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最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第3章「母の涙と“強くなる”決意」
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母の涙──遺跡に近づかないで

 翌日、家の裏で朝食の後片付けをしていたとき、俺はふと思った。


(遺跡を探すって言ったら、……母さん、怒るだろうな)


 昨日、祖父の装置を見つけ、異世界転生としては“無双”の道具を手に入れた。

 でも、それを使って何をするのか──目的がなければ意味がない。


 俺は決めていた。

「この世界の遺跡を探す」。

 かつての科学文明──祖父のような技術者たちの痕跡を辿る。


 けれどそれは、この村では“禁忌”に近い。


 古代遺跡は「神々の墓場」とも呼ばれ、触れてはならないものとされていたからだ。


(理由が必要だ。説得できる……何か……)


 悩んだ末に、俺は“嘘を混ぜた本音”で行くことにした。


「母さん……ちょっと、じいちゃんの家にまた行ってもいい?」


 皿を拭いていたアネリスの手が止まった。

 少しだけ、冷たい空気が流れる。


「……ダメです」


 静かに、だがはっきりと、彼女は言った。


「えっ……まだ、中見てないところがあるかもしれないし──」


「ダメです。……あの場所には、もう“近づかない”と約束したはずですよね?」


 怒鳴るわけではない。けれど、胸に突き刺さる言い方だった。


 アネリスは、少しだけ俯きながら、言葉を続けた。


「……あなたのお父さんも、あなたのお母さんも、遺跡に関わって、命を落としたのよ」


 初めて聞いた。両親の死の真相。


「“ただの病”なんかじゃなかったの?」


「……そう言うしかなかったのよ。あの頃、まだあなたは赤ちゃんだったから」


 アネリスの声は震えていた。


「お願いだから、ユーリ……同じことを繰り返さないで。

 私は……もう、誰かの『代わり』にはなれないの」


 目元が少しだけ赤くなっていた。


「あなたは、家族なの。血のつながりなんて関係ない。

 どうか、自分の命を粗末にするような真似はしないで……」


 その言葉が、胸に刺さった。

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