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裏社会の魔王の血を引く俺、異世界転移して十人の妃と世界を無双する  作者: 十一 五


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第2巻 ―炎と氷の盟約―

裏社会の魔王の血を引く俺、異世界転移して十人の妃と世界を無双する

第2巻 ―炎と氷の盟約―

プロローグ 賢者の遺言

《停滞の城》での戦いから三日後。

僕たちが《ヴァルハラ》に戻ると、一通の手紙が届いていた。

差出人は――《賢者》グランドマスター。

『若き王、エリオット・ヴェンデルへ。

私は、アスタロトとの戦いで命を落とした。だが、悔いはない。

貴様らの『意志』を見て、私は確信した。この世界を変えるのは、貴様らだと。

だが、七大魔王を倒すには、貴様ら一国では力不足だ。

仲間を集めろ。志を同じくする者たちを。

そして、『七つの聖遺物』を探せ。それは、かつて神々が魔王に対抗するために作った武器だ。

一つ目は、《炎の国》フェニキアにある《不死鳥の剣》。 二つ目は、《氷の国》フロストヘイムにある《氷結の盾》。

まずは、この二つを手に入れろ。

道は険しい。だが、貴様らなら成し遂げられる。

私は、天界から見守っている。

《賢者》グランドマスター』

僕は手紙を握りしめた。

「賢者グランドマスター……ありがとうございます……」

初対面ながら人としての正義なる者の正道を行き、命を落としてしまったグランドマスターの手紙に僕は殊勝に頭が下がった。

「エリオット、どうするの?」

リリアーナが聞いた。

「決まってる」

僕は顔を上げた。

「行くんだ。《炎の国》と《氷の国》に。そして、聖遺物を手に入れる」


第一章 炎の国へ

《炎の国》フェニキア。

それは、大陸の南部に位置する灼熱の国だ。活火山が複数あり、常に溶岩が流れ、空は赤く染まっている。

「暑い……暑すぎる……」

ミレーユが汗を拭いながら呟いた。

「我慢しろ。ここが《炎の国》だ」

ガルヴァンが言った。

僕たちは、《ヴァルハラ》から精鋭十名を連れて、フェニキアへと向かっていた。

リリアーナ、ガルヴァン、イザベラ、セレスティア、ミレーユ、ジェイク、グリムドール、アリエル、そして二人の新人兵士。

「エリオット陛下、あれが《炎の都》フレイムハートです」

イザベラが指差した先には、溶岩の川に囲まれた巨大な都市が見えた。

建物は全て赤い石で作られ、炎のような装飾が施されている。

「すごい……」

「ここを統治するのは、《炎の女王》イグニス。魔王の支配を拒み、独自の国を作った女傑だ」

イザベラが説明した。

「彼女と同盟を結べれば、大きな戦力になる」

「よし、行こう」

僕たちは《炎の都》へと入った。


街の中は、活気に満ちていた。

鍛冶屋の音、商人の声、子供たちの笑い声。

「ここも、魔王の支配を受けていないのか」

「ええ。《炎の女王》イグニスは、十年前に魔王代行を倒し、独立を果たしたそうよ」

リリアーナが言った。

「つまり、僕たちの先輩だ」

「会ってみたいな」

僕がそう言った瞬間――

「あんたたちが、《ヴァルハラ》か」

声がした。

振り向くと、そこには――

炎のような赤い髪、金色の瞳、褐色の肌。戦士の鎧を纏った女性が立っていた。

「私が、《炎の女王》イグニスだ」


第二章 女王の試練

「あんたが、エリオット・ヴェンデルか」

イグニスは僕を値踏みするように見た。

「若いな。本当に、魔王代行を倒したのか?」

「倒しました」

僕は真っ直ぐに答えた。

「でも、魔王本体には敗れました」

「正直だな」

イグニスは笑った。

「気に入った。ついて来い」

僕たちは、イグニスに連れられて、王宮に向かった。


王宮の謁見の間は、巨大な炎が燃え盛っていた。

「この炎は、永遠に消えない《聖なる炎》だ。我が国の象徴だ」

イグニスが誇らしげに言った。

「さて、本題だ。あんたたちは、何をしにここへ来た?」

「同盟を結びたい」

僕は単刀直入に言った。

「魔王に対抗するために、力を合わせたい」

「ふむ」

イグニスは腕を組んだ。

「悪くない提案だ。だが、一つ条件がある」

「条件?」

「私と、戦え」

イグニスは剣を抜いた。

「あんたの実力を見せてもらう。話はそれからだ」


第三章 炎との戦い

闘技場に、僕とイグニスが立った。

「ルールは簡単。どちらかが降参するか、戦闘不能になるまで」

イグニスが笑った。

「殺しはしないから、安心しろ」

「こっちのセリフだ」

僕は剣を抜いた。

「行くぞ」

「来い!」

イグニスが突進してくる。

速い!

