♯4 新歓ですか。④
どうも^^;
放置して一カ月過ぎてしまいました。
というところで何とか次話投下。
またまた忙しいので不定期は継続すると思われます(汗
お気に入り登録などしてくださっている方
ホント申し訳ないです((土下座
気長にまってもらえると嬉しいです。
「で、食わないつもりか?」
「一食くらい大丈夫、だと思う」
ぐぅぅぅ
なんて自己主張の激しい腹だ!!
俺は空き切った腹を押さえながら、机に凭れかかる様にしなだれた。頬を机に付けて窓外の高い空を見上げる。既に日は頂点を過ぎている。
「なんかあげようか?」
そう優しく声をかけてくれるアセラに甘えてウィンナーを一つもらった。でもそんなんじゃ足りないわけで。アセラには悪いけど。いや、ちゃんとお礼言ったから。
「ってか何か買ってくればよかったんじゃないの?食堂……は嫌か」
「もうあそこは行きたくない」
あんなとこまっぴらごめんだ。目立ちたくないから。悪目立ちこの上ない。
「じゃぁパン屋」
「……え?」
俺は伏せていた顔を上げて、言葉を発したナザの方をがん見した。
「パン屋さんあるの?」
「あるある。お前みたいな奴のためにな。まぁ、最近じゃぁ違う趣旨が目立ち始めたが」
「え、早く教えてよ。校売あるんじゃん!まだ残ってるかな」
「こうばい?」
「どこ!?」
俺は場所を聞くと、騒ぎたてる腹を優先して財布を手に立ち上がった。いろいろと無視してしまったが、今は腹を優先させてほしい。気持ち悪くなってきた。食は細いけど減るもんは減るんだ。
飛びだした教室で
「……」
微妙な顔をして俺を送り出したナザの顔など、俺は見ていなかった。
教えられた通りに行くと、確かに、階段わきにひっそりと看板を下げていた。ガラスの嵌めこまれたドアからは中が良く見え、特に混んでいる様子がないことが伺われる。俺はしめしめとそのドアを開けた。
「誰もいない……?」
店員らしき人のいない小じんまりした店の中、俺はただテーブルに並べられたさまざまな種類のパンに目を走らせた。なんでもいいから早く食べたい。
俺は見たことのない赤い実が乗ったロールパンを一つ手に取り、辺りをもう一度見回した。
ふと、斜め後方に、戸棚に隠れるように扉があった。ジュースの入っていたその棚から炭酸系のものを取り、木製のその扉をノックする。しかし、いっこうに返事はない。返事と言うか、出てこない。俺は此処にかけてあったパネルの通りに、ノックしただけなのに。
もう一度。少し強めにノック。
すると今度は中で物音がした。
出てくる気配を感じ、一歩分ほど距離を取る。
「あー、すみません。お待たせしましたか……あ゛?」
「あ」
くねる空色の髪をかき上げながら、サナさんは俺をその鋭い瞳で認め、顔を歪めた。
寝起きだろうか?いつにもまして不機嫌なご様子だ。
「あの、サナさん?」
呆気といったふうに佇む俺に、サナさんは質問には答えず俺の持っていたパンをかっぱらってレジに行ってしまった。ほんとになんでこんなとこいるんですか。ってか、店員さんいないの?
手動らしいレジを慣れた手つきで操作し、俺の持っていたジュースも奪って袋に入れ、その袋を押しつけられた。目を白黒させて、それを受け取る。
え、なに?もしかして?
「俺らが店員。覚えとけ」
やっぱりか。
「えっと、サナさんとイズミさんですか?」
「そ、今日の当番は俺。ちゃんと金払えよ」
言われて俺はいそいそと財布から金額を出して払う。
それにしても、
「なんでサナさん達が校売を?生徒会の仕事ですか?」
「こうばい?」
「あ、えっと、こういう校内のお店のことをそう言ったんです。前の学校では」
俺、誤魔化すの慣れてきたな。動揺が減った。
「あぁ、俺らん家パン屋だから」
あー、なるほど……?いや、不十分ですよね?
サナさんはそれ以上は話す気がないらしく、俺の背を押して部屋から追い出した。
その際に、「うちのパン、病みつきになるからな!学校ある日はしてっから」とぶっきらぼうに言う当たり、この人はいい人だと思う。見た目ちょっと怖いけどね。一寸じゃないけどね!
抱えた紙袋の中に、ちゃっかりストローとお手拭きが入っているのを見て、自然と頬がほころんだ。
誤字脱字等ありましたらお知らせください。