プロローグ⑥―終―
お久しぶりです(^^;
やっと一話に入れます。
あのあと少し学校について聞きながら好青年――センサス・イ―ズクスさんと、これから二人で住むことになる場所へと移動した。
彼によると、俺の通う学校は基本的な制度は変わらないが、細かなところは違いが多い。まずは一週間(七日)の内六日間学校だということ。曜日感覚は同じだが休みは日曜だけらしい。その代わりか、45分授業で毎日五校時。これは嬉しい。こうなると部活の無いものは(部活という概念も同じ)2時15分には帰れる。部活も最高で5時までで、元の世界と比べると2時間近く早く帰れる。…まぁ俺は部活してなかったけど。それでも早く帰れることは好ましい。どうやらこの世界では日が短いらしい。午前6時に昇った日登った日は、午後4時には完全に沈んでしまう。
科目は元の世界にもあった国語、数学、理科(生物と物理)、社会、体育の他に魔法実技、魔法工学があり、外国語と魔法倫理の選択、家庭科と保健の選択がある。
うぅ…気がめいる。内容が同じだったらいいのに。魔法なんて分かんないぞ。
どうやら彼はその学校の卒業生らしく、いろいろ話を聞いているうちに目的地へと到着した。なるべく一般的で、なおかつ不自由しない場所と言うことで、これから通う学校近くの高層集合住宅の一室を与えられた。内装はいたって普通で、備えられている家具も元の世界となんら変わらない。違うところと言えば、電気やガスなのが無く、全て魔法でまかなわれているということだろうか。なんでも、電化製品ならぬ魔動装置と言うらしく、中はメカニカルな部品が埋め尽くされているのではなく、複雑な魔法陣と式とが張り巡らされているのだそうだ。メカニカルな部分が全くないわけではないが。
さっき聞いた学校の説明の捕捉で、なんとセプテリア王国唯一の男子校らしい。まぁ、この世界はその辺の区分をしてもあんまり意味は無いらしいが。元の世界で言うホモの割合は半端なく多いことが予想されるな。男も女の関係無いんだろうけど。なぜかヴァラン陛下から気をつけろと言われたけど、俺社交性ないし、大人しくしてればこんな奴目立たないよね。
あと彼は、学力も平均的で、特に特質したところもない学校だと言っていた。学力方面は一から学ばなくてはならないことを考えると落ちこぼれそうだけど。仕方ないと思う。うん。め入ってても仕方がない!
「辰巳様?」
「へ?あ、はい!」
振りかえっていたら考え込んでいたようだ。
そしてセンサスさん?なぜそんなに近くにいるんだい。びっくりして仰け反っちゃったじゃないか。
「他に必要なものなどありませんか?」
「大丈夫です。こんなに服も与えてもらっちゃって…十分すぎるくらいです。ありがとうございます」
「いえいえ。お客様ですから。敬語も使わなくていいんですよ?」
「いや、それは無理ですよ!年上の、しかも一国の騎士様に!」
そう。なぜ彼が俺を助けてくれて、しかも世話まで焼いてくれているのか。気になった俺は尋ねた。直球にね。
その答えが、一国の騎士様だということ。この国では“騎士”と呼ばれるのはほんの一握りの剣士で、その中でも『王宮騎士』 というのは、陛下の側近の様なもので身の回りの世話も焼くらしい。それで世話にも慣れていて、尚且つ強いセンサスさんが俺の世話係に抜擢されたらしい。因みに名前は有名だけど顔は見せていないので、偽名を使えばばれないそうだ。
「それは困りましたね…。これから俺たちは一応“兄弟”って言うことになってますから」
一番シンプルだからね。そうなった。でも、なら余計にセンサスさんが俺に敬語って…。
「兄が弟に敬語使うのもおかしいと思います」
「そとでは使わないようにしますよ」
「…だったら、お互いに敬語なしにしませんか?おあいこでしょう?」
「ですが・・・」
「違和感があってかないません。俺も敬語使わない方がいいんでしょう?」
俺はセンサスさんが言い終わる前に言った。
こういうとき俺って譲らないんだよね。
「・・・わかりました」
「・・・」
「わかった。辰巳」
俺はにっこり笑った。優しいな、センサス。
「ありがと。俺は偽名の方で呼んだ方がいいの?」
「そうだな。その方がいい」
「了解。…えっと、どうするの?」
「セカンドネームは辰巳のを使おう。うーん、そうだな・・・イ―ズでいいよ。俺のセカンドネーム」
「イ―ズ・瀬川になるの?…ははっ、芸人見たい」
「げいにん?」
堪え切れずに大声で笑い出した俺に慌てたようにつっこんできたイ―ズは、なんだか気取ってない気がして、嬉しくなった。これから長い付き合いになるんだから、素でいこうな。