ハッピーエンドかバッドエンドか
夏休み二日目、しずかとしょかん談話室。
大久保君が部活に行ったので、しずかとしょかんには僕と浅羽さんの二人だけになった。
「あのさ、宇宙君。最近、何だかぎこちなくない?」
「そうかな……」
あからさまな態度には表れてないと思うが、話し合いの雰囲気が悪くなったようには感じられた。浅羽さんにも気付かれてしまったらしい。
「何かあったら、ちゃんと言ってね」
「うん、ありがとう。大丈夫だよ」
浅羽さんに心配される訳にはいかない。
「……それに、ごめんね。ラスト決まってなくて」
「いいよ。大久保君だって、登校日までに出来ればいいって言ってたし」
「本当ごめんね」
「大丈夫、浅羽さんが納得いくまで、じっくり考えて。でも物語の方向性、えっとハッピーエンドかどうかとかは決まってるの?」
「うん、そこを迷ってるんだよね。千歳の手術を成功させてハッピーエンドにするか、失敗させて悲恋エンドにするか」
「何で、わざわざバッドエンドにしようとするの?」
「あのね、物語って作った人の思い通りにできるんだよ。そこに出てくる登場人物の人生だって自分の好きなように出来ちゃうの。……ここで、悲恋にするのも一つの恋の形だと思うんだ」
確かにそうかもしれない。現にそういう物語だって沢山ある。
「でも、僕は千歳に幸せになってほしい。あくまで、僕の意見だけど、物語はハッピーエンドの方が好きだ」
自分はハッピーエンドではないかもしれないが、せめて自分たちの作った千歳と宙斗には幸せになってほしい……。
「……そうだね。宇宙君の意見が聞けて良かった。私、頑張って書くね」
浅羽さんなら、きっと素敵な物語を考えてくれるだろう。
僕に出来ることは何だろうか。
このまま、ぎこちないまま進めて劇はちゃんと完成するのだろうか。
もし、ここで踏み込まなかったら、僕達の関係がいつか切れてしまう、そんな分岐点にいるように感じた。
僕は二人とどうなりたいのか。
私の場合、最初にハッピーエンドにするかバッドエンドにするかは決めてから書き始めることが多いですね。バッドエンドにすると決めたら容赦ないです。あと、このキャラは死ぬと決めたら容赦なく殺します。




