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最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第26章「赤髪の訪問者と奪われたカード」

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変身解除──目立たぬ装いへ

 エインクレストの街外れにある石造りの教会。その古びた扉が音を立てて開かれると、光の中からユーリたちが姿を現した。


「お若いご夫婦、どうかお健やかに──」

「またお会いできるのを楽しみにしていますよ」


 老司祭と老シスターの温かな言葉に見送られながら、ユーリとセラ、そしてアリエルとルシアは石畳の小道を歩き出す。


「ルシア様って……本当に女神ルシア様だったんだね」

 セラが少し遠慮がちに、けれど嬉しそうに言う。


「ちょ、やめてってば! “様”なんてつけないでよ。今まで通り、ルシアでいいの。ね?」

 肩の上からふわふわと浮かんだまま、ルシアが半ば照れたように応える。


 そのルシアの姿──淡紅色の長髪がなびき、純白と金を基調とした神聖な衣装、背には光の翼。そして後光のように漂う粒子の光。


 どう見ても“ただの少女”には見えない。


「ルシア。その姿で街に戻るつもりか?」

 ユーリが立ち止まり、真顔で問いかけた。


「……うん?あぁ、さすがに目立つわよね」

 ルシアは自分の姿を見下ろし、ふむふむと考え込んだ。


 その視線が、セラに向けられる。


「え? な、なに……?」

 戸惑うセラの返答を待たずに、ルシアの身体が淡い光に包まれた。


 少女アニメのような華やかな変身エフェクト──輝く輪が重なり、衣装が入れ替わる。


 光が晴れたとき、ルシアはセラとほぼ同じ形のワンピース姿になっていた。ただし色は淡い桃色。スカートをふわりと翻し、軽やかに一回転する。


「ふふーん。これでどこから見ても普通の街娘よ☆」

 胸を張って決めポーズ。


 ……とはいえ、そのプロポーションは隠しきれず、通りすがりの人々が一瞬、振り返っている。


「……またやってる」

 ユーリが呆れたようにため息をついた。


「私も、服装を合わせた方がいいですか?」

 アリエルが首を傾げながら問う。


「うん、無理にとは言わないけど、違和感は減るかも」

 ユーリが頷くと、アリエルも光に包まれ、同様にセラ風のワンピースへと変身。色は淡い水色。


「うん、似合ってるよ」

 ユーリがそう声をかけると、アリエルはほんのわずかに表情を緩めた。


「ありがとう、ございます。……ちょっと、照れます」


 そんな様子を見て、ルシアがまた悪戯っぽく笑う。


「ふふっ、女の子三人も侍らせてるなんて、ユーリはモテモテねぇ☆」


「やめてくれ……」

 ユーリは頬を引きつらせ、視線をそらした。


 こうして、神降ろしの大事件から一転、まるで何事もなかったかのような姿で、彼らは薬草舗へ向けて歩き出すのだった。

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