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認められた朝──歩き出す僕の物語
数日が過ぎた。
村の誰にも言わず、俺は毎朝、裏山の小道へ通った。
最初は腕が痛くなり、息もすぐ上がったが、少しずつ振りのキレが良くなっていく。
「ガンスラッシュ」の扱いも、少しずつ慣れてきた。
ただの遊びのはずだった。
けれど、剣を振るたびに心が満たされていくのを感じた。
それは──
初めて自分の力を実感するという、忘れかけていた感覚だった。
ある日、背後から声がした。
「ユーリ、また朝から山に行ってるの?」
振り返ると、アネリスだった。
彼女はため息をつきながらも、少しだけ笑っていた。
「……やっぱり、諦められないのね」
俺は素直に頷いた。
「強くなりたい。母さんに心配かけないためにも、自分の道を歩くためにも」
アネリスは静かに近づき、俺の肩に手を置いた。
「それなら……あなたがそう思うなら、私も応援するわ」
「ありがとう、母さん」
俺はその言葉に涙が出そうになった。
まだまだ先は長い。
だけど、確かな一歩を踏み出せた気がした。
そう──これは、俺の物語の始まり。