表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/63

♯3 魔法修行ですか。⑤

短いです。


都合で書く時間がとれないので次回の更新を3月10日以降にさせていただきます。

 それから三日ほどたったある日。しっかり参加するようになった実技の授業の帰り道で、コナカと顔を合わせた。気まずい別れ方をして以来だったので、俺から声をかけるのは何となく憚られて(勇気が無いとかいうなよ)向こうが反応しないようならスル―してしまおうかと思っていたのだが、意外なことに彼はこちらに気づくと連れと分かれて、笑顔で駆け寄って来た。

 ……アセラも居たということもあるかもしれない。生徒会だし。

 フード付きのパーカーというのが相応しいトップスに、赤いラインの入ったぶかぶかの半ズボンをはいているコナカは寒くないのかと問いたくなる格好だが、もうそろそろ秋っぽい今の気候から比較的夏に近い気候に入るので、合わないとも言い難い。こんな可愛らしい如何にも男の娘な格好を、高校に入ってまで着こなせてしまうのだから怖いものだ。それが似合っているのだからもう言うこともない。ぴょんぴょんかけてくる様は白ウサギのようだった。

 ……一応言っとくけど、俺が男の娘という単語を知っていたのはいつもの親影響だ。


「先輩今日来るっすか!?」


 近寄ってきての第一声がこれだ。

 一瞬誰に何の事を言っているのか分からなかった俺に責任は無いと思う。


「えっと、今日はあっち方面は担当に入ってないから……来てほしいの?」


 先日のこともあってわずかに硬くなってしまう口調に内心で歯痒くなる。自然と出る言葉は相手を気遣うことが優先になっていた。


「そりゃ先輩強いっすからね。手合わせしたいと思うもん」

「じゃぁ、行くよ。見回り終わってからだからすぐにとはいかないけど、いい?」

「よしっ!待ってるからね!」


 そう言い残して、コナカは来た時同様走り去って行った。

 元気だな、良い事だ。なんて思う俺は保護者かなんかか。


「いつの間に橘君手なずけたの。彼結構やんちゃだから……」

「お前って目ぇ離すと怖いな」

「あれ?ナザっち。その言葉のニュアンス追求してい~?」

「……やめろ」


 やっぱり来たか。さっきから痛いくらい視線は感じてたんだよね。後ろの御三方から。

 発展して脱線しているような気のする話題に、真面目に質問に答えるべきか渋っていると、


「で、どうやった?」


 とアセラからの再詰問。

 なんでそんな口調がきついんですか。別に俺なんもしてないよ?


「……見回り言ったら小屋あったから、入ったらそこにいて手合わせして……今に至る」

「あーあそこ入ったんだ」


 歩を進めながら、呆れたようにそう云い放った。


「タツミんならやりそー。なんてゆーか、無知が故?」

「あそこもなんか入っちゃいけない感じだったのか」

「だって柔道部室だし。普通部室に勝手に入る?」

「……入んないな」

「だろうが。あいつと手合わせしたのか……にしてはお前怪我とかしてねぇな」

「あんまり食らわなかったからな。くらっても急所は外したし」


 一緒に並んでいた気配が消えて、俺は後ろを振り返った。


「……どうした?」


 三歩ほど後方に、固まっている三人を見て首をかしげる。俺はまたなんかまずいこと言っただろうか。だとしたらもう俺話さない方がいいんじゃないか?失言が多すぎるだろ。


「橘家跡取りだよ?」

「あいつって大会で何度も優勝してなかったっけ?」


 あぁ、そういうことか。

 君らは俺がコナカとまともにやりあったことを取って驚いているのか。


「別に本格的にやったわけじゃないし」

「タツミの動きって型が柔道っぽいから、多分向こうは真剣にやってたんじゃないかな?そういう子だし」


 追い打ちをかける様に言うのはアセラである。


「いや、適当に相手したわけでもないんだけど。気を抜くと危なかったし」

「普通なら気を抜かなくとも危ないレベルだと思うんだけど」

「えっと……」


 言葉から逃げられなくなった時、


「うわ」


 俺の目の前に一枚の紙切れが飛んできた。

 一応初めてではないのだが、まだ慣れない。

 魔法の一つらしいが詳しい仕組みは分からない。とりあえず特定した相手の元に物を飛ばせるという便利なものだ。

 眼前に浮いている小さな正方形の紙切れを掴んで開いた。


『明日の放課後風紀委員室に集合』


「簡潔だなぁ。あの委員長なら分かるけど」


 覗き見ていたナザが文面から顔を上げた。

 確かにこれだけじゃ何のために集まるのか分からない。でも。


「いつもこんなんだから」

「あ、そっか」


 俺が苦笑すると、三人はどこか納得したようだった。

 ダンテさんって、そういうイメージなんだね。こう、ざっくりした感じ。分かるけどね。

 俺は紙切れをぽっけにつっこんで、チャイムぎりぎりの教室へ三人と共に急いだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