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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんと嘘吐きカラス
88/223

あなた昨日の……

   ◆



 なぜ、彼女は知っているのだろう。




 なぜ、僕の秘密を知っているのだろう。




 僕は、誰かに本当の自分を知られるのが、怖くて怖くて堪らなかった。




      ◇






 放課後、おれ達は相談者を教室で待っていた。




 基本、悩み相談は自分たちの教室を使っている。




 そのため、教室に残っている生徒には速やかに撤収してもらっている。プライバシー重視のためだ。




 クーラーが効いた涼しい部屋なので快適だ。




「遅いな」




 相談者は、バレー部の一年女子とのことだ。




「いつも思っていたことなのだけれどね。この学校って、生徒に少し甘いわよね。だって、部活でも同好会でもない私たちみたいなのにも、放課後に教室を貸してくれるのよ。しかも、クーラー付き」




「生徒を信用してるってことだろ」




 きっと、学校側はおれ達を生徒の悩みを聞く、悩み相談係みたいに思っているのだろう。




「それもそうよね。信用してくれないと困るわよね。別に、問題行動を起こしている訳ではないのだし。お金取って商売をしている訳でもないのだから」




 プチセレブな白鳥には、金は余る程あるのだから。




「そういえば、この前の期末テストなんだけど……」




 嫌な話題が来たと思ったちょうどその時、教室の扉が開いた。




「すみませんっ、遅れましたっ」




 どうやら相談者が来たようだった。




「あら、あなた昨日の……」




 ポニーテールに見覚えがあった。




「昨日の?」




 彼女は知らないだろうけど……。




「あなた、昨日、烏丸君に告白していたでしょう?」




「おい、言うなよ」




きっと傷付いてるはずだ。失恋の立ち直りについて相談に来たのだろう。




「も、もしかして、聞いてましたか?」




「いいえ、聞いてはいないわ。遠目から見えただけ」




「よ、良かった……」




 いや、見られてた時点で良くはないだろ。




「では、自己紹介と相談内容を教えて頂戴。あと、高村君が一緒に居ても大丈夫?」




 男子が居ると話にくい時は、おれは教室から出るのだ。




「はい、大丈夫です。……えっと、一年三組の阿部あべ あかりです。バレー部に入ってます……」




 阿部は少し口ごもると、何かを決意したように言った。




「烏丸先輩を調査して欲しいんです!」




「烏丸を調査?」




「私、昨日、烏丸先輩に振られちゃったけど、もっと烏丸先輩のことを知って、もう一度アタックしたいんです。まだ、烏丸先輩のこと、諦められないんです!」




 言葉から、彼女の熱意が伝わってくる。




「ま、まだ烏丸には彼女はいないみたいだし、チャンスはあるよな?」




「そうね。……で、阿部さん、あなたは何で、烏丸君のことを知りたいの?」




 そんなの、決まってるだろ。分かれよ、白鳥。




「え……。えっと、烏丸先輩のことが好きだから……」




「……ふーん」




 さも、どうでもいいような反応であった。

白鳥さんは何か察したようですが……。

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