし、頑張る馬鹿兄貴に容赦なく指示を加えていきます。毎回殻の欠片だらけなので、割る時間より殻をすくう時間がよほど多いです。うん、わかるよ。なかなかすくえなくてイライラするよね。

卵割りだけですでにヘロヘロになっていますが気にしません。


「バターいれて、しっかり捏ねて捏ねて、もっと力入れてー」


やっとこさ生地ができました。ぼろ雑巾みたいになっている兄貴は気にしません。

意外と子供が作るのって大変なんですよね。私も昨日は何回もちょっと休憩しつつ、ママに手伝ってもらいつつ作りました。


「じゃ、形つくるからねー」


ちょっと顔を輝かせて、いろいろな形に変形させて遊んでいます。

そのうちに飛行機を作りました。


ガッ


思いっきり後頭部を叩きます。


「ってえ。何するんだよ!」


「この馬鹿兄貴が!茜ちゃんのクッキーって言ってるでしょ。あげる相手が喜ぶものを考えてつくりなさい!自分が喜ぶもの作ってんじゃないわよ」


しぶしぶに、飛行機をつぶして、ハートの形を作ります。む、馬鹿兄貴でもちゃんと茜ちゃんのこと分かってるんだな。


整形は楽しいけど、結構大変です。

意外とはまったらしい兄貴が逆に小言を言い始めました。


「おい、お前。そこ歪んでるぞ。リボンらしく可愛くさせろよ」


うっさいわ!と思いつつも茜ちゃんの喜ぶ顔見たさに必死でなおしていきます。


「ねえ、もういいんじゃない?」


「まて、ここのトッピングをこっちにしたほうが可愛い」


「ねえ、もういいんじゃない?」


「んー、もうちょっと」


もう、付き合いきれません。側の椅子にミルクを入れて飲ませていただきながら、ひたすら頑張る兄貴の後姿を観察いたします。


それからゆうに30分はすぎたあたりでやっと納得がいったようです。


「じゃあ、焼くよー」


「ま。まて。やっぱりこっちが・・・」


「はい、入れました。焼きにはいりまーす」


無理やり強制終了です。


「なあ、もう焼けたんじゃないか?」


「まだ5分でしょ」


「なぁ。ちょっとだけ見てみない?」


「だめ!」


ひたすら、うざくなった兄貴をとめながら、ちょっとだけ焦げたけど、おいしそうなクッキーが焼きあがりました。

焼きたてなので、ラッピングせずに、お皿に並べて持って行きます。


「茜ちゃん、おまたせ~」


「うん。もう、楽しみで待ちきれなかったよ」


なんて可愛い笑顔なんでしょう。君の笑顔のためなら苦労も報われますよ。


「茜、これ食べて。僕が作ったやつだよ」


顔を見せたお父様とお母様にも自慢そうにクッキーを差し出しています。


「僕が作ったんです」


お二人とも微笑ましそうに見ています。

私もいただきます。うん、いつも作っているクッキーより格段に見目はよくなっています。まぁ、あれだけこだわって作ったのだから当然かもしれませんが。

馬鹿兄貴、意外と繊細なんだな。


今日はクッキーを食べて解散になりそうです。週に一度、お邪魔させていただくことになりました。


「なぁ」


帰り際に呼び止められます。振り向くと茶色の瞳をすこしうるませて、口をキュッと引き締めた茜ちゃんのお兄ちゃんでした。


「クッキーごめんな」


今度の謝罪は受け入れることができそうです。


「いいよ、許してあげる」


「ほっかむりして一生懸命掃除してくるよ。本当にごめんな」


「うん」


その気持ちがうれしくてニッコリ笑います。決してほっかむりを想像したら可笑しくなったとかじゃあありません。


「ありがとう」


仲直りできて、ほっとしました。ほとんど接点はないでしょうが、これから、お邪魔させていただくときに、気まずいのは嫌ですからね。







ほっかむりhttp://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%82%80%E3%82%8A&hl=ja&client=firefox-a&hs=ZUr&rls=org.mozilla:ja:official&prmd=imvns&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=mioDUJbZH4zqmAXDptjqCQ&ved=0CEUQ_AUoAQ&biw=1024&bih=400参考まで

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