第2話 初めての仲間
隣町の冒険者ギルドに登録を終えたレミリアは、
広間をゆっくりと歩き回った。色とりどりの冒険者たちが、
声を上げ、武器を手入れし、仲間を探している。
しかし、声をかけても誰も足を止めてくれない。
「ヒールが弱い……Fランクのヒーラーだって」
耳に入るのはそんな噂ばかり。
小さくため息をつき、レミリアは隅の椅子に座った。
杖を膝に立て、頭をかかえる。
「わたし、やっぱり必要とされないのかな……」
しばらくすると、ギルドの奥の方で声が響いた。
「ヒーラーを探している人がいるんだ」
振り向くと、赤いマントを羽織った青年が歩いてきた。
「君、名前は?」
レミリアは少し驚きながらも答える。
「レミリア・ミナトです。よろしくお願いします」
「俺はレッド、パーティー『赤の刀剣』のリーダーだ」
彼はゆったりとした声で続けた。
「実は俺たち、ヒーラーが一人足りなくて困ってる」
レッドの目は真剣で、噂に惑わされずに話してくれているのが伝わった。
「……私で大丈夫ですか? ヒールはあまり強くないけど」
レミリアは少し不安そうに杖を握り直す。
「その“弱さ”も使い方次第だろう?」
レッドはにっこりと笑った。
「うちの魔導士、キースは知識が豊富だ。
お前のスキルもきっと活かせる」
彼に導かれ、レミリアはパーティーのメンバーと顔を合わせる。
タンクのボルトスは大きな体を揺らしてうなずき、
盗賊のブルーは軽く手を振る。
魔導士のキースは目を細め、分析するようにレミリアを見た。
「ここが俺たちのパーティーか」
レミリアは小さくうなずく。
初めて、自分を歓迎してくれる仲間に囲まれ、
胸が少しずつ熱くなるのを感じた。
「まずは軽い冒険から始めよう」
レッドの声に、パーティー全員がうなずく。
レミリアは杖を握り、心の中で呟く。
『わたし、必ず仲間を守るんだ』
初めての任務は、町外れの森での小規模モンスター討伐だった。
森に入ると、木々の間を風が抜け、葉のざわめきが耳に届く。
レッドが先頭に立ち、ボルトスがその後ろで盾を構える。
キースが魔法陣を描き、ブルーが素早く影に身を潜める。
レミリアも杖を構え、「ヒール」と唱えた。
今回は前回とは違い、仲間の回復量を意識して魔力を調整する。
小さな光が仲間の傷を癒し、少しずつ戦闘に貢献できた。
森の奥でモンスターが姿を現す。
巨大な狼のような影に、ブルーが鋭く跳びかかる。
ボルトスが盾で守り、キースが炎の魔法を放つ。
レミリアは杖を高く掲げ、「倍率」を宣言する。
次の魔法は、仲間の攻撃力を増幅させるためだ。
光が放たれ、仲間の動きが一瞬で活発になる。
モンスターは次々と倒され、森に静けさが戻った。
戦闘後、パーティーは笑顔を交わす。
「なかなかやるじゃないか、レミリア」
レッドの声に、レミリアは小さく笑う。
初めて、自分が役に立ったと感じた瞬間だった。
ギルドに戻る道すがら、レミリアは思う。
『私の力は弱くない。使い方次第で、仲間を守れる』
弱さを恐れず、仲間を信じて歩むことが、
これからの冒険の第一歩になるのだと感じた。
村の空に夕日が沈む頃、レミリアは杖を握り直した。
小さな光が彼女の前を照らす。
それは希望であり、これから始まる仲間との物語の光でもあった。
「次の戦いも、私が守る」
レミリアの決意は、森の静けさに溶け込み、確かな力へと変わった。




