散歩だと思って
「優の反抗期が終わったのはいいけど、何で最終日がここなんだ?」
おれ達が来ているのは、薫の地元の遊園地だ。
弟達が先日行った有名な方じゃなく、ただの遊園地、地元の人がよく行くやつだ。白鳥は遊園地に行くのに最初は渋っていたが、薫がどうしてもというので、仕方なく付いて来てくれた。
その地元民の薫は「わいは、チビちゃん達と一緒に回るから、秀と美和子で適当に遊んでくるとええで」と言って、サッサと行ってしまった。
薫の両親は家だし、今はおれと白鳥の二人きりだ。
遊園地で男女の二人組、傍から見たら、デートである。
「そんなことは全くないのだけれどね」
「ですよね~」
「まあ、散歩だと思って楽しみましょう」
そういえば、今回の旅行で二人きりになるのは、これが初めてだ。
「じゃあ、何か乗るか。何がいい?」
「まずは、サウンド型お化け屋敷『人形の館』、次は和風お化け屋敷『妖怪の住む宿』、次は迷路型お化け屋敷『血塗られた廃病院』……」
「お化け屋敷三連続かよ!」
そこまで広くない遊園地の割に、お化け屋敷のラインナップだけ多い。
このお化け屋敷満載の遊園地にモデルはありません。




