表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第11章「迫る森の脅威とギルドの決断」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/206

ギルドの決断──汚染調査隊の編成

 ギルドホールに貼り出された名簿には、少しずつ名前が書き加えられていった。


 ユーリの名を皮切りに、若手の冒険者数名、それに様子を見ていた中堅どころが続いた。


「……思ったより、志願者が増えてきたな」


「やっぱり、誰かが先に名乗り出ると変わるもんだな……」


 そう呟く者たちの視線の先には、まっすぐ名簿を見つめる少年──ユーリの姿があった。




「では、集まった冒険者たちは一旦前へ。小隊を組む必要がある。個人での行動は禁止だ」


 壇上のガンゾーが言うと、数名の冒険者が前に出る。中には、初めて顔を合わせる者も多い。


 ユーリのすぐ隣に並んだのは、長身で快活そうな青年だった。片手に斧を持ち、背中には小さな盾。風のように軽やかに動く雰囲気がある。


「ユーリくんだよな? 俺はグレン。斧と風魔法が専門だ。よろしくな」


「よろしくお願いします、グレンさん」


「さん付けはやめとこうぜ。せっかく同じ小隊なんだし、気楽にいこう」


 そう言ってにかっと笑うグレンに、ユーリも肩の力が少しだけ抜けた。


 そのあと、双剣を背負った無口な青年 《カイ》、そして敏捷な身のこなしを見せる斥候役の少女 《エフィ》もチームに加わった。




「……このチーム、意外とバランス取れてるかもな」


 グレンが呟いた通り、前衛 (グレン・カイ)、中距離魔法支援 (ユーリ)、偵察と索敵 (エフィ)という構成だ。




「各小隊の編成はそのまま。名称はそれぞれ《第一小隊》《第二小隊》《第三小隊》とする。お前たちは《第二小隊》だ」


 ガンゾーが名簿を確認しながら言う。


「第一小隊は汚染境界線の確定。第三は周辺村の避難誘導。……そして、お前たち《第二小隊》は──」


 ガンゾーは一拍置いて、低い声で続けた。


「森の“内部調査”を担当してもらう」




 空気が一瞬、凍りついた。




「おいおい、マジかよ」「汚染の中心部って話じゃなかったか?」「新人のガキも混じってんだぞ?」


 周囲のざわめきが強くなる中、ユーリたち四人は沈黙を保っていた。


「不安なのは分かる。だが、今回の異常は“拡大している”」


 ガンゾーの声に、冒険者たちが黙る。


「明確な原因が掴めなければ、いずれこの街にも届く。そうなれば、もう誰にも止められん」


「……ですが」


 思わず声を上げたのは、受付嬢のカリナだった。


 彼女は前に出て、壇上のガンゾーを見上げる。


「本当に、この子たちに任せて大丈夫なんですか? ……特にユーリくんは、まだ十五歳で……」


 静まり返る場内。


 その中で、カリナは毅然と立っていた。


 ガンゾーはその視線を受け止め、やや考えるように視線を落としたあとで言う。


「……あの少年の“魔力量”と魔法構成、俺も確認した。確かに未熟だが、扱う魔術の質は規格外だ。基準から見れば、すでにランクB相当の力がある」


「……!」


 その言葉に、場の空気が再びざわつく。


 だがガンゾーは続けた。


「それでも不安が残るなら、支援を一人つけることにした。《調律者》──エンジニア兼魔道士として名高い者を」




 扉が開いた。


 現れたのは、長いマントを羽織ったひとりの人物。目元にゴーグルをかけ、肩に小型装置を乗せている。


「よう。間に合ったか?」


 ルーズな口調の中年技師──その名は《ヘルム・グラード》。魔道工学の分野では名の知れたメカニックであり、古代遺物の修復も行える専門家だった。


「こいつが第二小隊に同行し、記録と分析を担当する。戦闘は不得手だが、遺跡に関する知識と汚染検知には長けている」


 そう言うと、ヘルムは指を鳴らし、肩の小型装置から浮遊ドローンを数機展開した。


「こいつらでフィールドスキャンもできるぜ。よろしく頼むよ、坊主たち」




「じゃあ、決まりだな」


 ガンゾーが手を叩くように言った。


「明朝、日が昇った直後に出発する。各自、準備は今夜中に済ませておけ」




 こうして──


 ユーリたち《第二小隊》は、汚染の中心部へ向かう任務を担うことになった。




 森に潜む“何か”が、彼らを待ち受けている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