怒り
「……じゃあ、何で僕に話したの?」
「宇宙は信頼できるから。……それに、誰かに話してすっきりしたかった」
僕が信頼できるだって?
それに、誰かに話してすっきりしたかっただって?
じゃあ、僕はどうすればいいんだよ。
ここで、僕も浅羽さんが好きだって言えばいいのか?
そんなこと、言える訳ないじゃないか!
自分だけ話して、すっきりしやがって!
僕は更にもやもやするだけじゃないか!
大久保君に対しての怒りが沸々と溢れてくる。
「……そうだったんだ」
怒りの感情を必死で抑えて、出来る限り冷静な声を出す。
「ああ、聞いてくれて、ありがとう」
「……じゃあ、もう遅いから帰るよ」
そう言うが早いが僕は歩き出していた。
早くこの場所から逃げ出したかった。
大久保君の顔なんて見たくなかった。
「あっ、そうだよな。ごめんな、付き合わせて。……じゃあな、宇宙」
大久保君と別れた後、僕は家まで走った。
何が、ありがとうだよ!
いつも、自分だけいい思いして!
僕がどれだけ惨めな思いをしてるのかなんて、お前にはこれっぽっちも分からないだろ!
だって、もしあいつが僕のライバルだとして、僕に勝ち目があるのか?
全くないじゃないか!
あいつは完璧モテ男で、僕は卑屈で嫌な人間だ。
勝負にもならない。
あいつみたいなリア充なんて、皆、爆発してしまえばいいのにっ‼
大久保君は特に何も悪くないのですが、宇宙君視点になってしまうと、宇宙君に肩入れしているので、大久保君が邪魔なように思ってしまいますね。
浅羽さんの気持ちはどうなのでしょうか。




