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あなたに拒否権はないわ
次の日、白鳥は昨日と同じくらいの時刻に教室のドアを開けた。
遅刻ギリギリの時刻だ。もう一つ前の電車にすればいいのに。
黒魔導師は、朝が苦手なのだろうか。
眠そうな白鳥に、おれは声をかけた。
「よっ、おはよう。随分と眠そうだな。」
あくびをしていた白鳥が少し驚いて、おれの方を見る。
「ああ、それは……。昨日は夜遅くまで、儀式をしていたのよ」
それを聞いてしまった前の席の生徒ががビクつく。
儀式……。もしかして、生け贄とか……。いや、怖いって。
「あなた、私に話しかけるなんて、けっこう見込みがあるわね」
何の見込みが?
白鳥は、さっきまでの眠気が消えたように続けた。
「では、特別に私の素晴らしい黒魔術を見せてあげるわ。学校が終わったら、私に付いて来なさい」
「え、えっと……」
できれば、付いて行きたくはないのだけれど。
「ちなみに、あなたに拒否権はないわ」
ひどすぎる。
白鳥さんは朝が弱い、低血圧系女子です。