僕は咄嗟に剣で受け止めた。

「がっ――」

力が、凄まじい。腕が痺れる。

「どうした! それだけか!」

イグニスが連続攻撃を仕掛けてくる。

僕は防戦一方だった。

「くそっ――」

「《炎の剣技・紅蓮斬》!」

イグニスの剣が、炎を纏った。

「やばい――」

剣が振り下ろされる。

僕は横に飛んで避けた。

地面が、炎に包まれる。

「避けるだけか! つまらんな!」

「ぐっ――」

イグニスは強い。圧倒的に。

でも――

「負けるわけにはいかない」

僕の中の「血」が、目覚め始める。

「そうだ、それでいい!」

イグニスが笑った。

「その目だ! 獣の目だ!」

「来い、エリオット! 本気を見せろ!」

「ああ――」

僕は笑った。

「行くぞ、イグニス!」

僕は踏み込んだ。

剣を振るう。速度が上がる。

「ほう!」

イグニスが受け止める。

火花が散る。

「《血の連撃》!」

僕は連続で剣を振るった。

イグニスが後退する。

「良いぞ! もっとだ!」

「《血の断罪》!」

僕の最大技。

剣が、イグニスの鎧を――

「甘い!」

イグニスが剣を弾いた。

そして――

「《炎帝の咆哮》!」

イグニスの全身が、炎に包まれた。

「なっ――」

炎の拳が、僕の腹に叩き込まれる。

「がはっ――」

僕は吹き飛ばされた。

地面に叩きつけられる。

「……っ」

体が、動かない。

「どうだ。まだやるか?」

イグニスが近づいてくる。

僕は――

「まだ、だ……」

僕は立ち上がった。

「まだ、終わってない……」

「ほう」

イグニスが笑った。

「気に入った。もういい」

「え?」

「あんたの『意志』は本物だ。それが分かれば十分だ」

イグニスは剣を鞘に収めた。

「同盟を結ぼう、エリオット・ヴェンデル」


第四章 不死鳥の剣

その夜、祝宴が開かれた。

「《ヴァルハラ自由国》と《炎の国》フェニキアの同盟を祝して!」

イグニスが杯を掲げた。

「乾杯!」

みんなが歓声を上げた。

僕はイグニスの隣に座っていた。

「あんた、強いな」

イグニスが言った。

「でも、まだ足りない」

「分かってる」

僕は答えた。

「だから、《不死鳥の剣》を探してる」

「なに?」

イグニスが目を見開いた。

「《不死鳥の剣》を知ってるのか?」

「賢者グランドマスターから聞いた」

「そうか……あの老いぼれ、ついに逝ったか……」

イグニスは寂しげに呟いた。

「あいつには、世話になった」

「《不死鳥の剣》は、どこにあるんだ?」

「ここにある」

イグニスが立ち上がった。

「ついて来い」


イグニスに連れられて、僕たちは王宮の地下へ降りた。

そこには、巨大な扉があった。

「ここが、《聖遺物の間》だ」

イグニスが扉を開けた。

中には――

炎に包まれた剣が、祭壇に安置されていた。

「《不死鳥の剣》……」

「これは、かつて神々が作った武器だ。持ち主に不死の力を与える」

イグニスが説明した。

「だが、誰でも使えるわけじゃない。『資格』がある者だけだ」

「資格?」

「試してみるか?」

イグニスが笑った。

「もし使えたら、あんたにやる」

僕は剣に近づいた。

手を伸ばす。

剣が――

「熱っ――」

炎が僕の手を焼く。

「ぐっ――」

「無理するな。資格がない者が触れれば、焼け死ぬぞ」

イグニスが言った。

「でも――」

僕は諦めなかった。

「この剣が、必要なんだ」

僕は再び手を伸ばした。

炎が、僕を拒む。

「がああああ!」

僕の中の「血」が、沸騰する。

「檻は、壊す! 鎖は、断つ!」

その瞬間――

炎が、収まった。

「なに?」

イグニスが驚愕した。

僕は剣を掴んだ。

剣が、僕の手に馴染む。

