文芸部・浅羽満月
衣替えが終わり、そろそろ本格的に夏が来ようとしていた。
その頃には、放課後にしずかとしょかんで浅羽さんと話したり宿題したりするのが、日課のようになっていた。
「浅羽さんって文芸部だったよね?」
「うん、そうだよ」
「言いたくなかったらいいんだけど、どんな小説を書いているの?」
「うーん、まあ色々なジャンルのを書いてみたことはあるけど……。書きやすいのは私達と同じ高校生が主人公の、所謂、青春物ってジャンルかな」
「へえ、青春物か……。浅羽さんはすごいよね、小説が書けるなんて。僕なんて文章力も空想力もないから絶対に無理だなあ」
もっと込み入って小説の内容まで聞いてみたいような気もしたが止めておいた。ぐいぐい来られたら、きっと嫌なはずだ。
「そんなすごいことじゃないよ。私だって、もっと文章力磨かないといけないし……」
浅羽さんは謙遜しているけど、小説が書けるというだけで尊敬できる。
しずかとしょかんでの浅羽さんとの会話は楽しい。
でも、実際の学校生活は何ら変わらず、僕は今日も独りで本を読んでいる。
作者も浅羽さんと同じ文芸部でした。
この作品は、文芸部時代に書いていたものです。




