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最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第11章「迫る森の脅威とギルドの決断」

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伝令──森からの異常報告

冒険者ギルド《エインクレスト支部》は、昼を過ぎた頃でも混雑していた。


 だが今日に限っては、ざわつきの質が違う。

 不穏な空気が場を満たしていた。


「……なんだ、この雰囲気」


 ユーリは扉を開けて足を踏み入れた瞬間、肌を刺すような視線を感じた。

 集まっていた冒険者たちのほとんどが、広間中央の掲示板付近に集まり、ざわざわと押し殺した声で話し込んでいる。


 魔物討伐の情報、危険地帯の拡大予測、森の異変──そんな単語が飛び交っていた。


(……やっぱり、何かが起きてる)


 ギルドの建物は頑丈な石造りで、天井には魔導ランプが吊られている。その静かな光の中に、どこか不安を煽るような緊迫感が漂っていた。


「……ユーリくん?」


 受付カウンターの奥から、やわらかい声が聞こえた。


 振り向くと、そこにはカリナが立っていた。


 ギルドの制服をきちんと着こなし、胸元に金色の資格章を留めたその女性は、今日もどこか落ち着いた笑みを浮かべている。


 栗色の髪を後ろでまとめ、包み込むような瞳でこちらを見ていた。


「来てくれてよかった……。もしかして、森の件で?」


「はい。薬草舗の方に伝令が来て……」


「そう。……やっぱり状況が広がってきたのね」


 カリナは小さく息をつき、手元の報告書を確認しながらユーリに顔を向けた。


「東側の森に異常な魔力反応が発生しているの。地脈の流れが乱れて、植物の急成長や、魔物の変異も確認されてる。すでに数名の冒険者が現地から引き返してきて……それぞれ軽い怪我もしているわ」


「変異って……具体的には?」


「牙が異常に伸びたり、皮膚が硬質化したり。環境への適応というより、何かに“感染”してるような印象だそうよ」


 ユーリは黙ってうなずいた。


「まだ調査段階だけど、このままだと街にも影響が出る。だから、ギルドとしても調査隊の編成を検討中。もうすぐ、ギルドマスター代理が公式発表をする予定よ」


「……僕、何か手伝えることありますか?」


 ユーリの問いに、カリナはふっと優しく笑った。


「ふふ、ほんとに頼もしいのね、ユーリくんは」


「え、そ、そうですか?」


「うん。だけど──」


 カリナはカウンターから出てきて、そっとユーリの肩に手を置いた。

 大人の女性らしい、柔らかく包み込むような手つきだった。


「まだ十五歳でしょ? 冒険者ランクもD。こういう大きな任務では、無理は禁物よ」


「でも、僕……ただの村人だった頃より、ずっと力もついて……魔法だって、前より上手く……」


 カリナはユーリの言葉を静かに聞いていた。


 そのあとで、小さく微笑みながら──


「ええ、わかってる。ユーリくんはね、本当にすごい子。いつも一生懸命で、自分より人のことを考えてる」


 言葉が詰まる。


 どこかで“まだ子供だから”と線を引かれると思っていた。けれど、カリナの言葉はそうではなかった。


「……だから、お願い。誰かのために動くなら、自分のこともちゃんと大事にして。それが、冒険者として大切なことよ」


「……うん。ありがとう、カリナさん」


 ふっと笑うと、カリナはユーリの頭をぽんぽんと軽く撫でた。


「かわいい弟みたいな存在なんだから、心配するに決まってるでしょ?」


「……うぐ」


 そんな風に言われてしまうと、なんだか妙に気恥ずかしい。


(弟……か。まあ、そうだよな……)


 頭をかきながら視線をそらすユーリに、カリナはくすっと笑った。


「でもね、そんなあなたが、どう行動するか……私、ちゃんと見てるから」


 その言葉に、ユーリの胸の奥がぽっと熱を帯びた。


 


 そのとき、ギルド内のホールに鐘の音が響いた。


 壇上に立ったのは、分厚い鎧を肩にかけた初老の男。ギルドマスター代理・ガンゾーだ。


「全冒険者に告ぐ! ただいまより、東の森における汚染拡大に関する緊急説明を開始する!」


 その声に、ギルドの空気がピンと張り詰めた。


 ユーリは視線を壇上に向ける。そして、静かに一歩を踏み出した。

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