「これが……《不死鳥の剣》……」

剣から、力が溢れ出す。

「信じられん……」

イグニスが呟いた。

「あんた、本当に『資格者』だったのか……」


第五章 氷の国への旅立ち

《不死鳥の剣》を手に入れた僕たちは、次の目的地へ向かうことにした。

《氷の国》フロストヘイム。

「北の果て、永久凍土の地だ」

イザベラが地図を指差した。

「ここを統治するのは、《氷の騎士》クリスタ。魔王に反旗を翻した元魔王代行だ」

「元魔王代行?」

「ええ。彼女はかつて魔王に仕えていたが、ある理由で裏切ったそうよ」

「どんな理由だ?」

「それは、本人に聞いてみないと分からないわ」


フェニキアを出発する日、イグニスが見送りに来た。

「エリオット」

「なに?」

「あんたは、面白い男だ」

イグニスは笑った。

「一つ提案がある」

「提案?」

「私も、一緒に行く」

「え?」

「魔王を倒す。それは、私の夢でもある。だから、あんたに協力する」

イグニスは剣を掲げた。

「それに、あんたのこと、もっと知りたい」

彼女は頬を赤らめた。

「もしかして、私を『后』にする気はないか?」

僕は驚いた。

「え?」

「冗談だ」

イグニスは笑った。

「でも、半分本気だ」

リリアーナが僕の腕を掴んだ。

「エリオット、この人、何言ってるの?」

「い、いや、僕も分からない……」

「ふふ、面白い反応ね」

イグニスが笑った。

「じゃあ、出発しましょうか」

こうして、僕たちに新たな仲間が加わった。


第六章 氷の国の騎士

北へ、北へ。

景色は、徐々に雪景色へと変わっていった。

「寒い……」

ミレーユが震えている。

「もう少しだ。頑張れ」

ガルヴァンが励ました。

そして、五日目。

「見えたぞ、《氷の都》フローズンキャッスルだ」

ジェイクが指差した先には、氷で作られた巨大な城が聳え立っていた。

「あれが、《氷の騎士》クリスタの城か……」

僕たちは城へと向かった。


城門の前で、僕たちは止められた。

「何者だ」

氷の鎧を纏った騎士が、槍を構えた。

「《ヴァルハラ自由国》の国王、エリオット・ヴェンデルだ。《氷の騎士》クリスタに会いたい」

「クリスタ様に? 何の用だ」

「同盟を結びたい」

騎士は少し考えてから、城門を開けた。

「分かった。案内する」


謁見の間に通された僕たちは、そこで「彼女」と出会った。

青い髪、青い瞳、透き通るような白い肌。氷のように冷たく、美しい女性。

「《氷の騎士》クリスタ……」

彼女は、玉座に座ったまま、僕たちを見た。

「《ヴァルハラ》の王。何の用だ」

その声は、感情を感じさせない、冷たい声だった。

「同盟を結びたい。魔王に対抗するために」

「断る」

即答だった。

「なぜだ?」

「私は、もう戦いに疲れた。魔王と戦う気はない」

クリスタは目を閉じた。

「帰れ」

「待ってくれ!」

僕は叫んだ。

「君はかつて、魔王に反旗を翻したんだろ。なぜだ。なぜ戦うのをやめた」

「……」

クリスタは何も答えなかった。

「僕は、諦めない。魔王を倒す。そして、この世界を自由にする」

「自由?」

クリスタが目を開けた。

「そんなもの、存在しない」

「存在する! 僕たちが作ってる!」

「……」

クリスタは少し考えてから、立ち上がった。

「分かった。一つ、条件を出そう」

「条件?」

「私と、戦え。勝てば、同盟を結ぼう」

またか、と僕は思った。

「分かった」


第七章 氷との戦い

闘技場は、氷で覆われていた。

「滑りやすいぞ、エリオット」

ガルヴァンが心配そうに言った。

「大丈夫」

僕は《不死鳥の剣》を構えた。

「行くぞ、クリスタ」

「来い」

クリスタが剣を抜いた。

そして――

