表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第6章「最初の遺跡と目覚めのコード」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/205

覚醒戦闘──ルシア、君に意思はあるか?

 扉の奥へと、ユーリは一歩を踏み出した。


 そこは想像以上に広い空間だった。

 無音。無風。だが、ただの闇ではない。

 周囲の壁は滑らかで、時おり微かに光が脈動している。


「これ、完全に地下施設だな……」


 天井は高く、数十メートル先には何かの装置群らしきシルエットも見える。


 ──そして、その中央。


 何かが動いた。


 低い唸り声。金属のきしみ。

 そして、暗闇の奥から──獣のような姿をした機械生命体がゆっくりと姿を現した。


 体高は2メートルほど。

 四足の骨格に似た機械脚。甲殻のような外装。

 だが、目にあたる部分には明らかに“カメラ”と“赤外線センサー”が装備されていた。


「……マジで、ロストテクノロジーじゃねぇか」


 その瞬間、背後で粒子が輝いた。


「脅威指数、クラスC。戦闘推奨──準備完了」


 ルシアの声が、いつもより一段強く響く。

 声とともに、彼女の粒子が強く発光し始めた。


 これまでただ浮遊していた光の粒が、花弁のように展開し、ユーリの周囲に広がる。


 中心核に位置する粒は、まるで“目”のように回転しながら淡く輝いた。


「ルシア……君、意識あるのか?」


 《まだ全機能は覚醒していません。でも──ユーリの危機には対応できます》


 明確な意志を帯びた返答だった。


 粒子はユーリの背後に集まり、ふわりと宙に浮いたままシールドを展開する。


 Chat Formのホログラムが起動する。


 >> Support AI “Lucia” - Active Sync: 37%

 >> Combat Protocol Alpha - Assist Mode Enabled

 >> Auto-Block: Enabled

 >> Reaction Overlay: ON


「……やれるってわけか。頼もしいな、相棒!」


 ユーリは腰のガンスラッシュを抜いた。


 その瞬間、敵が動いた。


 金属脚を鳴らしながら、猛然と突進してくる獣型機械。

 目から赤いスキャン線を照射し、まっすぐにユーリへ狙いを定めていた。


「来るっ!」


 その牙が迫る直前──ルシアの粒子が反応した。


 カシン!


 光の盾が展開され、突進の軌道を逸らす。

 敵の身体がスライドしながら壁に激突した。


「ナイス、ルシア!」


 《ガンスラッシュ射撃モード、推奨。弱点、背部エネルギータンク。》


 すかさずユーリはガンスラッシュを構え、

 セミオートの射撃モードへスイッチする。


「撃てる──なら!」


 トリガーを引く。

 魔力と粒子が同期し、青白い閃光が走る。


 ──着弾。


 爆ぜる火花。

 機械獣の背が破れ、スモークが噴き出した。


 《一撃での無力化には至らず。追加ダメージを推奨。》


「もう一丁……!」


 そのとき、敵の尾が鞭のように襲いかかってきた。


 しかし、今度はルシアの粒子が反射壁を形成。


 青い網目状のバリアが出現し、尾の一撃を受け止めた。


「くっ、……今の防御、完全に意思があるな……!」


 《はい。あなたを守る。それが、私のプライオリティです》


 その言葉に、ユーリは思わず笑みを浮かべた。


「……だったら、俺も応えないとな!」




 再度の一撃。

 跳躍し、空中から敵の背へ剣を振り下ろす。


 刃がコアを穿つ。

 機械獣が呻くようなノイズを発し、その場に崩れ落ちた。




 沈黙が戻る。


 ユーリは息を整えながら、ゆっくりとガンスラッシュを納めた。


「……はぁ。終わった、か」


 《敵性個体、排除確認。安全域、50メートル内確保。》


 光の粒はゆっくりと落ち着き、再びふわふわとユーリの周囲を漂いはじめた。


 ルシアの声は変わらず機械的だ。だが、確かな“感情の芽”が、その裏に宿っていた。


 《ありがとう、ユーリ。……まだ、全部思い出せないけど──私は、ここにいる》


 ユーリは小さく頷いた。


「十分だよ。……ここまで来れたのも、君のおかげだ」




 まだ、遺跡の奥には謎が残っている。


 この世界に何があったのか。

 なぜ、“地球”とは異なる歴史を歩みながら、こうした構造体やAIが存在しているのか──


 それを知るために、ユーリは歩き続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