私、フェミニストだから。
阿部が部活に戻ったので、おれ達は帰ることにした。
「お前、何か冷たくなかったか? いつも、女子には優しいのに」
しかし、男子には厳しい。おれは慣れてるけど、慣れてない奴なら泣くかもしれないくらいの厳しさだ。
バレンタイン、白鳥に逆チョコをあげようとした男子が聞いた辛辣な言葉は、伝説になっている程だ。
「私、フェミニストだから。でも、彼女は……」
「阿部と、何かあったの?」
学年が違うから、接点はほとんど無いはず。
「クラスマッチの時、私、バレーボールに出ていたでしょう」
「ああ、そういえばそうだったな」
「あの時、彼女のアタックが私の顔面を直撃したのよ」
「それを根に持ってんのか。でも、あの後、阿部が謝りに来ただろ。律儀だよな。スポーツで、怪我は付き物だ、仕方ねえだろ」
「かなり痛くて、鼻血も出たわ」
「アザが残らなかっただけ、幸いだろ」
「まあ、私の広い心で許してあげたけれど」
「根に持ってたくせに」
「そんなことは置いておいて。じゃあ、明日から、烏丸君の調査スタートよ!」
何故か楽しそうなのが、逆に怖かった。
女子には優しく男子には厳しい白鳥さん。
だから女子からの人気は高いです。