「《氷結の剣技・凍てつく刃》」

クリスタの剣が、氷を纏った。

「速い――」

クリスタが突進してくる。

僕は剣で受け止めた。

「がっ――」

冷気が、僕の体を凍らせようとする。

「くそっ――」

「《炎よ、燃えよ》」

僕は《不死鳥の剣》に炎を纏わせた。

氷が溶ける。

「なに?」

クリスタが驚いた。

「《不死鳥の剣》……まさか、お前が……」

「これが、僕の力だ!」

僕は反撃に転じた。

「《炎の連撃》!」

剣を振るう。炎が、氷を溶かす。

「ぐっ――」

クリスタが後退する。

「まだだ! 《血の断罪》!」

僕の最大技。

剣が、クリスタの剣と激突する。

「ああああ!」

「うおおお!」

二人の力が拮抗する。

そして――

「《絶対零度》」

クリスタが全身から冷気を放出した。

「なっ――」

周囲が、一瞬で凍りつく。

僕の体も、凍り始める。

「このまま、凍れ」

クリスタが冷たく言った。

「まだ、だ……」

僕の中の「血」が、沸騰する。

「檻は、壊す! 鎖は、断つ! 氷も、溶かす!」

「《不死鳥の炎》!」

僕の全身が、炎に包まれた。

氷が、一瞬で蒸発する。

「なに?」

クリスタが驚愕した。

「終わりだ!」

僕は剣を振り下ろした。

クリスタの剣が、弾かれる。

「……っ」

クリスタが膝をついた。

「私の、負けだ……」


第八章 氷の騎士の過去

戦いの後、クリスタは僕たちを自室に招いた。

「貴様、強いな」

クリスタが言った。

「《不死鳥の剣》を使いこなしてる。驚いた」

「君も強かった」

僕は答えた。

「もう少しで、凍らされるところだった」

「……」

クリスタは少し笑った。

それは、初めて見る彼女の笑顔だった。

「なあ、クリスタ」

僕は聞いた。

「君は、なぜ魔王に反旗を翻したんだ?」

「……」

クリスタは窓の外を見た。

「私は、かつて魔王代行だった」

「知ってる」

「私は、魔王の命令に忠実だった。人間を支配し、秩序を維持する。それが私の仕事だった」

クリスタは目を伏せた。

「でも、ある日、一人の少女に出会った」

「少女?」

「名前をテモンディと言う。彼女は、魔王の支配に反抗していた。『自由になりたい』と叫んでいた」

クリスタの声が震えた。

「私は、彼女を捕らえた。魔王の命令で」

「……」

「彼女は、処刑された。私の目の前で」

クリスタは涙を流した。

「その時、私は気づいた。私は、何をしていたのかと」

「クリスタ……」

「それから、私は魔王を裏切った。そして、ここに逃げてきた。全てが嫌になったのだ。」

クリスタは僕を見た。

「私はもう戦いたくない。もう、誰も傷つけたくない」

「分かる」

僕は言った。

「でも、戦わなければ、何も変わらない」

「……」

「君が救いたかった少女の『自由』を、僕たちは実現しようとしてる」

僕は手を差し伸べた。

「一緒に戦ってくれないか」

クリスタは、しばらく考えてから――

「……分かった」

彼女は僕の手を取った。

「もう一度、戦おう」


第九章 氷結の盾

クリスタは、僕たちを城の地下へ案内した。

「ここに、《氷結の盾》がある」

地下には、氷で作られた盾が安置されていた。

「これが、聖遺物の一つか」

僕は盾に近づいた。

「これは、持ち主を絶対に守る盾だ」

クリスタが説明した。

「どんな攻撃も防ぐ」

「すごいな」

「でも、これも資格者にしか使えない」

クリスタは僕を見た。

「貴殿が、試してみるか?」

「いや」

僕は首を振った。

「これは、君が持つべきだ」

「私?」

「そう。君は、『守る』ことを望んでいる。この盾は、君に相応しい」

クリスタは少し驚いたが、盾に手を伸ばした。

盾が、彼女の手に馴染む。

