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♯1 転入ですか。③

やっとタグの意味が出てきました^^

教室に戻るとちょうど昼休み終了の鐘が鳴った。授業開始まではあと五分ある。


「あ、ナザが転校生と帰ってきた」

「え!?わお、どうしたのー!ユーはあんましそういう大胆なことしないと思ってたぞっ?」

「なんだ大胆って。ただ飯食ってて話しあったんだよ」

「ユー、飯食ってんのって屋上じゃーん?あそこって一応入っちゃいけないよねー?」


俺が気にせずに自分の席に着き、なんとなくナザ達を眺めていたら、目があった。

目の痛いオレンジ色の髪を肩まで伸ばしたいかにもチャラチャラした感じの彼は、色っぽさを含むたれ目を細める。

…いや、どうしたらいいのさ。これって、目、逸らしたら負け?列二個分離れてるから普通に話して届かないし。転校初日に大声張り上げる勇気なんざ存在しないし。入っちゃいけないとか知らないし。

 そうやってずっと目をそらさないでいたら、彼の隣にいてナザと話していたもう一人の少年までもが俺に視線を向けてきた。…あれ、ここ男子校だよね?なんであんな可愛い子いるの?薄紫の瞳と切りそろえられた同色の髪は、変に跳ねる事無く肩近くまで下りている。見るからに小柄な彼は女の子と言ってもいいような整った幼い顔をしていた。

 そして品定めをするかの様に俺から目を離さない。

 ヤバい、もうそらしたい。先生こないかな。

 冷汗だらだらで踏ん張っていると、がらりとドアを開ける音がして、止め方の分からない勝負から解放された。



 五限目の終わった放課後。先ほど下らない勝負をした(と思っているのは俺だけ)2人がナザと共に、帰り支度をしていた俺の元にやって来た。


「はじめまして。タツミくん。僕はアセラ・ノートランっていいます。アセラでいいから」


 そう言って笑いかけてくれたのは、やっぱり小柄だった薄紫の髪の子。…まつ毛長い。ほんとに男か?


「みーはレント・アラヴムってんだー。よろしくねー。タツミん」


 俺って観察能力高いのかな?チャラ男でした。

 レントはなぜかアセラの肩を抱いて、俺と同じくらいだろう身長を縮めている。


「・・・よろしく」

「おら―構えちまったじゃねぇか。絶対レントのせいだな」


 2人の隣で聞いていたナザが髪をくしゃくしゃとかきながら言う。


「えーひどーい。ミーいつもどーりじゃーん」

「ちゃらい」

「えーアセらんまでー!みーさすがにアセらんの言葉は刺さるよ―?」

「よし、もっと言え。アセラ」

「ナザっちがいじめる―!」

「ちょっとなんで抱きつくの。一応僕もナザ側なんだけど」

「わ―ん!俺の見方はタツみんだけだぁー」

「え・・・」


 完全に立ち入れない世界に、傍観を決め込んでいると、いきなり振られて無意識に声が漏れた。俺別に味方になった覚えないんだけど。ってか参加してないです。

 完全に困ってしまっている俺をよそに、まだギャーギャー騒ぎ始めて、さっきの流れからか、見方―!と言ってレントが抱きついてきた。・・・もうなるようになれ。


「おかぁさーん。怖いおにーちゃんがいじめる―!!」

「・・・そんな子に育てた覚えはありません」


 適した対処法が思い浮かばなかったので、よくあるセリフを言ってみる。このセリフはこっちの世界でも通用するんだろうか。ってか話つながってないよね。


「みーも育てられた覚えありませ―ん」

 フツーに返された。


「・・・そろそろ離れたら?」

「なんでー?」

「なんでって・・・」


 …アセラの背後に阿修羅が見えるのは俺だけだろうか。どうしたんだ。何がそんなに気に食わない。そしてレントは素直に離れろ。


「僕を怒らせたいの?僕以外に抱きつくなって言ってるじゃん」


 背筋の冷えるような音をその小さな唇から紡いだアセラはちょっとだけ頬を赤く染めて、すぐに言ったことを後悔するようにうつむいてしまった。

 なんか、可愛いなこの子。小動物的なかわいさだ。和む。


「・・・へへっ、アセラ、可愛い」

「なっ」


 ヘラリと笑って俺が考えてたのと同じようなことを口走ったレントは、俺からするりと離れてアセラの目の前で屈んだ。

 ちょっと気になってたんだけど、この二人ってもしかして…。


「悪かった。アセラ焼くかなーって思ってさ」

「…嵌めたの?」

「やっぱり可愛かった―。まぁ、一番の理由は俺とのラブラブっぷり見せつけて、転校生君が変な気起こさないようにすることだったんだけど…どう?おっけー?」


 おっけーって・・・まぁ、どんな変な気か知らないが、俺の思う通りなら大丈夫だ。


「おっけー」


 とりあえずこう返事しておく。無難だろ?

 やっぱりこの世界って同性愛出来ちゃうんだよね。しばらくそう言ったこと関係無かったから、意識が薄れてた。俺があんまし抵抗感ないのは、残念な知識と両親のせいだと思う。こんなところまで小さな親切(?)残していくとは。


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