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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
白鳥さんの黒歴史
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これから、一生よろしくね

「そうね。……私の使い魔になってくれたら、消してあげてもいいわよ」


「使い魔って、あの、魔法使いの子分みたいな奴のこと?」


「まあ、似たようなものね。良くいえば仕事上のパートナー、悪くいえばパシリってとこかしら」


 こいつのパシリになったら、すごくこき使われそう。


「私が黒魔導師としての新たな一歩を踏み出すのに、あなたの力が必要なのよ」


 おれの力がねえ……。


 昔から、この手の言葉には弱かった。


「良くいえば、仕事のパートナーなんだな?」


「そうよ」


 ここはプラス思考だ。


「いいよ。……お前の使い魔になってやる」


 不思議なことに、言葉が自然と出てきた。


「決まりね。……では早速、契約の儀式をしましょう」


 白鳥は、何やら楽しそうだ。黒魔導師としてのスキルアップがよっぽど嬉しかったのだろうか。


「……契約って、一体、何をするんだ?」


「あなたが私のために、一生使い魔として働くという……」


 ん? 一生?


「ちょ、ちょっと待て。おれは一生、お前の使い魔なのかっ⁉」


「当たり前でしょう。あなた、その程度の覚悟もなしで、使い魔になるなんて言ったのかしら。……でも、一度決めたからには、やっぱり止めたなんて許さないわよ」


 そこまでの覚悟なんて、全然なかった。


 そこまで深く考えていなかった。


 おれの気持ちを無視して、白鳥は勝手に話を進めていく。


「じゃあ、契約の儀式の準備をするわ。……まあ、あなたは何もしなくてよいけれど」


 そう言って、白鳥はそこら辺に落ちていた手頃な木の枝を使って円を描き、その中に変な模様を描いた。


「この円の中に入りなさい」


 おれは、白鳥に言われるままに円の中に入った。


「利き手を出しなさい」


 おれは、右手を白鳥に差し出した。


 白鳥は、おれの手の甲によく分からない模様を油性ペンで描いた。幾何学模様が何重かしているようだ。


 それから、白鳥はおれの右手を両手で包み込み、目を閉じて、呪文のような言葉を唱えた。


 呪文を唱え終えると、白鳥はおれの手をパッと離した。


「……契約終了よ」


「意外と早く終わるもんだな」


 あんな短い時間で一生の契約をするのか。


「手の印が消えた後でも、契約はあなたの身体に染み付いているから、なくならないわよ」


 そして、白鳥がとどめとばかりに言い放った。本当の黒魔導師のような少し意地の悪い笑みで。




「これから、一生よろしくね、高村秀君……。」




 その言葉が呪いのように、おれの耳に残った。



高村君の人生のターニングポイントになりましたね。

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