「……本当に、使える」

クリスタは涙を流した。

「私にも、まだ『資格』があるのか……」

「当然だ」

僕は笑った。

「君は、誰よりも強く、誰よりも優しい」


第十章 新たなる仲間

《氷結の盾》を手に入れた僕たちは、《ヴァルハラ》へ帰ることにした。

「クリスタ、一緒に来てくれ」

僕は彼女を誘った。

「私も?」

「そう。君も、僕たちの仲間だ」

クリスタは少し考えてから、頷いた。

「分かった。行こう」


帰路、僕たちは夜営をした。

焚き火を囲んで、みんなが語り合っている。

「エリオット」

イグニスが僕の隣に座った。

「なに?」

「あんた、クリスタにも優しいのね」

「そうかな」

「ええ。あんたは、誰にでも優しい」

イグニスは微笑んだ。

「だから、私も惹かれた」

「イグニス……」

「私を、あんたの女にしてくれないか?」

イグニスは真剣な目で言った。

「私は、あんたと一緒にいたい」

僕は戸惑った。

「でも、僕にはもう四人の妻が――」

「構わない」

イグニスは笑った。

「五人目になってもいい。私は、あんたが好きだ」

「……」

僕は考えた。

イグニスは、強く、美しく、そして優しい。

「分かった」

僕は頷いた。

「君を、五人目の妻として迎えよう」

「ありがとう」

イグニスは僕を抱きしめた。

そして、夜――

イグニスは僕のテントに忍び込んできた。

「エリオット……」

「イグニス……」

二人は、一つになった。


翌朝。

「エリオット、昨夜は楽しかった?」

リリアーナが冷たい笑顔で聞いてきた。

「あ、ああ……」

僕は冷や汗を流した。

「まあ、いいわ。イグニスも良い人だし」

リリアーナは溜息をついた。

「でも、私が一番よ。忘れないでね」

「当然だ」

僕は彼女を抱きしめた。


その日の夜、今度はクリスタが僕のテントに来た。

「エリオット……私も、あなたの女になりたい」

「クリスタ……」

「駄目?」

「駄目じゃない。むしろ、嬉しい」

僕は彼女を抱き寄せた。

「君を、六人目の妻として迎えよう」

「ありがとう……」

クリスタは涙を流しながら、僕に身を委ねた。


第十一章 帰還と新たな脅威

《ヴァルハラ》に帰還した僕たちは、盛大な歓迎を受けた。

「エリオット陛下、お帰りなさい!」

「《不死鳥の剣》と《氷結の盾》を手に入れたそうですね!」

住民たちが歓声を上げた。

「みんな、ただいま」

僕は笑顔で答えた。

「そして、新たな仲間を紹介する」

イグニスとクリスタが前に出た。

「《炎の女王》イグニスと、《氷の騎士》クリスタだ。二人とも、僕たちの仲間になってくれた」

「よろしく」

イグニスが手を振った。

「よろしくお願いします」

クリスタが深々と頭を下げた。

住民たちは、拍手で二人を迎えた。


だが、平穏は長く続かなかった。

「エリオット陛下、緊急です!」

ジェイクが血相を変えて飛び込んできた。

「《破壊の魔王》バルバトスが、軍を派遣したそうです!」

「なに?」

「規模は……十万」

僕は愕然とした。

十万。前回のアスタロトの五万の倍。

「くそっ……次は《破壊の魔王》か……」

「どうする、エリオット?」

リリアーナが聞いた。

僕は考えた。

今の僕たちには、《不死鳥の剣》と《氷結の盾》がある。イグニスとクリスタという強力な仲間もいる。

「戦う」

僕は決断した。

「今度こそ、勝つ」


第十二章 破壊の軍勢

《破壊の魔王》バルバトスの軍が来た。

十万の兵。巨大な魔物、攻城兵器、魔法使いの大軍。

「これは……」

ガルヴァンが呻いた。

「勝てるのか?」

「勝つしかない」

僕は《不死鳥の剣》を抜いた。

「みんな、配置につけ!」

