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最弱村人だった俺が、AIと古代遺跡の力で世界の命運を握るらしい  作者: Ranperre
第4章「魔法の芽と忍び寄る影」

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初陣──遊びじゃない、命を守る戦い

 ある日の午後、裏山の高台で火球の術式をテストしていたユーリは、不意に違和感を覚えた。


 風が止まった。


 空気が張り詰める。森の音が、消えた。


 まるで何かが、近くに潜んでいるかのような──そんな気配。


「……ルシア、何か来てる?」


 粒子の光はゆっくりと揺れ、その中から音声が再生された。


「Warning:探知範囲内に“不明生命体反応”。移動速度緩慢、複数接近中。位置──村の南東林道より」


「不明……生命体?」


 ユーリは咄嗟にChat Formのマップ表示を展開した。地形スキャンは簡易的なものだが、点滅する赤い反応が3つ、村に向かって進んでいるのがわかる。


「……これって、村に向かってきてる?」


 その瞬間、背筋に冷たいものが走った。


 ──このままだと、村が襲われる。


 動くべきか。それとも大人たちに知らせるか。


 ほんの数秒の逡巡。


 だが、ユーリは決めた。


「俺が行く。いける範囲で止める!」


 祖父の遺した装備を呼び出す。


 腰にガンスラッシュ、腕にシールドリング。ブーツにはサバイバルパックから出した軽補強装具。


「ルシア、支援を頼む」


「Acknowledged. Support AI 'Lucia' Standby-mode Activated.──指示プロトコル開放」


 森を駆け下り、ユーリは反応地点の先回りを目指す。


 草をかき分け、息を整えながら、彼はもう一度だけ心の中で呟いた。


(“遊び”じゃない……これは、初めての“実戦”だ)


 その瞳には、迷いはなかった。


 やがて木立の間から、姿を現したのは──


 腐敗した皮膚。よろめく足取り。人ではない何か。


 ──魔獣。いや、“アンデッド”の類だ。


「くっそ……来やがったな……!」


 ユーリは剣を構えた。


 風が吹く。


 村を守るための、最初の戦いが──始まる。

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