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白鳥さんの黒歴史  作者: 夢水四季
しずかとしょかん
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青春してみなよ



 話しているうちに、僕達の話の話題は世間の騒がしさに移った。


「だいたい、世間が騒がし過ぎるんだよ」


「うん、まあそうだね。確かに電車の中とか公共の施設で、大きな声でのお喋りは迷惑だよね」


「そうだよ。もっと周りのことを考えるべき」


「でもね、教室の中で休み時間に、友達とワイワイ騒いでるのは、学生である今しか出来ないことなんだよね。だから、青春を謳歌してるっていうか、今しか出来ないことだからこそ、目一杯してるというか……。宇宙君もさ、友達とワイワイ騒いでみなよ。きっと、楽しいと思う」


 その友達がいないんですなんて惨めなことは言えなかった。というか、今までクラスの中にいる僕を見ているならば、僕に友達がいないと気付いていそうではあるけど。弁当なんて一人で食べてるんだぞ。


「浅羽さんだって、学校では全然喋らないのに」


「私は、クラスの皆を見てるだけで楽しいからいいの。皆のお喋りを聞いているとね、昨日のテレビの話とか好きな歌手の話とか恋の話とか、本当に他愛のない話をしていて、これが日常なんだって思えてくるの。……ああ、皆、今日も変わらないなあ、青春してるなあって」


……青春か。


「僕の父と似たようなことを言うんだね」


「お父さんと?」


「うん。僕の父も学生なんだから青春しなよって、よく言うんだ」


「そうなんだ。でも、やっぱり青春って今の時期にしか出来ないから、今やっておかないと損だと思うなあ」


「これでも中学の頃は青春してたんだよ」


「宇宙君の中学時代の話、聞きたい!」


「えっと、心霊研究会っていうのに入ってて……」


「心霊研究会! 面白そう! どんな活動してたの?」


「夜の学校に忍び込んで七不思議調査とか、放送室を占拠して全校テレパシー実験とか、校庭にミステリーサークルを描いたり、色々やってたよ」


「わあ、青春してる~」


 その後も心霊研究会の話をしたりして、今日は解散となった。





 日曜、夕食時。


「ねぇ、何か最近いいことあったの?」


「べっ、別に何も……」


 父に恋の話なんて、恥ずかし過ぎて出来るはずがない。


「いや、あるね。ちょっと前まで幸薄そうだったのに、最近の宇宙は幸せオーラが出てる」


「悪かったな、幸薄そうで。ていうか、何だよ、幸せオーラって」


「う~ん、リア充のオーラかな」


 ……リア充か。


 あれだけ爆発しろ爆発しろ言って否定していたのにな。


「ねえねえ、何があったの~? 聞かせてよ、宇宙~」


「嫌だ、絶対言わない」

宇宙君の青春が再び動き出します。

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