城壁に、僕たちの軍が並ぶ。

総勢一万。

対する敵は十万。

「エリオット」

イグニスが隣に立った。

「私が、前線を引き受ける」

「私も」

クリスタが反対側に立った。

「私が、防衛を引き受ける」

「二人とも……ありがとう」

僕は二人を見た。

「じゃあ、行こう。みんなで」

「「「おう!」」」


戦いが、始まった。

敵の大軍が、城壁に迫る。

「《炎帝の咆哮》!」

イグニスが全身から炎を放出した。

敵の前線が、炎に包まれる。

「ぎゃああああ!」

「《絶対防御》」

クリスタが《氷結の盾》を構えた。

敵の魔法攻撃が、全て弾かれる。

「すごい……」

住民たちが歓声を上げた。

「僕も行く!」

僕は城門を開けた。

「突撃!」


第十三章 破壊との対面

戦場を駆け抜け、僕は敵の本陣へと向かった。

そこにいたのは――

巨大な魔物。

いや、魔王。

《破壊の魔王》バルバトス。

「ほう、貴様がアスタロトに負けても生きているという人間か」

バルバトスは僕を見下ろした。

「ちっぽけだな」

「煩い、ちっぽけでもなんでも、お前を倒す」

僕は剣を構えた。

「《不死鳥の剣》……面白い。では、試してみろ」

バルバトスが拳を振るう。

巨大な拳が、僕に迫る。

「《炎の盾》!」

僕は剣で炎の盾を作った。

拳が、盾に激突する。

「がっ――」

僕は吹き飛ばされた。

「くそっ――強い……」

「これで終わりか?」

バルバトスが笑った。

「つまらんな」

「まだだ!」

僕は立ち上がった。

「《血の覚醒》!」

僕の中の「血」が、完全に目覚める。

「これが、俺の本当の力だ!」

僕は再び突進した。顔も見たことがないひいひい爺さんという人の声が、姿が、考え方が、何故か少し分かったような気がした。


エピローグ 未完の戦い

戦いは、三日三晩続いた。

だが、決着はつかなかった。

「くそっ……」

僕は疲労で膝をついた。

「まだだ……まだ終わってない……」

「エリオット、もう無理よ!」

リリアーナが叫んだ。

「一旦、退くわ!」

「でも――」

「いいから!」

リリアーナが僕を引っ張った。

僕たちは、城に撤退した。


「くそっ……負けた……」

僕は悔しさで拳を握りしめた。

「いや、負けてない」

イグニスが言った。

「バルバトスも、退いた。引き分けだ」

「でも――」

「次は、勝つ」

クリスタが言った。

「私たちは、まだ強くなれる」

「……そうだな」

僕は顔を上げた。

「次は、必ず勝つ」


その夜、僕は城の屋上に立った。

星空が美しい。

「まだまだだな、俺は」

僕は呟いた。

「でも、諦めない」

背後から、足音。

振り返ると、リリアーナ、イグニス、クリスタ、イザベラ、セレスティア、ミレーユ、ファティマ――

全員が立っていた。

「みんな……」

「エリオット、一人で抱え込まないで」

リリアーナが言った。

「私たちは、あなたと一緒に戦う」

「そうよ。あなた一人の戦いじゃない」

イグニスが笑った。

「私たちの、戦いよ」

クリスタが微笑んだ。

「ありがとう、みんな……」

僕は涙を流した。

「俺、頑張る。みんなのために」

《第2巻 完》


次巻予告

《破壊の魔王》バルバトスとの戦いは引き分けに終わった。

だが、エリオットは諦めない。

更なる力を求めて、彼は《影の大陸》へと旅立つ。

そこで出会うのは――

《影の暗殺者》《雷の魔術師》《大地の守護者》

そして、三つ目の聖遺物《影の短剣》。

エリオットの「血」が、更なる進化を遂げる!

《第3巻 影と雷の誓い》――近日公開!


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