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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
しずかとしょかん
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相談



 鷲羽先輩は「君はもっと色々な人間と関わった方が良い」と言った。


 きっと、今がその分岐点だ。




「ねえ、父さん。ちょっと、話があるんだけど」


 日曜の夜、夕食を食べた後、僕は父に人生相談を持ちかけた。


「そうか、やっと話してくれるんだね。最近の宇宙はいろいろと気持ちの変化があったみたいだから、気になってたんだよ、何があったのかなぁって」


「うん、いろいろとあったよ……」


 僕は父に今までのことを話した。


 浅羽さんのこと、大久保君のこと、それから劇のこと。


 父は僕の話を黙って聞いていた。


「ねえ、父さんだったらどうする? 浅羽さんたちに自分の気持ちを話すべきなのかな……」


「それは宇宙が決めることだよ」


「僕は……」


 分からない、僕たちがどうすれば幸せになれるのか。


「悩み事がある時は、星空を見るといいよ」


 父は僕をベランダに連れ出した。


 星好きな父が、星空が見えるようにと、リフォームさせたベランダであった。


 周りが住宅地なので、あまり雰囲気が出ないけど。


「この無限に広がる星空を見ていると、自分の悩みなんて小さいものに思えてくるよ」


 確かに、この星空に比べたら僕の悩みなんて、ちっぽけなものなのだろう。


「……でも、僕にとっては大きな悩みなんだ」


「うん、そうだね。僕たち人間は小さなことですぐに悩む。……皆、悩んでるんだよ。宇宙も浅羽ちゃんも大久保君も。悩んで悩んで、皆、毎日を生きているんだよ」


 父の声が穏やかに僕の耳に響く。


 あの時も、母さんが死んでしまった時も、一緒に星空を見た。


 父の昔のサークル仲間が働いている天文台へ行って、満天の星空を見た。


 本当は自分が一番悲しい筈なのに、僕を励ましてくれた。


 


『母さんは、お星様になったんだ。あの広い星空で今も輝いている。……悲しいことや嫌なことがあった時は星空を見ればいい。母さんがきっと励ましてくれる』




「母さん……」


 母さんは僕が六歳の時に死んでしまった。


 でも、母さんの温かい笑顔は今でも覚えている。


 思えば、浅羽さんの笑顔は母さんにどこか似ていた。


 きっと、僕はそこに惹かれたんだ。


「大丈夫だよ。宇宙には僕と母さんがついてる。宇宙が一番いいと思ったことをすればいい」


 僕が一番いいと思うこと―――――。


「ありがとう、父さん」


 


 皆が幸せになればいい。


 僕達の物語がハッピーエンドになればいい。



鷲羽先輩の金言が、ここで生きてきます。

お父さんに相談できた宇宙君、果たしてどのようなクライマックスになるのでしょうか??

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