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♯3 魔法修行ですか。⑥

お久しぶりです。

復活しました。またよろしくお願いします。

久しぶりに書いて私もどうしてこうなった!?と思ってますが、大目に見てくださるとありがたいです。


ついでに短編だしました。そちらもよければ。



 さて、どうしたもんかな。


「お前か。入学早々内のもんを風紀に差しだしてくれちゃった奴ぁ。おとしまえつけてくれんだろぉなぁ?」


 不気味な笑顔を作りながら俺の前に立ちはだかる強面の男たち。ざっと6人ってとこだろうか。こんなチンピラじみた文句を吐いて、手にしているパイプやらを構える。

 俺は深い溜息を吐きだした。

 どこにでもって言うか、実際俺のいた田舎じゃぁ見なかったが、異世界にまでこういう低能な奴らは 存在するんだな。いらない共通点に頭が痛くなる。

 こいつらは事の顛末を聞いていないのだろうか。例えば、俺が風紀に入ったこととか。


「風紀の見回りは期待できねぇぜ。この辺は三年が担当だからな」


 聞いていないようだ。三年が最近顔を出していないことはしっかり知っているのに。運の無い奴らだ。

 俺は今度はこいつらへの同情と呆れを込めて、息を吐いた。

 別に相手するのに問題は無いよな。俺風紀だし。こいつらから吹っかけてきたんだし。

 にじり寄って来る彼らを一瞥して背後を窺う。案の定3人増えていた。

 不良グループかなんかか?どちらにせよこの数ならなんとかなるか……ちょっときついかな?どちらにせよコナカには悪いけど今日はいけないかもな。


「ほらほら、土下座して抱いて下さいってんなら許してやってもいいぞ?ん?」

「……はぁ?」


 ふざけんな。

 俺は怒りにまかせてふざけた戯言を吐いた男へ仕掛ける。

 一瞬引いた男の胸元を掴んで引き寄せ、


「ナメんな」


 空いた左手で思い切り殴りつける。男が倒れたのを皮切りに、見ていただけの男たちが各々武器を取り、目に怯えと憤怒を映しながら俺に向かってきた。

 逃げればいいものを。

 向かってくる奴らを適当にあしらい、何度も向かってくる奴をのす。

 8人も相手取るとさすがに立ち回りが難しい。僅かなすきを作るとそのたびにこいつらは攻撃を仕掛けてくる。寸前で何とか避けてはいるが、うざったいことこの上ない。


「たく。もう諦めたらどうだ」

「ふざけんな!」


 せっかく出してやった助け船も男達は唾と共に吐き捨てる。ただでさえの強面を一層怖くして、ゾンビのごとく俺に向かってきた。

 と、叫んだ男が俺の目の前で突然立ち止った。

 他の奴らはさっきまでも嵐が嘘のようにそいつの後ろへと下がっていく。

 どうしたってんだ?俺はそいつへと目を向けて、はっとした。

 男の手の上には何やらねじれた空間。

 魔法だ。理解すると同時に空間がこちらに飛来した。


 ぱん


 俺のいた地点で空間ははじけ飛び、周囲に乾いた音を残す。

 咄嗟に倒れこまなかったら直撃していたことを考えると、恐ろしくなる威力だった。


「……校内で魔法は使っちゃいけません」

「知るか。おら、おめぇらもやれ!」

「ちっ」


 俺だって魔法は使えるけど風紀が自ら破っちゃだめでしょ。

 バンバン飛んでくる空間や炎弾を駆けて避けながら、どうしたものかと本気で考えた。手近にいる者を気晴らしに一発殴る。かわしながら蹴りを入れるのは難しい。地面をけって回し蹴りを入れながらそんなことを考えた。

 それが隙になってしまった。


「がっ!?」


 パンと乾いた音がして俺は吹き飛ばされた。背からの爆風に思いきり壁に腹を打ち付け、そのまま崩れ落ちる。

 苦しさにむせて腹を抑えた。

 き、効いた。骨折れたかも。

 俺は壁伝いに立ち上がり、男達と対峙する。俺のざまを見てにやにやと不敵に笑っていた。

 残りは4人。はっきり言って今のこの攻撃で、こいつらを完全にのすことは格段に難しくなった。あぁ不甲斐ない。こんな奴らも満足に倒せないとは、鈍っただろうか。

 ボロボロな状態で俺に近寄って来る男達を目に、俺は歯がみした。

 ……逃げるか。

 思い立ったら即実行。俺は男達の脇をすり抜け、元来た方へと飛び出す。


「おっと。逃がさねぇぞ」


 が、それは眼前を塞ぐ男によって阻止された。そこからまた囲まれ、逃げ場を失う。

 俺は舌打ちして構えた。仕方ない。めっちゃ痛いけど、これ以上傷増やしたくない。

 振り上げられた鉄パイプをよけ、一人の懐から鳩尾へ叩きこむ。よろけたところに回し蹴りも入れて一匹倒した。そのすぐに別の奴へと拳を向ける。


「っ……!」


 体中が悲鳴を上げていた。じんじん痛んで次第に視界を侵食する。

 これはホントにヤバいかもしれない。

 眩む視界に本気で思った。

 負けたらどうなるんだろう。……どうなるんだっけ?

 と、足がもつれて膝をついた。


「くそっ……!」


 残っていた強面の奴が俺の頭をわし掴む。

 あぁ、負けたのなんて久しぶりだ。中一以来かもしれない。みっともない限りだ。……悔しい。

 目頭が熱くなってじんわりと滲んだ。

 あれ、おかしいな。こんなことで、こんなこと?

 違う。俺は結局強く居たかったんだ。負けたくなかったんだ。力に驕っていたんだ。

 ずきりと体の芯が痛んだ。

 なんでこういうときに自己分析なんか。思って自然と笑みが浮かんだ。これは気絶するフラグかな、なんて冷静に考えて、俺って弱いんだってこれまた冷静に理解する。


「君達、何してるの」


 意識の残像に、誰かの声を聞いた気がした。


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